(13)
卒業生らしく、別れるための笑みを浮かべる。
「でもこの関係も、今日でおしまい」
「そう……ですね。今日で、お別れですもんね」
対して悲しそうな笑みを浮かべる彼女に、私は手を差し伸べる。
「最後ぐらい……良いかな?」
「……そう言えば、今まで手も繋いだこと、ありませんでしたね」
言って……伸びてきた彼女の手を掴み、一気に引き寄せた。
「えっ……!?」
驚き固まる彼女の身体を真っ二つに折るかのように、強く強く抱きしめる。
私らしくない行為。正直言ってめちゃくちゃ恥ずかしい。
でも今まで……あの体育祭の後からずっと頑張ってくれていた彼女に比べれば、この一瞬ぐらいどうってことない。
こうまでしないと、彼女の気だって、逸らせないのだから。
「……ん、ありがと」
「ぇ、あ……い、ぃえ……」
身体を離し、彼女の顔を再び真正面から見つめる。
そうして顔を真っ赤にして消え入りそうな声で返事をする彼女に向け、私は微笑みを返す。
でもきっと、私の顔も同じぐらい真っ赤なのだろうと思う。
「それじゃあ――」
「あ……」
名残惜しそうに離れる私に、少しだけ手を伸ばす彼女。
そんな彼女の手に触れないよう離れながら、私は自分のスマホを取り出す。
日頃からネット回線を切っているソレを操作し、回線を繋ぐ。
見なくても出来るぐらい手慣れたその行為。
もちろんそれは、私と同じ機種に変更した彼女の携帯電話でも出来る。
いつもスカートのポケットに入れている、私と同じく友達がいないからと、いつもは回線を切っているその携帯。
さっき抱き締めた時に操作して、回線は既に繋がっている。
その彼女の携帯に向け、私はあるものを送信する。
……今まで友達がいなかったから、連絡用のアプリなんて入れていない。
でも彼女は陸上部の付き合いがあるからと、買うと同時に入れていた。
その時に教えてもらっていて、でも全く操作していなかったソレを……私は昨日、やっと入れた。
だからそれを……入れたことを伝えるためのものを、今まで渡していなかったものを、送った。
友達“めいた”関係から、ちゃんとした友達になるための、第一歩を。
「――これからも、友達としてよろしくね」
小さく、最初の一言として添えた一文を読み上げながら、私は家への道を歩き始めた。
妄想だけで書ききった短編のような中編のようなもの、以上で完結です。
ありがとうございました。




