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#61 城に帰った話

 すんげぇ。語彙力なくすわ。荒れ果て具合がまたロマン。壮大さと昔がどれだけ美しかったかを感じる。今でも美しいけど。


「ここがオーディン様の城なんだ。ここは彼か、彼が許可した者しか入れない」


 おいおい、まだ俺を疑ってるのか? オーディンなんて知らないって。魂が似てるだけだろ。自分と驚くほど似てる人なんて、世界に三人いるって言うだろ。魂も同じだって。

 どうせ入れないんだからさっさと帰してほしい。


「オーディンさんって、一体誰なんです? 俺、知らないんですけど」

「彼は実質、妖精王だったんだ。君と同じ魂を持つ、人間と魔族の混血の、ね」


 妖精王? 妖精じゃないのに? 実質だから、妖精たちを支配してたっていう認識でいいか。

 俺と同じ魂を持つ、魔族と人間の混血······。俺も何と何の混血かわからないし、混血向きの魂とかあるんじゃね? きっと。だから似てるってだけで、オーディンさんと俺は違うよ。


「もう帰してくれませんか。暇じゃないんすよ」


 こういうまるでどこかの宗教みたいに絡んでくる人からは早めに逃げたほうがいい。助けて介抱してくれたのは感謝してるけど、勘違いに人を巻き込むのは良くないよね。

 妖精って言ってたけど、悪霊の間違いじゃないのか。もう腹が立つ。早く帰してほしい。

 転移魔法できるか? 魔法を使うのは躊躇するけど、この際仕方がない。もしかして、ここ魔力濃度高い? なら妖精がいるのも頷ける。

 転移魔法ができなかったのは、空気中の魔力濃度が高くてハイジャックされるからか。

 じゃあもっと俺の魔力を練り込んで魔法を使えばいい。

 魔力を練るのは時間はかかるけど、発動してしまえばこっちのもんだ。

 俺は転移魔法を発動させた。それに気づいたクロードが、何とか俺を引き留めようと手を伸ばすがもう遅い。

 服回収するのを忘れたが、まあいいだろ。何されるかわからない状況だったし。制服だし。

 発動から転移までの僅かな時間に、クロードは俺の腕を掴んで無理にでも引き留めようとした。

 しかしそれを、前世習った不審者に腕を掴まれた際の対処法で無理やり離す。ちゃんと聞いておいてよかった、あの不審者訓練。

 白い光に消えていく前に見えたのは、クロードの涙と、伸ばされた手だった。もう、見捨てないで、そう俺の耳に刻んで。

 何だったんだろう。様子がおかしすぎる。いつもあんな感じなら、精神系の医療機関への受診をおすすめするよ。

 適当に転移してきてしまった。ここは······あ、俺の部屋か。いない間に綺麗にされてしまったようだ。教科書やら紙やら、色々散らばってたからな。

 これだけ綺麗にする時間があったってことは、俺もしかして行方不明者!? あー、一日は経ったか······?

 心配させちゃったかな。今の時間は······午後か。一時すぎくらい。

 じゃあもうそろそろラーファ達が帰って来る頃、もしくはもう帰宅済みかな。

 とりあえず部屋を出る。ファルカスの部屋と繋がっているので、そのドアからだ。

 お、ファルカスの部屋が元通りになってる! 前散々にされてそのまんまだからな。次からは俺も気をつけるとしよう。

 誰もいないってことは、まだ帰ってきていないのか。ちょっと様子見しよう。ファルカスの部屋から廊下に出る。

 やはり誰も通っていない。嫌がらせか偶然なのか何なのか知らないけど、ファルカスは城中から避けられてるからな。

 こつこつと、足音が響く。俺じゃない。誰も何もないから響きやすいな。

 片目がない弊害は思ったより大きいな。視力が右しかないからいつもより見えにくい。

 足音は騎士からしていた。珍しいな、人が。騎士もそうだけど。普通の騎士ではなく、誰かの護衛だろう。見栄えだけを意識したような鎧だ。

 護衛で、顔が良い。何でイケメンなんだよ畜生。そして耳が尖っている。ああ、あのハーフエルフの。ちょっと話しかけにくい雰囲気あるから、同じ混血だけど親近感湧かないんだよね。


「おお、少年。もしやお前が三番目の王子の護衛か」

「ぇ、ぁ、はい」


 お、うん。近づいてきたと思ったら、話しかけられた。思ったよりフレンドリー、か? っていうか身長高いな。髪も長いな。珍しい。声的に男······だよな。

 思わずコミュ障を発揮した。戸惑いは隠せていないだろうな、俺。

 そのハーフエルフはまじまじと俺を見つめる。ちょっとしゃがんでいるので、一発蹴りをかましたい。


「何だ、混血じゃないか。同じだな、仲良くしようぜ! ああ、僕の名前はアルタイルっていうんだ」


 アルタイルさんね。いい名前のセンスしてる。

 何だ、混血じゃないかっていうことは、やっぱり純粋な人間と比べると何か違うことがあるのかな。魔力はもう違うのは体感できるけど。

 何分、見た目はあまりにも人間なのだ。耳が尖ってるとか尻尾が生えてるとか、そういうものがないからね。

 あっ、名前を言われたんだ、こっちも名乗らないと。


「······ウリアっていいます」

「ウリアくんね! へー、魔眼持ちじゃないか! 人間と、きっと何か凄い種族の混血だね、君」


 暑苦し――――え、魔眼って何だ? 聞いたことは、あるんだなこれが。とはいっても、アレだ。前世で、のことだ。

 どういう効果を持つのか、それとも症状的な? 左目がやられたのは多分魔力の使いすぎだから、そういう······?

 魔眼とは何かを模索していたところ、何かが俺達に迫ってくるのを感じた。

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