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第17話 明かされる真実

6m程ある杖を持った巨大な神様が、光とともに現れた。

前世の世界の人に「神様ってどんなの?」って聞くと一番に思い浮かべそうな風貌の、髭が長いお爺さんみたいな神様だ。


「…貴様、人間の分際でなぜ「我々の力」を使える。」

唐突な質問に、俺は頭を混乱させた。

「我々の力ってなんだ…!?」

神様は俺の言葉を無視し、話し続ける。

「余は「ランデウス」。余の質問にだけ応えるがよい。なぜ「カルマ」を扱えるのかと聞いておる。」

こいつは何を言っているんだ。

カルマって何なんだよ。

「だから「我々の力」も「カルマ」も知らねぇよ。お前、神様かもしんねぇけどこっちの質問にも答えろよ。話出来ねぇだろ。」

ライデウスは閉じていた瞼を開き、ギロっとハナコさんを見た。

「貴様…人間として生き、前世の悔いを晴らすと決めた時、関与するつもりはなかったが…まさか貴様の企みはこれか?」

また無視かよ。

「うちが何しようがあんたに関係ないやろ!!」

ライデウスは次に俺を睨みつけた。

「亡き者の力を規定以上に取り込み、さらに「我々の力」を使用し大罪を重ね、この態度…貴様の愚行を許す事は出来ん。」

あー…こいつは嫌いなタイプの神だ。

よくいるわ。自分が気に食わないとすぐ感情的になって会話出来ないやつ。

「態度なんて今関係ねぇだろ。答えが知りたいならこっちの質問にも答えろ、じゃなきゃ答えれねぇだろ。あと俺らに用あんならミヨリを巻き込むな。」

「サカイさんん…」

ミヨリが嬉しそうに涙目でこちらを見ている。

すると突然、ライデウスがこちらに手を向けた。

その瞬間、ハナコさんが叫んだ。

「避けろ!!!」


「"光の裁き(ホーリー)"」

一シャンッ!!


ライデウスの手から光線のようなものが放たれた。が、ハナコの声で間一髪、全員回避した。

光線が当たった地面はえぐれたように凹んでいる。

「おい、いきなり何すんだよ!!」

「貴様は大罪人。裁きを受けなければならん。キョウコ、貴様もだ。」

両手がサカイとハナコに向き、何度も光線が放たれる。

覚醒しているサカイは素早く走り回り、ハナコは風魔法で空中を飛び回って躱している。

するとミヨリに光線が放たれた。

「危ねぇ!!!」

その瞬間、サカイの速度が急激に上がり間一髪、ミヨリを抱え光線を避けた。

「てめぇ何すんだよ!!!」

「(解放度103%...サカイさん、ミヨリのために怒ってくれてる…!)」

サカイがライデウスを睨みつける。

「ちょこまかと逃げ回りおって、鬱陶しい…」

ライデウスは杖を地面に突き刺し、手を合わせた。


「"追尾する(ボトム・ホーリー)"」


杖の先端についている玉から無数の光の弾が皆に向かって飛んで来た。

「クソっ!!」

サカイは素早く走りながら、感覚で身をこなし躱す。

「ハナコさん!ミヨリをお願いします!!」

「了解!!!」

サカイは攻撃を避けながらハナコのシールド内に入る。

「あああありがとうございますっ…///」

「ミヨリはここで避難していろ。てかハナコさん!あいつと知り合いなんですか!?」

「んーまあ、生まれ変わる時にちょっとな…とりあえず今は、あいつをどうにかせんと!!」

「ふははは!あと何分持つかな…?」

一ガガガガガガガ

ライデウスは、まるで遊んでいるかのようにニタニタと笑っている。

「あいつの攻撃は魔法、あいつ自体と杖は概念や!でもあんたの「覚醒」は概念にも通用する!ミヨリ、援護魔法使えるか!?」

「得意分野です!!」

「よっしゃ、ほな透視と援護魔法頼むわ!あんたは攻撃に徹してくれ!!」

「わかりました!!!…あと、ミヨリ。俺は戦闘経験が圧倒的に少ない。お前は実践は無くても、「透視」で色んな訓練生を見てきているはずだ。動きで1番頼れるのはお前だ、だから俺に動きを指示してくれ。頼んだぜ」


サカイはシールドから抜け、光の弾を躱しながらライデウス目掛け走り抜ける。

「舐めるな!!!」

半分ぐらい近づいた辺りでライデウスが目から光線を放った。

一ビッ!!

「ぐっ…!」

当たる寸前で踏みとどまり、後ろに飛び退こうとした。

後ろからは光の弾の乱撃が来ている。

サカイは飛び退きながら躱そうとするが、覚醒して戦闘技術が向上したとはいえ経験が少なすぎる上、自分の身体の軽さに慣れてないサカイは躱しきれなかった!

「やべッ…」

光の弾がサカイに直撃する一


一「お前の加護って「透視」なんだろ?こいつなんでも透けて見えるらしいぜ」

「え!?なんでも見えちゃうの!?」

「変態だ!気持ち悪ーい!」

「みんな逃げろ〜!あははは」

…ミヨリは、昔から皆に避けられていた。

「ち、違うの!これは色んな加護を勉強してて…」

「うるさい変態!こっち見んな!」

砂を投げられ、目に入る。

「痛い!目が痛いよぉ!」

「…ふん、こっち見てくるお前が悪いんだからな!」

ずっといじめられ、友達なんて出来なかった。

中には優しい子も居たけど、いじめに巻き込まれるのが嫌だったのか仲良くなることはなかった。

「あの子って何考えてるか分からないよね」

「「透視」の加護持ちなんだってさ、それを使ってみんなの事、見回ってるらしいよ」

「え〜、気持ち悪いね…近づかないでおこう。」

半分真実の噂は永遠に尽きることは無く、より広まっていく。

私は変わりたかった。だから、必死で援護魔法を勉強した。皆の役に立ったら必要とされると思ったから。

でも結局、周りや環境はその努力どころか結果すら見てくれなかった。

私は歳を重ねるごとにより拗らせ、周りの事を気にしなくなっていった。

多分、諦めていたんだと思う。

…それが私の人生だと思っていた。

一生孤独に生きていくのだと思っていた。


「あかんわ、この子ちょっと連れて行かなあかん。」


私は耳を疑った。

モラルの欠片もない行動をしたこんな私を近くに置いてくれるの…?

迷惑かけちゃったのに…?

「でもただの監視…だもんね…」

…そうじゃないでしょ、ミヨリ。マイナスからのスタートなんて生まれてからずっとだったでしょ。それ比べたら、可愛いものじゃない。

「頑張ったところで…」

そうね、努力しないって楽だよね。諦めるって一番簡単だし何もしなくてもいいもんね。

でも…それでいいの?

ねぇ私。結局どうなりたいの?ミヨリは…

「ミヨリは...」


私といることで、二人も嫌な目を向けられるかもしれない。

足でまといになって、捨てられるかもしれない。

普通の人が聞いたら笑っちゃうような願望だと思う。

それでも、ミヨリは…

「「ミヨリは、この二人と友達になりたい!!」」


この出会い…掴み取らないとミヨリは変われない!!

今まで1番受け入れられなかった部分を、2人は受け入れてくれてるんだから...!

こんなミヨリを頼ってくれてるんだから!!!

これが最後のチャンスだと思って。

ミヨリは…この人達に全てを尽くす!!!


一サカイがハナコのシールドを出た瞬間から、光の弾が直撃し死に至るまで、数えて7.121秒。

「一だから俺に動きを指示してくれ。頼んだぜ」

ミヨリは、未来を視ていた。

「何、今の...」

サカイはシールドから抜け、光の弾を躱しながらライデウス目掛け走り抜ける。

「動きが今見たのと全く同じ…ダメ!!待っ…」


ミヨリは戸惑いながらも「透視」を行っていた。

ライデウスの使っている魔法は「次元魔法」。

空間、時間そのモノを操る、神大魔法の一つ。

神大魔法は概念と魔法、両方の性質を合わせ持つ。

普通の魔法が効かない、概念のライデウスに唯一ダメージを与えることが出来る魔法。

そして「覚醒」はその全てに適応、反応出来る。

結論、反撃しなければ相手の攻撃は止まない。

思考に約5秒。ミヨリの思考が終わった頃、もう既にサカイは光線と光の弾に挟まれていた。


((ダメ!!間に合わない!!))


サカイが後ろに飛び退き、光の弾の乱撃の中に入った一


「おっけー、うりゃあ!!!」

サカイが光の弾の乱撃の中に入った。

その間に5つの弾が来るが、そのうち3つをライデウスに向け弾き飛ばし、後ろに飛び退く事に成功した。

一ダダダン!!

「ぐぉおお…!!!」

ライデウスに光の弾が直撃した。

体勢を崩し、攻撃が止む。

「え…?なんで…」

「ミヨリ、ナイス判断や!」

ミヨリは涙ぐみ、状況が読めないままハナコを見る。

「うちは「把握」で状況、思考を全て読んどる。今のはあんたの「透視」した結果の思考を読み取とって、うちがあいつに「把握」させた。口で言うより早く伝えれるからな!」

((ハナコさん、どんなけ経験を詰んだらそんな…))

サカイの死を免れた安堵と、ハナコの底知れない実力を目の前に、ミヨリの頬を一滴の涙が伝う。

「泣いてる場合ちゃうで!うちらはあいつをサポートしたらなあかんねんから!」

ミヨリが涙を拭った。

「…はい!」


一方サカイは、体制を崩したライデウスに追い打ちをかけていた。

((こいつを倒さないと…!!))

目にも止まらぬスピードで走り回り、打撃を打ち込んでいく。

「ぐぅ…ぬぉおっ……ぐはぁ!!」

ライデウスは躱す事も反撃する事も出来ず、ダメージを受け続ける。

「おのれぇ、たかが人間の分際でえええ!!!」

ライデウスが叫んだ途端、とてつもない威圧感が3人を襲った。

「な、なんだ…この感じは…!!」

「あかん、あいつ本気出しよるわ…」

「ミミミミミヨリは負けませんよおぉ…」

ライデウスの体を、黄緑の光が包んだ。

「遊びは終わりだ…余が本気で裁いてやる。この姿を見れる人間は貴様らが最初で最後だ、光栄に思うが良い…!!」

するとどんどん体が小さくなり、サカイと同等のサイズになると止まった。

一シュルン

ライデウスは光と同化し、その見た目はまるで精霊のようになっていた。

「貴様達は罪を重ねすぎた…己を恨むが良い。まずはキョウコ、貴様からだ。」

フッと消えた瞬間、ハナコの前に移動していた。

「くっ…!!」

一ドゴーーーン!!!

ハナコが突然ぶっ飛ばされた。

「な、何したんだてめぇ!!!」

サカイの髪と体が、激しい炎のように燃え盛る。

「…蹴り飛ばしただけだ。」

ライデウスは再び消え、ハナコの前に移動した。

「やめろー!!!」

「…五月蝿い。」

ライデウスが手をサカイに向けた瞬間、光線が放たれサカイの胸に直撃した。

「ぐわぁ!!!」

一ドーーーン


ライデウスは再びハナコの方を向き、思い切り腹を殴った。

「がはッ…」

一ドドドドドドドド

とてつもない高速連打でハナコを殴りつける。

サカイとハナコがやられ、戦意喪失してしまったミヨリは、その様子を泣きながら見つめている事しか出来なかった。

透視をしているミヨリは全てが見えていた。

ライデウスの力が、さっきの数倍増している。

サカイはさっきの光線で、胸に穴が開き瀕死。

ハナコは初手の蹴りは防ぐのが間に合わなかった。内蔵が破裂しており、なんとか攻撃は強化魔法でダメージを激減させているが、防ぎれてはいない。死ぬのも時間の問題だった。

ミヨリは恐怖のあまり、思考が停止してしまった。

そして、ライデウスの手が止まった。

「…最後に聞く。キョウコ、貴様の企みはこれか?」

ハナコは、ゆっくりと傷だらけの顔を上げた。

「……その名前で呼ぶの…辞めて…くれへん?あいつに…バレたくないねん…。」

ライデウスは黙り、ハナコに手をかざす。

「余の質問に答えろ。貴様はあの小僧が持つ「我々の力」で何をするつもりだ?まさか我々を討つ、なんてことは考えていまいだろうな。」

ハナコが血を吐く。

「がはっ…そうやなぁ…うちは別に、なんも企んでへんよ……でもあいつ…あの子にだけは、したいことさせてやりたいねん…あんたも関わってんねんから…なんでかはわかるやろ?」

「あぁ。貴様は我々のようになる道を捨て、この世界に生まれ落ちることを選んだ。その理由も全て知っている。しかし、全て偶然と言えど許される事は無い。自分の間違えた選択を悔い、消滅するがよい。」

ライデウスの手に光が点る。

「…まぁ、間違えてたんかもな…でもな、正しいか間違えてるかは最後までわからんで…」

「…何が言いたい。」

ハナコは再び顔を上げると、同情するような笑みを浮かべていた。

「…だって間違えてるって思ってるあんたが今から消滅するんやもん。」

ライデウスがはっと気づき、後ろを振り向くとそこには赤く眼を光らせたサカイが飛び蹴りの体勢で空中にいた。

「なっ…」

一ドガガガガガガガ!!!!

咄嗟に防ごうとしたが間に合わず、蹴りが顔面に直撃、ライデウスはとてつもない速さでぶっ飛んだ。

「ハナコさん…大丈夫っすか…ミヨリぃ!!!!早くこっちに来い!!!!」

ミヨリはハッと我に返った。

「はははははいぃ…!!」

「…あんた、信じてるからな。頼んだで。」

するとハナコは、自分で自分に睡眠魔法をかけ眠った。

「ミヨリはここに手かざして、目潰れ。俺が指示したら回復魔法かけろ。透視でも見ない方がいい。」

「わ、わかりました…」

ライデウスが起き上がり、とてつもないスピードで飛びかかってきた。

「させるわけがなかろうが!!!」

「するに決まってんだろうが!!!!!」

殴りかかってきた左拳をギリギリで避けながら、ライデウスの顎にカウンターで蹴りを入れた。

「がぁ!!!」

空中で回転するライデウスに、追い打ちで回し蹴りで蹴り飛ばす。

一ドガーーーン!!

「ミヨリ、いくぞ…ふぅ、くっ…」

サカイはハナコの服を捲り、爪を尖らせハナコの横腹を裂いた。

血がドバドバと溢れ出し、白い肉の間から潰れた臓器が見えた。

「今だ!!回復!!」

「はいぃ!!!」

ミヨリが回復魔法をかける。

「貴様らぁぁぁあああ!!」

「うるせぇ!!!お前は後で俺が殺すから待ってろ!!!」

度々ライデウスが起き上がり、襲いかかるがそれを毎度サカイがいなす。

そして再びぶっ飛ばした後、ミヨリの手の上にサカイが手を乗せた。

一ギュルルルル

高速で再生し、傷が治る。

「これで致命傷は治った、あとの回復を頼めるか。」

「任せてください!!」

ハナコを端に寝かせ、ミヨリが回復魔法を再びかけ始めた。


サカイは、ライデウスに向かって歩く。

するとライデウスが起き上がり、サカイに飛びかかった。

「貴様ァ、貴様だけは絶対に許さぬ、許さぬぞぉぉぉぉ!!!!!」

ライデウスがサカイに猛攻を放つ。

サカイは軽やかに躱し、カウンターで脇腹を殴る。

「ぐぉお、ぬぅん!!」

一瞬怯むがライデウスも反撃し、光の残像でフェイントを入れ、ガードしたサカイの反対側の顔面を殴る。

「ぐっ…うりゃ!!」

殴られた勢いを使って一回転し、再び脇腹に回し蹴りをかました。

「ぐぁあ!!」

怯んだライデウスに、サカイは猛攻の連打を撃ち込む。ある程度殴った後、前蹴りで蹴り飛ばした。

「す…凄い…サカイさんの覚醒解放度がどんどん上がってる…!」

ミヨリはハナコを回復させながら、二人の戦いを見ていた。

「…全部あいつに教えたんや。」

ハナコが目を覚ました。

「ハ、ハ、ハ、ハ、ハナゴざんんんん…!!!」

「あんたはほんま、すぐ泣くなぁ。…さっきな、殴られとる時うちの治し方、あいつの情報と倒し方を「把握」で伝えたんや。ほんでその時に能力引き出すために「死んだらごめんな」って言うてみてん。ほんならあいつ、あんな怒ってくれとる。」

ハナコがサカイを見る。

「…ほんま、初めて出会った時から変わらんなぁ。」

ミヨリは嬉しそうなハナコの表情に気づき、一緒にサカイを見た。

「……でも、全部バレてまうな…」

ハナコは、小さく呟いた。


サカイはライデウスに近づき、見下ろした。

「おのれぇ…貴様がいくら足掻き、余を追い詰めたとしても余は死なぬ!!余は傷も体力もない、死など存在せぬのだ!!!」

「知ってる、さっきハナコさんから聞いた。でもダメージや痛みはちゃんとあるし、何よりてめぇは精神的に弱い。神様の中でも一番未熟で自分勝手で弱いんだろ?やっと威張れると思ったのに人間にもこのザマ…同情するぜ、てめぇのザコさに。」

ライデウスは顔を歪ませ、激怒した。

「何があっても、今は押されていても時間をかけてでもどうやってでも貴様を絶対に殺す!!貴様に余は殺せな一」

「てめぇの消し方はもうハナコさんから聞いてんだよ。ちょっとイタイけど、カッコつけさしてもらうぜ。」

サカイが、手を前に差し出した。


「「「葬剣"エクス・カリバー」」」


すると地面から漆黒に包まれた剣が、バチバチと黒い雷を纏いながら現れた。

「な、なんだそれは…!!!」

サカイは剣を掴みとり、一振りした。

ライデウスの左腕が落ち、闇に呑まれ蒸発する。

「てめぇを消せる唯一の魔法、「次元魔法」と「錬金術」で創った剣だ。」

「ま、待ってくれ…!!貴様はあのハナコとかいう人間を大事にしているんだろう!?あやつは元々、我々の仲間になる予定だった…しかし人として生まれたいという願いを叶えてやったのにこうして裏切られた!!」

サカイは黙って聞いている。

「生前の名は「サカイ キョウコ」。確か貴様の教師だったはずだ…覚えているだろう?」

その時サカイの頭の中に、一つの光が差した一



「人に教えるってね、人を救うって事だと思うの。その人の選択肢を増やして上げるってこと。その人の人生は教える人で全て変わる。だから愛と思いやりを持って教える。私は貴方に、現実と向き合う力を持って、いい人生を歩んで欲しいの」


一そうだ。あの思い出したかった言葉は、キョウコ先生に言われた言葉だ。

親や友達に恵まれず、グレかけていた俺を正しく導いてくれた、中学の3年間担任をしてくれていた先生。

だから俺は教師になる道を選んだんだ。


でも、ある日突然死んだ。

理由は、子供だったから誰も教えてくれなかった。

凄く悲しかった。後を追いかけることも考えた。

だけど先生がそんな事を望んでいないことも分かっていた。

こんな考えが出るようになったのは現実と向き合う力をつけさせた、キョウコ先生のせいだろう。

俺はその時決めた。キョウコ先生を超える先生になって、また会えた時、文句を言ってやろうと一


「ハナコさんが、キョウコ先生の生まれ変わり…?」

気づくと、俺は泣いていた。

「そうだ。その時あやつは、我々と同等の存在になる資格を得ていた。死後、我々が迎えに行くと、あやつはそれを拒んだ。会わなければいけない人間がいる、と。余は反対したが、他の者はそれを受け入れ、手を貸した。それが貴様なのだ。」

「俺の事を…キョウコ先生が…」

ライデウスは続けて話す。

「貴様がなぜ我々の力を持っているのかは知らぬが…いや、最初に話を聞かなくて悪かった。我々の力というのは「カルマ」を操る力だ。カルマというのは人間界でいう「魂」のことだ。貴様は今まで関わった、亡き者の力を使っているだろう?それが「我々の力」だ。「カルマ」は元々、我々の体の一部だ。それが輪廻転生を経て育ち、一つの個体として認められると、我々と同等に存在することが出来る。しかしその力がこの次元…人間界で使えてしまうと、次元の均衡が崩れてしまう。だから余が…」

ライデウスが笑みを浮かべる。

「余が貴様を討たねばならんのだぁ!!!」

一ガキィィィン!!!

鋭く尖り、変形したライデウスの右手が、サカイの目の前で遮られた。

「何ィ!?…き、貴様は…カリウス!!!」

カリウスが光の剣でライデウスの不意打ちを止めていた。

「やはり、貴方でしたか…」

カリウスはライデウスの右手を跳ね返すと、サカイに話しかけた。

「サカイさん。事情は説明させて頂きますので、この方を討っては頂けませんか?お礼ももちろん、させて頂きます。」

「はい。そのつもりでしたので任せてください。」

俺は、剣を構えた。

「き、貴様らぁ!!余を誰だと思って一」

サカイが一瞬でライデウスの背後に移動した。


「「"黒い雷光(ボル・トール)"」」

一スッ…パカッ


「ぐはぁ!!!おのれぇ、おのれぇぇえええぉぉ…」

ライデウスの身体は縦に5等分された後、闇に呑まれ蒸発していった一

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