漫才「マンションの管理人」
二人「はい、どうもー」
ツッコミ「いやー最近ね、ちょっと人生について考えててさ」
ボケ「人生?」
ツッコミ「うん、今はこうやって漫才やれてるからいいけど、年取ってさ、老後どうしよう、みたいな」
ボケ「おい!老後なんて考えてどうすんだよ!……オレ達、二次元キャラだぜ?」
ツッコミ「いきなりメタ発言やめろよ!」
ボケ「そりゃ中の人はいろいろあるけどさ」
ツッコミ「やめろやめろ!」
ボケ「まぁでも、だいたいみんな永遠の十七歳だもんな」
ツッコミ「声優界隈に詳しい人しかわからないよ!そこらへんツッコんだら、オレ達消されるぞ!」
ボケ「……キャラデザを?」
ツッコミ「存在をだよ!」
ボケ「だからそれはオレ達にとってはキャラデザじゃないの?」
ツッコミ「もういいよ!これ以上深掘りすんな!……だからさ、老後についていろいろ考えたわけ」
ボケ「ほうほう」
ツッコミ「やっぱ年金だけじゃ不安だしさぁ、少しでも働いたほうがいいかななんて思うわけよ」
ボケ「そんな堅実な気持ちがあるのに、今は不安定な芸人かよ」
ツッコミ「お仕事待ってまーす、っていいんだよ!とりあえずそれは。でね、老後の仕事ってどんなのがあるかなと思って考えたら、マンションの管理人なんていいかなー、って」
ボケ「自称ハイパーメディアクリエイターではなく?」
ツッコミ「それ老後になってやるのはキツいから!いろんな意味で!」
ボケ「なんでマンションの管理人なの?」
ツッコミ「いや、オレが昔住んでたマンションの管理人さんがすごく気さくでさ、ふとその時の思い出が浮かんでね」
ボケ「あー、会ったら声かけてくれたり」
ツッコミ「そうそう」
ボケ「あのー、簡単なアンケートなんですけど、今お時間あります?」
ツッコミ「キャッチセールス!」
ボケ「ヒマ?一緒にカラオケ行かね?」
ツッコミ「なんで管理人にナンパされるんだよ!」
ボケ「あなたの幸せを祈らせてください」
ツッコミ「あのさ、マンションだから!街中じゃないの!……いや、普通に世間話とかそういうの」
ボケ「もうすっかり春ですねぇ」
ツッコミ「そうそう、そういうの」
ボケ「ちょうどこんな頃でした……妻が突然出ていったのは」
ツッコミ「えっ?」
ボケ「愛って……なにかね」
ツッコミ「重いよ!」
ボケ「すみ子ー!」
ツッコミ「奥さんの名前叫ばなくていいから!もっと他愛もない話だよ」
ボケ「ねぇねぇ、豆柴って超かわいくない?」
ツッコミ「わかるー、超かわいいー……ってJKかよ!おっさんと若造でなにやってんだ!」
ボケ「でもさぁ、管理人も大変だと思うよ。やっぱり住民トラブルもあるだろうし」
ツッコミ「うーん、まぁね」
ボケ「すいませーん!管理人さーん!」
ツッコミ「ああ、もう設定に入ってるのね……はい、どうしました?」
ボケ「お隣さんの騒音がひどくて」
ツッコミ「そうですか、それは注意しなければ」
ボケ「真夜中にドンドンうるさくて……いつもなんですよ、209は」
ツッコミ「そうなんですか」
ボケ「私も注意したんですけどね、209は全く反省の色なしで」
ツッコミ「あー、209号室の方」
ボケ「ほんと、209にはしっかり更生してもらわないと」
ツッコミ「待って、なんか部屋番号だけだと違う場所に聞こえるから」
ボケ「もう懲罰房にぶちこむしかないですよ、209は!」
ツッコミ「懲罰房って言っちゃったし!」
ボケ「極刑を求めます!では!」
ツッコミ「やめろやめろ!絶対お前のほうも問題あるだろ……」
ボケ「あのー……すいません」
ツッコミ「あれ?今度は若い女性かな?」
ボケ「ちょっと昨日作りすぎちゃったんで、よかったらおすそわけ」
ツッコミ「お?肉じゃがとかそういうパターン?いいじゃない、グッとくるじゃない!……いいんですか?なんかすいませんね……なに作りすぎちゃったの?」
ボケ「藁人形」
ツッコミ「なにしてんの?」
ボケ「失敗するかもと思って多めに作ったんですけど……ひとつで十分だったんで」
ツッコミ「怖い怖い!どうなったの!呪った相手どうなったの!」
ボケ「……てへっ」
ツッコミ「かわいくないから!恐怖が増しただけだから!」
ボケ「はい。十体ぐらいあるんで」
ツッコミ「いやいや、いらないよ!気持ち悪いなぁ」
ボケ「そう……ですか……」
ツッコミ「ちょっ、髪の毛抜こうとすんな!これ、翌日に管理人室から変死体で発見のパターンだろ!」
ボケ「藁人形、必要ならいつでも来てくださいね……209号室に」
ツッコミ「騒音の主、お前かよ!」
ボケ「な?大変だろ、管理人も。だからさ、オレとずっと漫才やってこうぜ、老後も」
ツッコミ「えっ?嬉しい……」
ボケ「ま、キャラデザはずっと若いままだけどな」
ツッコミ「またメタ発言!いいかげんにしろ」
二人「どうも、ありがとうございましたー」