第九十七話 夜襲
【ピー――! 敵襲! 敵襲! 総員直ちに配置につけ! 敵が迫ってきているぞ!】
な、なんだ!? 突然一体?
頭の中に突然響いた音によって目が覚めた。
【魔物の群れが迫っています。戦闘準備を整えてください。】
もしかして、これって【気配察知】の説明にあった夜間に敵が来た際のアラーム機能なのか?
【そうです。】
それで、近くに敵が来たから起こしてくれたのか。
というか、アラームって【気配察知】の効果のひとつだと思ってたけど、【鑑定】がしてくれるのかよ。
いつもは頭の中に文字が浮かび上がってくるだけだったけど、今回はアラーム音がちゃんと聞こえたな。
【鑑定】って音声による機能もあったのか。
あ、そういえば【鑑定】の中の人が日本に行っていた時も、有名な映画のワンフレーズが聴こえてきたんだったな……。
それで敵が迫ってきてるんだったな。
巣から周りを見るが、暗くてよく見えない。
遠くから「ザッ、ザッ」という足音のようなものは聞こえてくるが、今日は月が出ていないのではっきりと見ることができない。
【ファイアーボール】を何個か宙に浮かせて照明代わりにすることで、周りの様子を確認することができた。
炎で照らされた先に動く骸骨やゴブリンくらいの背丈のゾンビっぽいのが合わせて10匹ほどいた。
骨が四匹、ゾンビが六匹だ。
これが、ファンタジーでアンデッドと呼ばれる生物なのだろう。
というか、ここがファンタジー世界だから許容できてるけど、日本でこんなの見たら絶対叫んでるな。
見た目が怖すぎる。
あいつらの種族説明と俺を狙ってきている理由を教えてくれ。
【スケルトン F+ランク】
【動く骸骨。素早さ、耐久、攻撃力ともに低い。アンデッドの中ではかなり倒しやすいほうで、骨をある程度粉砕するだけで倒すことができる。】
【ゴブリンゾンビ E+ランク】
【攻撃力や素早さは大したことないが、高い再生能力が厄介。弱点の属性で攻撃できない場合、ひたすら攻撃し続けるしか倒す方法はない。自分より格上の攻撃でもある程度は耐えて再生できる。】
スケルトンは大したことないけど、ゴブリンゾンビのほうはランクの割には厄介だな。
それで、こいつらが俺のところに来た理由はなんだ?
【アンデッドは基本的に生者の持つ生命力にひかれて寄ってくる習性があります。それで、この付近で一番生命力の高い貴様のもとにやってきたのでしょう。ちなみに、アンデッド系統は神聖魔法、光魔法、火魔法の順に弱いです。ほかの属性の魔法や物理攻撃は反対で効きづらいです。】
アンデッドの群れが俺のところにやってきた理由は分かった。
確かに、森の奥のほうに行けば俺よりも強いやつはいっぱいいるけど、浅いところだと多分俺が一番強いもんな。
それから、火属性の攻撃が弱点ってことが分かったのが大きいな。
では、さっそく攻撃していきますか。
スケルトンはともかく、ゴブリンゾンビは巣に近づいてきてほしくないからな。
それと、俺のこと貴様って呼ぶのはマジで何でなんだよ……。
【ファイアーボール】でアンデッドの近くを照らして、狙いを定めやすくした状態で魔法を放っていく。
スケルトンには【ファイアーボール】、ゴブリンゾンビには【ファイアーアロー】を放つ。
照明代わりの【ファイアーボール】を維持しながらの攻撃は大変だったので、全てのアンデッドに攻撃するのに多少の時間がかかった。
が、【魔力制御】の訓練にはなっただろう。
スケルトンのほうは、全身が燃え上がったあと少し苦しそうにしてからばらばらと骨が崩れていった。
火が消えたあとには、白い骨粉がわずかに残っているばかりだ。
ゴブリンゾンビのほうは、【ファイアーアロー】が命中してすぐのときは苦しんでいたが、時間がたつと炎の矢は消えてゴブリンゾンビたちはまた動き出した。
一応弱点の攻撃をしたわけだが、まさか耐えられるとは思わなかった。
焼け落ちた部分も元に戻ってるし、もう再生したということなのだろう。
ダメージ重視で【ファイアーアロー】を放ったわけだが、ゴブリンゾンビたちには【ファイアーボール】で全身を燃え上がらせたほうが有効かもしれない。
そう思って、今度は【ファイアーボール】をゴブリンゾンビめがけて放つ。
俺の予想はあっていたようで、ゴブリンゾンビたちはさっきよりも苦しそうにもがきだした。
やっぱり、再生能力の高いゴブリンゾンビはこっちのほうが有効だったな。
それでこのアンデッドが発生した理由だけど、多分誰かが倒したゴブリンの死体をほったらかしにしたか魔獣に殺されたかして死んだゴブリンがアンデッド化したのだろう。
前にゼストたちとゴブリン集落に行ったときに、ゼストが魔獣の死体をほったらかしにするとアンデッド化することが多いって言っていたからな。
このゴブリンゾンビたちをどうするかだが、もう一度焼き炭にすればさすがにもう復活することはないだろう。
というわけで、燃えてるゴブリンゾンビたちに向かって【フレア】を放つ。
これで跡形もなく焼き飛ばせるだろう。
フレアの火が消えるころには、ゴブリンゾンビたちは跡形もなくなっていた。
が、あたりにひどい悪臭が漂っていた。
そりゃそうか、あいつらの肉体腐ってたんだもんな。
変な匂いがして当然だよ。
結局、今日の夜は巣に置いてあったアップルンを持って避難することになった。
あの匂いが完全になくなるまで結構かかるだろうからな。
今日は風も少ないし。
明日の朝までには匂いが完全に消えていることを祈っとこう。
活動報告のほうで書きましたが、現在二作目を執筆中です。そちらの作品を投稿した際には、ぜひとも見てくださるとありがたいです。





