かえろう
随分と日が沈むのも遅くなったものだ。
よく、この高台から日が沈むのを眺めていた。
街の全体が見渡せる高台。僕はここが大好きだった。
ここは落ち着く。見渡せるすべてが自分の手の中にあるようで。
世界のすべてが今ここにあるようだ。
そろそろ完全に日が沈む。
時間に気付いていないのか、未だに公園で遊んでいる子供がいる。
そんな子供たちも、そろそろ自分の家へと帰っていくのだろう。
――こうして、人々が少しずつ姿を消していく。
それは、この世界から消えてしまったわけではない。自分の居場所へと戻っていっただけだ。
僕も、そろそろかえれなければいけない。
居場所は、この世界。
そう、今、この中に飛び込んでいくんだ。かえっていくんだ。
空に融けた闇色に身を委ねて沈んでいく。
高台から見渡した、僕の世界の中へと――。