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トランプタワー

作者: 楽行

鈴木君が楽行小学校・三年二組に転校してきたのは、7月1日のことだった。


夏休み前なのにやってきた転校生に僕は興味津々だった。


でも、話しかける勇気はなく、遠目に見ていた。


すると、鈴木君はトランプを取り出し、タワーを作り始めた。


一段。


二段。


三段。


四段。


そして、最後の段を作り始めた時、タワーが崩れた。


鈴木君のせいではない。


いじめっ子の田中君が邪魔をしたのだ。


田中君はにやぁと嫌な笑いした。


僕はあの笑顔を見ると、お腹がキュッとなる。


だが、鈴木君はニコッと笑うと、また作り始めた。


その表情にイラついたのが、田中君は席に戻った。


一段。


二段。


三段。


四段。


そして、最後の段を作る時に、また、田中君が邪魔をした。


それから、鈴木君と田中君の攻防が始まった。


田中君は手下の子と一緒にトランプタワーを崩す。


奇妙なのは、鈴木君は嫌な表情をせず、崩されては作り、崩されては作っていたことだ。


邪魔されるならやらなきゃいいのに。


いじめられている転校生を助ける勇気のない僕はそう思うだけだった。


夏休みになり、田中君のトランプタワーは完成を見ることはできなかった。


夏休みは海に行き、肌を焼き。


朝顔に水をやり、本を読んで読書感想文を書いた。


夏休みをすぐに終わった。


鈴木君と田中君と手下の子は転校してしまった。


先生の話では、お家の事情らしい。


みんながそわそわしているのがわかる。


でも、みんな、すぐに元に戻った。


僕は次の日、トランプを学校に持って言った。


一段。


二段。


三段。


四段。


五段。


トランプタワーが完成した。


邪魔する生徒はいなかった。

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