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第9話 背負うモノ

「覚悟して聞きや…ってその前にあんた加護の事全然知らんやん。」

俺は教師だが、学校で教える事は今までの歴史や職業、一般的に生きていく上で必要な魔法や知識だ。戦闘や加護については冒険者を目指し、冒険者見習いを卒業する時に教わる。

しかし見習いで終わってしまった俺はその知識がなかった。

本なども出ているが一切読んだこともない。

「すみません…よければ教えていただけませんか?」

ハナコさんはため息をついた。

「…はぁ、あのな、まずランクによって加護を使えるパーセンテージが変わる。Zに近づくほど、より繊細で強力になる。だからあんたは「把握」が使えてもうちみたいに記憶も探れへんし頭触るだけでわかったりも出来ん。うちは更に「知識」も上乗せされとるからって言うのもある。ほんでたまにランクに×が付いとるやつあるやろ?あれは無条件でZと一緒や。あるかないかでしかない、中途半端なやつは存在せん。「ラッキーセブン」は運の能力値が元の数字の桁数が全部7になる。こんなんあるかないかでしかないやろ?だから×なんや。ここまでは理解したか?」

俺は必死に頷く。

「よし、こっからが本題や…あんた。最近周りで亡くなったり生死さまよった人、ようけおるやろ?その時、緑っぽいふわふわした光の玉見んかったか?」

俺はまた頷くが少し疑問に思った。

「ハナコさん、なんでそれは聞くんですか…?」

この人は記憶を読むことが出来る。

なぜ見なかったかと聞かれたのか、興味を抑えきれなかった。

「うちはランクZやなくてVや。Zやったら触らんでも記憶読めるやろうけど、うちはどっか触らな読めん。脳に近かったら近いほど早く読み取れるし鮮明に見える。やから心の声とか何考えとんかはわかるけど記憶はさっきちょろっと見ただけで全部は見てへんからそらわからん部分もあるわいな…ってだからうちの話はどないでもええねん!!話できんやろ次聞いたらしばくぞ!!!」

思いっきり頭をしばかれた。

今更だけどこの人、よく喋ってくれるな。

本当に関西人みたいだ。

「その緑の玉はな、神に与えられた「加護」と「能力値」その物や。」

薄々勘づいてはいた。逆にそれ以外に考えつかなかった。

「はい。」

また余計なことを聞くと怒られそうだったので返事だけにした。

まぁ、俺の気になる事は筒抜けだし教えてくれてるから聞かなくてもいいか。

「賢明な判断や。ほんでな、その加護を人に授与するっていうのは神に反する行為や。神様がくれたもんやで?勝手に人にあげたらそら神様も怒るわな。そのうち神様が怒鳴りにあんたんとこ来るんちゃうか?」

ハナコさんは笑っていたが、俺は笑えなかった。

「まぁその感じやと自分でもわかっとるやろ。自分の能力がイレギュラーや、ってこと。うちが今冗談みたいに言うたことは案外ほんまかもしれん。うちは神様ちゃうから知らんけど。」

神様ってなんだ…?どういう存在なんだ…?

「すみません…質問いいですか?」

恐る恐る聞く。

「どうぞ〜。」

意外と簡単に許可してくれるんかいっ。

「神様ってどういう存在なんでしょうか?」

襲われたりするなら対処法を考えておかないといけない。

しかしその相手が神様って…勝てる気がしない。

「神様はな、概念や。実体はないねん。でもな、神様やで?あらゆる干渉はできる。加護や能力値を与える事も剥奪する事も。なんなら生死、死後の行先、魂すらも…だからまぁ出来ることは一つしかないな。説得やー!!!」

神様を説得!?そんなこと出来るのか!?

「僕は一体どうすれば…」

困惑する俺の質問を、ハナコさんは落ち着いて返す。

「あんたな、何でもかんでも聞きすぎや。その頭は飾りか?説得言うたら自分の考えをまとめて言うたらええだけやんけ!相手にとっての得、自分にとっての得、そのために何を我慢してもらうか。駆け引きと一緒や!頭使え頭!!相手は神様言うても私らを創った存在や、何も通じへんわけちゃう!」

そうか…冷静に考えるとそうだな。

というかハナコさん、けっこう教えてくれる。意外と優しいな。

「意外とってなんやねん…」

ハナコさんは小声でそう呟き、俺の頭にたんこぶを創った。

「…最後に質問いいですか?加護の授与ってどうやったら出来るんですか?」

ハナコさんは新しいタバコに火をつけ、話し出す

「条件は3つや。1つは生死をさまよった事があるか。生死の境目に行ったことあるもんは、概念との繋がりが強なるからな。死ぬ寸前真っ黒の人間が迎えに来たとか言い始めるおじちゃんおばちゃんおるやろ?あれも死が近づいて概念との繋がりが強なるから見えてまうんや。もう1つはその人に対して強い想いがあるか。信頼、好意、応援…大切な人間と思えるか。ほんで最後。どんな痛みや苦痛があったとしてもその人を想い続けられるか。死ぬ寸前なるくらいの状態でもその人の事を想うほど強い思いは、概念に強い影響を与える。そしたら自分の加護をあげれるようになるんや。」

そういう事だったのか…

俺は皆から、それだけ想われていたのか…

「でもな、これはあんま考えたらあかんけど条件が揃った上で誰にも付与せず生き延びた場合…加護のランクが強制的にZになるか加護が増えて能力値は倍になる。何でかはわからんけど2回目の人生って事にでもなっとるんとちゃうか。…残酷な事に思い方はなんでもいいからな。憎悪、恨みやら悪意でも条件は揃ってまう。復習を誓ったやつとかは特に気ぃつけや…まぁ今回伝えなあかん事はそれくらいやな。」

てことはトムラさんは…

あの人は…俺にとって聖人であり恩人だ。

そしてこの人は今知りたい事を全て教えてくれた。

ハナコさんにも、紹介してくれたゴイルさんにも感謝してもしきれない。

今すべき事は全てわかった。

「本当に有難うございました。夜分遅くに失礼しました。」

屋敷を出ようとするとハナコさんが笑顔で肩を掴んだ。

「何帰ろうとしとん?」

…結局2万ギル払った。今の手持ちには痛手だがそれ以上のことを教えてもらえた。

宿に戻り、神様をどう説得しようか考えているうちに眠りについてしまったー


「…まさかここで出会うんかぁ。運命って怖いなぁ。なぁ神様、あんた見てんねやろ?ほんま…ありがとうな。」


昼前まで寝てしまった。

街の飯屋で空腹満たし、馬車を引き取り次に俺が向かう街はー

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