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チートスライム拾いました、その名はすらいちゃん。攻撃はもちろん回復までなんでもござれ。俺の存在を疑問視することもあるけど仲よくやってます。でもね、女性に触手プレイをするのはやめて。捕まるから、俺が!  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
Episode1.ダンジョンで助けたのは魔法学校の女の子!? 少し勝気だが心優しい少女の名前はジュリエッタ・セラート。そんな彼女をモンスターの囮にした奴らはすらいちゃんがお仕置きよ!
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24.いざ火竜のダンジョンへ! どうしたのすらいちゃん? ――え、なんでそんなに警戒しているの、嫌な予感しかしないですけど……。



 ――どうする? どうすればいい? 俺になにができる?


 追い迫る火竜への対策を頭の中で考えるも、なにも思い浮かばない。

 思いついたとしても実践することができるはずもない。

 種族としての格が違い過ぎるのだ。


「このままダンジョンの外に逃げていいのか?」


 すでに外に逃げたジュリエッタとアンジェリカのことを考える。火竜という化け物を連れて外に出てしまえば、彼女たちに危害が及ぶ。

 それだけは避けたかった。

 騎士たちがいるが、火竜に対抗できるほど戦力が整っているわけではない。デヴィッドが用意した武器もおそらく通用しないだろう。


 ――いっそこのまま俺が囮になってダンジョンの奥までいけば……。


 不意にそんなことが脳裏によぎる。

 自殺願望があるわけではなく、英雄になりたいなどと大それた夢を抱いたことなどもない。

 しかし、女の子二人を助けるくらい、人生で一度くらいしたっていいじゃないか。

 震える体を叱咤して、火属性のモンスターに友好の弾丸を拳銃に込める。


「お前は逃げてくれ!」


 ダンジョンの出入り口で足を止めると、腕の中のすらいちゃんを外に向かって放り投げた。


「――ぴっ!?」


 いくらすらいちゃんが強くても、火竜には勝てない。

 たった数日とはいえ、楽しくも慌ただしい時間をくれた相棒に死んでほしくなかった。


「俺が相手だ、この野郎!」


 引き金を引く。

 轟音、轟音、轟音。

 水の魔術の加護を受けた弾丸が火竜に向かう。狙いは眼球だ。いくら火竜が強かったとしても、鱗が鋼のようだとしても――生き物なら眼球を鍛えることはできない。

 弱点のわからないモンスターを相手にするには、まず目を狙えという戦闘方法もあるのだ。


 ――頼む、効いてくれ!


 だが、デヴィッドの願い虚しく、弾丸は火竜に当たるよりも早く――纏う炎の熱によって蒸発してしまった。


「嘘、だろ? これ、竜用なんだけど……」


 効果がなかった、ならまだわかる。狙った場所を外れたのであれば自分が悪い。竜の眼球は鱗と同じくらい硬かったとしても理解はできる。

 しかし――体に届かなかったは問題外だ。


「――ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ」


 再び竜が咆哮する。

熱波が襲い、身が焼かれていく。

 まずい。まずい。まずい。このままでは無駄死にだ。冷や汗すら流れない。

 唇を噛み切り、デヴィッドは逃げだした。一度はとどまり、自らの命を賭しても竜から少女たちを遠ざけようと決意しながら――無様に逃げだしたのだ。

 留めることはできない。戦うことすらできない状況下で、みっともないがなにもできないことを認めて逃げに徹した。


「――ガァアアアアアアアアアアアアアッ」


 短く竜が咆哮を上げ、炎を吐きだした。


「ちくしょぉおおおおおおおおおおおおっ」


 無様に転がりながら、死に物狂いでダンジョンの外を目指す。 

 逃げに徹した獲物を逃がすものかと、竜が止めていた足を進めて追いかけてくる。

 絶望的な鬼ごっこだ。捕まる捕まらない以前に、火竜がダンジョンの外へ出てきただけでゲームオーバーとなるかもしれない。

 このダンジョンに常駐している兵はいない。戦ってくれる人間がいないのだ。

 逃げる。走る。走る。走る。躓き、転び、立ち上がって、また走る。

 ダンジョンを蹂躙する熱のせいで喉さえ焼けた錯覚を覚えながら、懸命に酸素を肺に取り込んで我武者羅に走る。


「逃げろぉおおおおおおおおおおおおっ!」


 ダンジョンを駆け抜けた刹那、あらん限りの声でデヴィッドは叫んだ。

 眼前には騎士たちが撤退準備を終えていた。少しは時間が稼げたのだと思うと、心が軽くなる。


「デヴィッド――後ろっ、危ないっ!」

「――え?」


 反射的に振り返ってしまった。

 逃げに徹しておきながら背後を振り返るなどしてはいけないにも関わらず、してしまった。

 ダンジョンの出入り口から竜の長い首が覗いている。

 大きな咢をこれでもかと広げ、炎と唾液をまき散らしながら――獲物を食わんとしていた。


「――やべ、死んだ」


 覚悟ができたとかできないではなく、眼前に迫った死から逃れることができないと理解してしまった。

 恐怖と諦めをぐちゃぐちゃに混ぜた感情が体中を駆け巡り、動きを止めてしまう。

 馬鹿みたいに棒立ちになったデヴィッドめがけ、竜の咢が迫る。

 誰かが叫んだ。

 デヴィッドか、ジュリエッタか、アンジェリカかもしれない。

 考えている余裕などなかった。ただ、悔しいなぁと思う。なにもできぬまま死んでいくことが。ジュリエッタの力になることができぬまま死んでいくことが、とにかく悔しかった。



 死を理解したデヴィッドに咢が迫る。ゆっくり目を閉じ、死を受け入れようとしたとき――竜の首が飛んだ。


「――え?」




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