5年後
5年が経ち、キャンドは魔法をで遊べるようなっていた。この年で魔法が使えるのも珍しく、村中で天才児だと噂が広がる程だ。とは言っても足元を濡らす程度の簡単な水魔法だ。
「ねぇ、キャンド。魔法使ってみて!」
こいつは、俺と同じ時期に生まれた幼なじみのセリヤ。キャンドとセリヤ。名前まで安価でお財布にお優しい限りだ。
セリヤが広場を駆け回る。
「ウォーターソール!ウォーターソール!」
「わぁ!もう捕まっちゃった。」
俺はセリヤと毎日ほぼ鬼ごっこのような遊びをしている。魔法の練習にもなるからちょうどいい。他にやる事と言えば、父さんが管理している農園の手伝いくらいだ。
「ねぇ、キャンド。どうして魔法が使えるの?私も使ってみたいな」
「頭使うからセリヤにはまだ早いよ」
「もう、私がバカだって言うの?」
「だって、、、」
「だってってなによ?」
「ちょっ前に水の構造教えたら、頭パンクして3日寝込んだじゃないか」
「もう、それは2年前の話でしょ?もう大丈夫よ!」
「そうかなぁ?俺は父さんの手伝いしてくるから」
父は体についた泥をも気にせず、育てた野菜を一つ一つ刈り取る。毎日農作業をしているのか、ガタイだけはしっかりしている。栽培しているのはこの村の特産品であるジャールの葉。ちょっと苦味があるけど、それがまたクセになる味だ。
百束で銅貨1枚になる。これが我が家の唯一の収入源だ。
「ボクも手伝います!」
勢いよく根本から引っこ抜くと肥大した根がその姿を見せる。
「何やってるんだ、キャンド!根っこまで取ったら次の収穫出来ないじゃないか」
「すみません。でもこれ、イモですよね?食べれるんじゃないんですか?」
「イモ?なにを訳のわからないことを言ってるんだ」
「いや、この根っこ食べれますよ!」
「いいから、遊んできなさい!セリヤも暇そうにしてるぞ」
俺は不貞腐れながらもセリヤの元へ戻る。
「おかえりキャンド。怒られちゃったねぇ」
「うるさい」