第伍種接近遭遇ユーズドバイク - 1
「こんばんはーっ!」
人魂式自動ドアを潜った私は、定石通りにごめんくださいをしつつ、たったか足早にレジ前へ向かう。何故に商品棚ではなくレジ前かというと、まずは店長にご挨拶、という他に、この位置が最も手広く店内を見渡せるからだった。
ささっと素早く視線を移動させ、いまやすっかり見慣れたラインナップを点検していく途中で、私は全力で固まった。まさかの二度見。ついでに、うぇ?とか何とか無意識に口走っていた気もする。
この店の一般商品が買えない為、何をおいても真っ先に私が見る例のコーナーから、自転車が生えていた。
…………うん、自転車だ。
本当だったら他のお仲間と同じく、行儀よく棚に並びたかったんでしょーね……。
図体に対して悲しいほど狭いスペースに、無理矢理収まろうとしたらしき努力の跡は見て取れる。が、努力ではどうにもできない事の多々あるのが世の常。自転車丸ごと一台が陳列棚に入る筈もなく、辛うじてタイヤの端っこを引っ掛ける形で「棚に収まる」名目を果たした箇所を除き、99%は盛大にはみ出しまくっていた。ちょうど橋を渡す格好で向かいの棚に寄りかかり、ついでに前輪やハンドルでそこら一帯の商品をなぎ倒し、決まり悪そうに斜めに傾いた全貌を晒している。
シュールだ。とってもシュールだ。
予想外すぎる光景による、束の間の思考停止。どうしてこうなったのか尋ねるのも忘れて、半開きの口で棚を見詰め続ける私の耳に、京さんの挨拶が届く。
「いらっしゃいませ、都様。状況は御覧になられている通りでございます。
という訳で、とっととそちらを持ってお引取りになってくださいませ」
「なんで私入るなり逆ギレされてるんですか!?」
理不尽っていえばこれ以上ないってくらい理不尽な八つ当たりに、叫ぶ。
私が何をした。




