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チートスライム拾いました、その名はすらいちゃん。攻撃はもちろん回復までなんでもござれ。俺の存在を疑問視することもあるけど仲よくやってます。でもね、女性に触手プレイをするのはやめて。捕まるから、俺が!  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
Episode1.ダンジョンで助けたのは魔法学校の女の子!? 少し勝気だが心優しい少女の名前はジュリエッタ・セラート。そんな彼女をモンスターの囮にした奴らはすらいちゃんがお仕置きよ!
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20.いざ火竜のダンジョンへ! 注意事項。怖いドラゴンには注意しましょう。極力奥には入らないようにしましょう!




 火竜のダンジョンに着いたデヴィッドたち一行は、その日にダンジョンに挑むのではなくしっかり一日休んで万全を整えることにした。

 すぐにダンジョンに挑みたかったジュリエッタに対し、デヴィッドと護衛騎士が待ったをかけたのだ。

 ダンジョン名の通り中には火竜が溢れている――が、本当の意味で火竜と呼ばれるのは、ダンジョンに巣くうボスのことだ。


 一般的に火竜と呼ばれるドラゴンたちの母親であり女王でもある火竜こそ、ダンジョンを統べる王だ。

 だが、ジュリエッタが求めている火竜の血はなにもダンジョンの主を相手にする必要はない。彼女の眷属であり子供たちも火竜の血を引いているため、そちらを狙ったほうがずっと難易度が下がる。

 無論、相手はドラゴンなので難易度が下がっても危険は危険であることにかわりない。


 すでに夕食を取り、少女たちは簡易テントで休んでいる。モンスターよけの結界を張り、騎士たちが見張りについているため危険は少ないだろう。ダンジョンからも距離を取っているし、なによりも一見するとただのスライムであるが、実は強いすらいちゃんもいるのだから雑魚モンスターは寄ってこないはずだ。


「明日はダンジョンか――」


 はっきりいってしまうとデヴィッドの出番はあまりない。護衛も騎士が行い、見張りもそうだ。危険のない場所を選び、夕食を作り、テントを設置したのはデヴィッドだが、この程度のことは誇れることではない。


 明日のダンジョンも目的は火竜の血を手に入れることなので、上層部の一階で待ち構えることが最善である。戦いに関してはドラゴン用の弾丸を用意してきたが、魔法が使えず特別なスキルをもたないためどこまで力になれるのか不安だった。


「お前は余裕があるみたいでいいなぁ」


 同じテントの中、鼻提灯を作って器用に眠っているすらいちゃん。

 よく食べ、よく眠り、就寝前にはジュリエッタとアンジュリカとよく遊んでいた。まるで成長期の子供のようだと苦笑してしまう一方で、すらいちゃんのような余裕が自分にもあればと思わずにはいられない。


 すでにダンジョンの中に入らない約束の護衛騎士とデヴィッドはこっそり打ち合わせをしていた。

 ギルドを介して雇われた以上、依頼主であるジュリエッタたちになにかが遭っては困るのだ。騎士たちも考えは同じであり、聞けばジュリエッタから信頼されていないことが結構ショックのようだった。

 万が一が起きないように気を付けるが、少しでも危険があればすぐ騎士たちを呼ぶ約束を交わすと、感謝されてしまった。


 騎士たちにとって仕える主の娘になにかあったら大問題になる。それを抜きにしても彼らが個人的にジュリエッタたちを案じていることが伝わってきたので、話をしてよかったとデヴィッドは思う。

 幸い、なぜか信頼されている自分に悪感情を持たれていることもなく、少女たちの安全を願う大人同士としてダンジョンと火竜に関する情報交換をすることができたのは大きな実りとなった。


「ジュリエッタとアンジュリカのために俺になにができる?」


 戦っても弱く、特技もない。そのことが少しだけ悔しかった。

 結局デヴィッドはわずかしか睡眠をとることができず朝を迎えたのだった。



 ※



 朝食を簡単にすませたデヴィッドたちは、火竜のダンジョンの入り口に立っていた。

 このダンジョンは少し変わっていて、ただ地下に潜るだけではなく地上にも続いているのだ。最上階に到達した者の情報では地上は十五階らしい。


 ドラゴンたちは気まぐれで、地下にいることもあれば周囲を飛び交うこともあるそうだ。しかし、基本的に夜間は眠っているため時間帯さえ気を付ければ火竜のダンジョンの難易度はドラゴンが巣くっている割には高くない。


「――準備はできてる?」

「もちろんです」

「ぴぴぃ!」

「俺も準備はできてるよ――でも、その前にもう一度火竜のダンジョンのおさらいをしておこう」


 いざ行かんとするジュリエッタの出鼻をくじく形になったが、不満の声があがることはなかった。


「火竜のダンジョンは、ドラゴンの巣窟だと言われているけど、ドラゴンそのものがそうそう数がいる種じゃないことは頭に入れつつ、だけど必ずワンフロアで一体以上遭遇するであろうことは覚悟しておいてほしい」


 歩く度に遭遇する数がダンジョン内にいたとしたら間違いなく、この場でこうも悠長に最終確認などしていられない。


「ダンジョン内は熱いから水はこまめに取って。暑くても肌を露出しないように。やけどの原因になるからね。俺たちも目的はダンジョンの攻略ではなく、火竜の血を手に入れることだから無理して奥に進むんじゃなくてドラゴンを見つけることに集中しよう。いいね?」


 相棒と少女たちが頷くのを確認して、デヴィッドは続ける。


「当たり前だけどダンジョンの中はドラゴンだけじゃない。モンスターは炎属性が多く生息しているけど、そうじゃないモンスターもいるから気をつけて。また、あまり寄り道しないほうがいいんだけど、熱のおかげで温暖な気候でしか育たない動植物や、炎の力を宿す魔法石なども豊富に取れるから危険がなければ採取してもいいかもしれないね」


 稀有な動植物や、魔法石などは売ればいい金となる。目的以外のことをするべきではないのだが、万が一火竜の血を手にいれることができなかったことを考えて、値段が張ることを覚悟して購入も考えるべきだ。


 ジュリエッタの心情を鑑みれば彼女自身が火竜の血を手に入れ、姉を治す薬を手に入れることが望ましいが、無理をした結果、怪我をすることは避けたい。


「植物の中には火傷に効くものもあるから見つけることができたら手に入れておくほうがいいかもしれないね」


 デヴィッドにとって火竜のダンジョンははじめてではないが、少女たちにとっては未知なる世界が広がっているように見えるだろう。

 ダンジョンは毎日変化するものであるため学生時代のままだと思えないし、思ってはいけない。

 モンスターも強くなっている可能性があり、些細なことで危険に陥る可能性があるのだ。雇われた冒険者として、少々神経質になっていたほうが丁度いいと思われる。


「――じゃあ、まずは一回目の捜索をはじめようか」

「ぴっ!」

「うん! 頑張るわよ!」

「はい! 慎重に参りましょう」


 三者三様の返事を受け、デヴィッドたちは火竜のダンジョンに足を踏み入れたのだった。



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