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第16話 心は見た目と状況と未来を変える

一俺は目を瞑り、集中した。


一般人の俺に暴力的な対応で接し、蔑むように人を見下し、嫌がる言葉を平然と言うカルア…

力で全てを判断し、間違った教育方法で人を傷つけ、対話もせず俺の腕と脚を奪ったホムラ…

俺に復讐するため、あの場で俺を売ったキーラ…雑な回復魔法で生かし、苦しめてきたスズミ…

俺の大切な生徒と家族を奪ったウルバリン…

みんながいる村と街を襲った魔物達…


みんな…ミンな…ミンナニクイ!!!!!

「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

俺の体から天井を埋め尽くす程の、どす黒い煙の渦が回転し、突風を起こしながら舞い上がった。

「え、な、なんですかこれぇぇぇええええ」

ミヨリは吹き飛ばされたが、なんとか地面に這いつくばっていた。

「今や!!ミヨリ!あいつの覚醒が何%解放されとるか見てくれ!!」

ハナコは魔法でシールドを作って突風から身を護っている。

「なんですかそれえええ、私も入れてくださいよおぉぉおおお」

「ちゃんと「透視」出来たら作ったる!!」

ミヨリは必死に地面に這いつくばりながら、顔を上げる。

「あばばばば…んんん……覚醒度…362%!!?です!!」

「なんやて!?あかん、ほんまにヤバいやつや…!!あんた!!…あかん、あいつ気失ってもうとる。しゃーない、私がどうにかする!!!まだ飲み込まれたらあかんで!!!」

ハナコが徐々に距離を詰める。

「あばばば…ハ、ハナコさん!?!そんなに近づいたら死んじゃいますって!!!」

「うちがどないかせんかったら…こいつが力に呑まれてここにおる訓練生もあんたも全員死んでまう!!!」一



一(あれ…ここは、どこだ…確か訓練場で…)

「おい、この汚いゴミクズをさっさと捨てろ。」

(あれは、カルア?何をして…母さんの死体!?)

「これは自分が起こした罪の結果だ。恨むなら自分の弱さを恨むんだな。」

(お前はホムラ!?俺が見えているのか!?)

「父上、このゴミはあいつを産んだ根源です。」

「これを拝見し、トムラさんに八つ当たりした次第です。」

(キーラ、スズミ!!お前たちまで!)

「そうか、なら致し方ない。」

(や、やメロぉォぉぉォ!!!!)

一グシャっ!

「残りは俺が生徒共々美味しく喰ってやる…感謝しろよ?」

一グシャグシャっ、バキバキバキ…バクンッ

(ウ、ウルバリンまで…クソっ、クッソおおおおおおおおおおおおお!!!テメぇら全員、全員ブチ殺シテやルぅゥうウうウウ!!!!!!!)


一「ちょっとあんた!ちょっと落ちつきぃや。」


(誰ダ…テメぇ…)


一「もしかして思い出せへんのとちゃうやろなぁ?忘れたとか抜かしよったらしばくで!!」


(ハ…ハナコ…?)


一「はぁ?あんた誰にタメ口聞きよんねん!あかん、ブチ切れそうや…」

(ス、スミまセん、ハナコさん…)


一「あかん!あんた強くなりたいんやろ?何で幻と感情に呑まれてんねん。あんたの気持ちはその程度やったんかい!!」

(イえ、違イます…だって俺は…)


一「うちは嫌な事を思い出して感情を昂らせろとは言うた。けど感情に呑まれろとは言うてへんやろ!強くなりたいんやったら己と戦わんかい!!別に許さんでええ!!自分が強くなるバネにせぇ!!」

(そうか…俺は…)

一「やっと分かったようやな。はぁ、ほんま、手のかかるやつやわぁ。」

(俺は…強く…)

一「もっと叫べ!さっきと比にならんくらい感情を昂らせろ!!」


((((俺は...強くなりたい!!!誰にも負けず、圧倒的で、大切なモノを守り切れるくらいに強く!!!))))



「そうや、やれば出来るやんけ…」


一俺は目を覚ました。

奥の方に、地面に這いつくばるミヨリがいた。

「ささささサカイさん、ですよねぇぇえ!?!」

そして体の異変に気づく。

俺の左腕と右脚の感覚がある。

そうか。俺は…覚醒に成功したんだ…!!

…ふと視線を下ろした。

そこには、切り傷でえぐれまくった血塗れの手で俺の右腕を掴み、倒れ込むハナコさんがいた。

「え…ハナコさんッ…!!?」

俺はハナコさんを抱きかかえた。

「ミヨリ!!回復魔法を使えないか!!」

「つつつ使えますけどあまり上手く出来ません!でも、やってみます!!」

起き上がったミヨリが急いで駆け寄って来る。

「ハナコさん…こんなになってまで…俺のために…」

ミヨリが手をかざし、回復魔法をかける。

しかし傷は深く、再生が遅すぎる。出血も止まっていない。

「サカイさん、ミヨリの手に手を重ねて、ハナコさんの腕が戻るところを想像しながら「戻れ」って念じてみて下さい…!」

「…わかった!」

ミヨリの手の上に手を重ね、想像した瞬間だった。

一ギュルンっ

一瞬でハナコさんの腕が再生した。

「え、なんだ今の…?」

「サササササカイさん…今のなんですかぁ!?!?」

ミヨリが叫ぶと、ハナコさんが目を覚ました。

「あんたらうっさいなぁ。ん…はぁ〜。あれ?腕痛なくなっ…あんた誰やぁー!!!」

頬を思い切りしばかれた。

「お、俺ですよ!サカイです!!」

「えぇ!?…ほんまや…あんた、それ覚醒中か…?凄い見た目やな…ほんでなんかうち体軽いし、腕治っとるし。まさか、あんたがやったんか?」

俺はさっきの事を説明した。

「そうなんか…えらい簡単に覚醒出来たなぁ。多分今まで何回か覚醒しかけたおかげやろな。とりあえずあんた、その見た目どうにか出来んのかいな。」

俺、一体どんな見た目なんだ…

訓練所の奥にある、でかい鏡の前に行ってみる。

「え…これ…俺?」

髪は紺色だったのに真っ黒に染められ、炎のように立ち上がり揺らめいていた。

眼球は黒く、黒かった部分は青白く光り、瞳は黒い円になっていてクマも酷い。

目の斜め下には赤い模様が入っており、眉毛は無くなっている。

体は服を着ているようなシルエットだが繋ぎ目もなく手と足、首から上以外は全身真っ黒。所々が髪のように、というか炎のように揺らめいている。

これはあの煙みたいなオーラを纏っているのか…?

ていうかほぼ化け物じゃん!!!

「これ、俺なのか…」

「ミヨリ、あいつ今何%解放出来とる?」

「い、今は…67%です…」

「そうか。おーいあんた!ちょっとこっちきぃ!」

落ち込んでいると、ハナコさんに呼ばれた。


「…どうしましたか?」

「多分それ、覚醒解除したら元に戻るからそんな落ち込まんでええ。そんな事より、さっきあんた気持ちに呑み込まれかけとったやん?…あん時の覚醒解放度が362%やってんな。」

「えええ!?最大でも180%じゃなかったんでしたっけ…?」

「そのはずやってんけどな。ほんでさっき「知識」を使ったんや。ほんならな、全ての感情に共鳴する「愛」を亡くなった人に想われてる場合は1人につき12%、つまり倍になるらしいんや。ほんで多分残りの2%はうち。でもな、今のあんたは67%やねん。なんでか分かるか?」

「…わかりません。」

ハナコさんはため息をついた。

「はぁ、なんでわからんねん。あんたの「感情」や!あんたの強い想いや気持ちが今の覚醒解放度を上げんねん!だから一」



「「「ゴーン…ゴーン…ゴーン…ゴーン…」」」


一ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…..



とてつもなくデカい音で鐘が鳴り響き、地面が小刻みに揺れ始めた。

「なんだこれ!?訓練の何かか!?」

「ちゃう!これは…あかん!!逃げられへん!!もう時間止められとる!」

「ひぇぇぇ、なななななんですか一体ぃぃぃ!!」

すると突然、天井から眩い光が刺し始めた。

「ハナコさん、これって…」

「そうや…神様が来よった...!!!」


一ピカッ

一瞬、訓練所が白い光に覆われた。

目を開けると、そこには…巨大な神様が立っていた一

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