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刺激あふれるアフタヌーン

ある日の午後、庭の東屋でミアとジェイクはお茶を取っていた。ヴロワ家では見慣れた光景である。普通ならば、貴族と使用人が共に卓を囲む事など無いのだが、二人の年齢から許され、屋敷の者達には、微笑ましく見られていた。


「ジェイク~。目を瞑ってあーんして!!」

ミアが甘い声を出し、上目遣いをする。

傍から見れば、愛らしい少女がおねだりしているようにしか見えない。普通の人ならば、何でも許してしまいそうになる。彼女の両親は、いつもこれで落ちている。だが、こんな時はジェイクは冷や汗しか出ない。


「ミア、何か企んでいるだろう。」

「何も企んでいないわ。ここにある物で何が出来るっていうの?私を食べ物を粗末にする、酷い人間だと思って?神の教えに背くことなどしないわ。」

机の上には、サンドイッチ、スコーン、ケーキが並んでいる。今日のケーキはブルーベリーパイだ。

意を決し、ジェイクは口を開いたのが最後。ぎゃーと叫び声を上げ、椅子から転げ落ちた。

「良かった。確かめたかったのよね。これで進められるわ。」

「人で実験するんじゃない。舌がビリっときた。只じゃおかない。何をしたんだ。」

「私の身に何かあったら一大事でしょ?毒など仕込んでないから安心してね。」

胸の前に両手を合わせ、ウインクをした。使用人の中から、可愛いとの奇声が上がった。

元より、許すしか道は残されていない。ジェイクは、口から吐き出した地面に落ちている物をまじまじと見た。

「フォークに、布に、銅貨…。」

「ねっ?変なものは入れてないでしょう?」

「いやいや、口の中に食べ物以外の物を入れるんじゃない。」

「えっ?ジェイクは食べ物をカトラリーを使って食べないの?野蛮ね。外のごろつきでさえ、カトラリーを使うわ。」

「話をそらすんじゃない。ミアお嬢様、私に何をしたのか教えてくださいませ。」

と、丁寧な言葉遣いにして頭を下げた。やられっぱなしで憐れである。

「ごめんなさいね。でも面白かったわ。その布を触ってみて。」

ジェイクは落ちている2センチ四方の布を触った。

「湿っている…。」

「ええ。ジェイクの唾液も混ざっちゃったけど、塩水よ。お詫びに何をしたのか教えてあげる。電気を起こしたの。」

「電気?雷のことか?」

「えぇ。雷も電気だけど、自分の思い通りに使えないでしょ。だから作ったの。」

「電気を思い通りに使う?食塩で?

落雷で人を殺すのか??もしや、大奥様を殺すのか?」

「何で、お婆様を殺すのよ。物騒なこと言わないで。そのフォークは何性?」

「銀だな。もったい付けず早く教えてくれよ。」

「せっかちね。銀と銅という別の材種の金属を触媒を通して合わせることで電気を起こしたの。電気があれば色々なことが出来るのよ。」

「何で別の種類の金属で電気が起こるんだ?

ってより、また何か企んでるな。俺を実験台にするんじゃないぞ。」

「企むって何のことかしら。後のお楽しみ~」

ヴロワ家の微笑ましい一日であった。

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