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01 旅立ち

 

 魔王城を出てから右に突き進んだ俺は、すぐに海岸へと辿り着いた。そこから海岸沿いに移動してみたが、どうやらここは小さい孤島のようですぐに元の位置に戻ってきた。


「今回は孤島か。孤島っていったらあそこか?」


 だいたい魔王城が建てられる場所は決まっており、七箇所ほどをループしている。そのうち孤島は一箇所なのですぐに現在地を予測できた。


「さて、『魔物生成クリエイト・モンスター・シードラゴン』!」


 俺が魔法を唱えると、目の前にシードラゴンが生成された。

 魔物生成とはその名の通り魔物を生成する魔法で、自分の魔力を分け与えることで魔物を生成することが出来る。

 この魔法で生成された魔物はいわば魔力の塊のようなものなので保有魔力量によって強さの全てが決まるのだが、姿や使用可能なスキル等はその魔物に準ずる。また、魔力を使い切ると自然消滅し、魔力が残った状態で倒されると残りの魔力は全て俺に変換される。

 正直言って、大変優秀な魔法である。

 ちなみに『魔物召喚サモン・モンスター』もあるのだが、こちらは魔力で本物のモンスターを召喚する魔法だ。こちらの方が強力なのだが、独自で行動をするので扱いづらいのが難点となる。

 そしてスキルとは習得している技能のことで、この世界では明確にスキルとして習得していれば使えるし、していなければ使えない。

 スキルの他にも強さの絶対的な値となるレベルがある。絶対的というのは、自分と対象の両方がレベルを持っていた場合に、レベル差があると補正がかけられるということだ。

 つまり、レベル100の人がある魔法を使ったとして、それをレベル100の人が受けるかレベル10の人が受けるかで威力が変わってくる。

 そして定番だが、『鑑定』のスキルを持っていれば対象の年齢、名前、種族、レベル、スキルの情報を読み取ることも可能だ。


「それじゃ、出発しますか」


 早速シードラゴンに乗って、海を渡っていく。ちなみにシードラゴンにした理由は、海感を味わえるからだ。海って初めて見るけどなんかすごいな。




 まず俺が目指したのは、ここから東南の方にある『ジャダ樹海』だ。俺の記憶に間違いがなければ、前回の魔王城はここだったはずだ。

 前回復活させられた時の地図が記憶に残っているので、天変地異でも起こっていない限りこれを参考にして大丈夫だろう。


 なぜジャダ樹海にしたかというと、単純な興味からだ。

 今まで何度も復活してきたが、一度として魔王城の位置が連続することは無かった。たまたまなのかもしれないが、おそらく何かがあるのだろうとふんでいた俺は、割と前からその事が気になってきたのだ。たしか500年くらい前から。

 しかし、外とはこんなに心地よいものなのだろうか。海風が肌を撫で、波打つ音が眠気を誘う。

 今までめんどくさがって魔王城に籠ってたが、正直損した気分だ。


 そんなことを考えながらシードラゴンの上でのんびりしていると、東の方から汽笛が聞こえた。


「ん?おお、あれが船ってやつか。でかいな」


 厄介事を持ち込むのも面倒なので変化魔法で人の姿に変化しておいた。こちらから接触する気は無いが、向こうから接触された時のためだ。というか、こんな海のど真ん中でシードラゴンに乗ってるとか、確実に接触してくるだろう。


 一応船の方を気にしながら進んでいると、そんな俺の予測が裏切られたと言うべきか裏切られなかったと言うべきか、突然船の方から大量の魔法が飛んできた。

 こう言っては悪いがしょぼい魔法ばかりだったので俺には『高位以下魔法無効』のスキルがあるため効かないが、シードラゴンの事を考えて一応結界を張って防いでおいた。

 俺が魔法を防ぐと、近くまで来ていた船から声が聞こえてきた。


「な、なんだ!?シードラゴンが魔法を防いだぞ!」

「シードラゴンって結界使えるのか!?聞いてないぞ!」

「お、おい!よく見ろ!人が乗ってないか!?」


 最後の人は俺に気づいたようだが、なるほどいきなり魔法をぶっぱなしてきたのは魔物が現れたと思ったからか。


「お前ら危ないだろ!ちゃんとよく見やがれ!」


 こちらの存在を認知させるためにも、それっぽく叫んでおいた。


「なんでシードラゴンに人が…」

「それよりさっきの結界を張ったのはこの人か?」

「だとしたらとんでもない強さだぞ?」

「お、おい!鑑定持ちは居ないのか!?」

「だめだ!何故か鑑定出来ない!」

「こいつ、もしかしてあの転生者とかいうやつらの一人じゃないか!?」

「そ、そうだ!それだ!だからこんな無茶苦茶な…」


 聞き耳を立てていると、船上での論争はだいたいこんな感じだった。

 それにしても、転生者か。今の俺のことをそれで納得出来るなら、転生者というのは余程強い連中なのだろう。一応気をつけなければ。

 鑑定出来ないというのは、俺のスキル『魔王の畏怖』の効果で、俺のレベル以下の者は俺に干渉出来ないというものだ。

 しかし、俺はかなりレベルが上がりにくく、復活する度にレベルが下がるのでレベルはそこまで高くない。聞いた話によると、勇者なんかはめちゃくちゃレベルが上がりやすいらしい。俺にも勇者やらせてくれよ。

 というか、俺自身既に人間をどうこうする気は無いのに勇者と対立している理由がこのスキルだ。一度勇者と話し合ったのだが、俺のことは事細かに言い伝えられており、放置しておくとこのスキルがあるから手をつけられなくなる可能性があるとかで結局毎回討伐されるのだ。

 誰か、このスキル引き取ってくれませんかね……


 結局船からそれ以上の追撃はなく、無視して進んでいったら向こうも諦めてくれた。

 しかし、せっかくいい気分だったのにいきなり人に襲われるとは、魔王の定めというやつなのだろうか…

 とりあえず、勇者─というか人側で俺よりレベルに高いやつに遭遇するとアウトなので、気をつけるべきは勇者一行と転生者とかいう連中だろう。さすがにレベルがあまり高くないとはいえ、そこらの強者に劣る程ではない。

 出来ることならレベルを上げたいが、魔物を倒すのは気が引けるし、人を倒して揉め事になるのも嫌なのでどうしたものか。一応人側でも魔王側でもないやつらもたまにいるので、そいつらで気に食わなかったやつを狩ることにしよう。あとは、転生者の立ち位置が気になるところだ。


 そんな感じで今後のことを考えながら、俺はジャダ樹海を目指して進んでいくのだった。


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