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第百八十九話 vs人足クロマグロ

 魚のくせに空を飛んできた人足クロマグロが、俺の真上で回転してかかと落としを叩き込んでくる。


『ルナ!』


 俺は短く叫ぶ。

 ルナが俺の背を蹴って空中に飛ぶのを見てから。

 俺は翼を顔の前に持ってきて、人足クロマグロの足を受け止めた。


『ぐ……!』


 さすがは攻撃力900近く。

 翼の骨からボキッという音が鳴るくらいには、威力が高かった。


 俺は歯を食いしばりながら、【再生ノ蒼キ炎】を使う。

 翼が蒼い炎に優しく包まれる。


「【風刃斬】!」


 ルナが空中から風の刃を放つ。

 人足クロマグロが発動した【ウォーターボール】ごと切り裂いたものの。


 人足クロマグロは自身が切り裂かれたことを一切気にすることなく、俺に向かって追撃を繰り出してきた。

 【ダーツフィッシュ】で勢いをつけて、からのキック!

 さかさまで落下する俺めがけて迫ってくる。


『まともに喰らうわけにはいかねーよ!』


 俺は右足を人足クロマグロの足に添え。

 そして、受け流した。


 攻撃が空ぶった人足クロマグロがすごい勢いで落下していく。


 俺は体勢を整えてから、【プラズマアロー】を数発放つ。


 自由落下中のルナが地面に着地するよりも先に。

 人足クロマグロの蹴りが地面にたたき込まれた。


 衝撃で巨大なクレーターが出来上がる。

 そこへ雷の矢が炸裂した。



「攻撃力高いね。私が当たったら、そのまんま死んじゃいそう」


 ルナが風魔法を応用して、スタッと地面に着地する。

 結構な高さから落ちたが、落下ダメージは一切喰らっていなかった。

 やっぱ風魔法は便利だな。


 ちなみに、俺も落下ダメージを受けることなく着地できたぞ。



「ブオオオオォォォオオオオオォォオオオオ!!!」



 突如、雄たけびが響き渡った。

 雄たけびの衝撃波だけで、舞っていた砂埃が吹き飛ばされるようにして晴れる。


 雄たけびを上げた張本人である人足クロマグロが、砂埃が晴れるとともに姿を現した。


『な、なんかヤベェ感じになってんな……』

「すごく怖い……」


 体から真っ赤な血を流しながら、焦点の合わない目で空を睨みながら叫んでいる。

 薬チュウがラリったどころではないくらいに目がギラギラしていた。



 【血濡れ賛歌】

 【血を浴びるとさらに狂乱化し、攻撃力・素早さが上昇する。自身の血を浴びることでも発動する。このスキルの発動中は通常時よりも凶暴性が増し、生物が目に映ろうものなら障害物など気にせず一直線に迫って問答無用で襲いかかる。】



 ルナの【風刃斬】で傷つけられた場所から流れる血によって、このスキルが発動してしまったようだ。

 人足クロマグロは最初から常に【バーサーク】状態だから、実質デメリットなしの強化スキルってわけか。


 このスキルは【バーサーク】と重複するみたいだし、今の人足クロマグロの攻撃力は多分1500くらいあるよな。

 俺でもまともに攻撃を喰らえば、当たり所によっては一発で死にかねんぞ。


 あと一発でも攻撃を当てれば勝てるが、何気に結構やばみざわじゃん。



 人足クロマグロが叫ぶのをやめ、俺たちのほうを向こうとする。

 ……このままだと、俺より先にルナがやつの視界に映るな。


 翼の修復の関係で、さっきの自由落下中にルナを回収することはできなかった。

 空中戦なら簡単に迎撃できたが、そうも言ってられなさそうだ。


 まずはやつの意識を俺のほうに引きつけないとな。



『ハンバーーーーーーーーグ!』



 とりあえず頭に浮かんだ言葉を適当に叫ぶと。


 ――ギョロリと。

 人足クロマグロが、イッちゃった目で俺を見た。怖い。


 よし! 気を引きつけるのは成功だ!


 人足クロマグロが地面を蹴る。

 二つ目のクレーターが出来上がった。


 人足クロマグロが一直線に迫ってくる。


『【サンダーウォール】!』


 人足クロマグロの進行上に雷の壁がせり上がる。


 さあ。ジャンプで乗り越えるなり、左右に回り込むなりしてくるがいい。

 その瞬間にルナと一緒に魔法を叩き込む!


 ――とか考えてたら、人足クロマグロは雷の壁の中を突っ切って俺のもとまで来ようとした。


「ジェエエエェェエエッ!」


 バチッという電気が迸る音がし。

 電気をもろに浴びた人足クロマグロが、体を焦がしながら慣性の法則で吹き飛んでいった。



「……なんか勝ったね、お兄ちゃん」

『だな……』



 生物が目に映ろうものなら障害物など気にせず一直線に迫って問答無用で襲いかかる、だったか?

 一直線に来すぎだろ。

 当たっちゃダメな障害物くらい気にしろや。


 【血濡れ賛歌】に明確なデメリットはないと思ったが、どうやら間違いだったようだ。

 通常時はかろうじて残っていた思考力さえも失ってしまうから、やりようによっては簡単に対処することができるようだ。

 今回のように。


 ……なんにせよ、人足クロマグロとの戦いはあっけなく決着がついた。

攻撃力1500とかあたおか(頭おかしいの略)やろ。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] なんで最近更新してないんですか?
[一言] 更新お疲れ様です。 想像以上に呆気なかったクロマグロ。 尚、クロマグロはバトル後ノア氏達が美味しくいただくのでしょうか? つーか、食えるのか?
[一言] 人足クロマグロ....あっけない.... さよならクロマグロよ、あなたの勇士は忘れない..... (個人的にこのキャラ好きでしたので)
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