崩壊と構築
疲れ果てた4人は赤く染まっていない地面を選んで座り込んだ。
赤い人は形を残さず肉片となって散らばっている。
もう動かないで欲しいという願いはどうやら叶った様で、11人は生き延びたと思われた。
しかし重症の者も親しい友人をなくした者もいる。
到底喜べる元気も雰囲気もなかった。
ふとそんな時長髪の男子が呟く、
「あの槍って健二か?」
健二とはあの茶髪のクラスメートだ。
健二は血の海に仰向けで浮かんでいた。
全ての皮膚を剥ぎ取られ、瞼もない状態でただ緋色の空を凝視していた、その瞳に命は宿っていなかった。
「もしかしたら最後の力を俺たちに振り絞ってくれたのかもしれないな」
右手の出血を抑えながらもう一人のクラスメートは言った。
彼らのノスタルジックな想いを壊しても仕方がない。
ここは黙っておこうと思った。
僕がギリギリまで何も出来ずにいたのは確かだ。
「でも倒したからって何かあんのか?何もおきねーぞ」
若者が言う。
確かにそうだ、静寂に包まれただけで死体も怪我もそのままで何も起こらない。
ただ生き延びたというだけなのだろうか。
すると突然。
ガン!ガン!ガン!ガン!と激しくぶつかり合う音が辺り一面鳴り響いた。
その音の行方は頭上にあった。
音と共に壁が下がって行く。
壁の向こうは闇、緋色の空は闇に浮かんでいた。
僕らが立つ血だらけの地面と平行になるまで壁は下がり、そして床も崩壊した。
落ちて行く感覚は無かった、むしろ浮かぶ様な心地よさ、睡眠に陥る寸前の夢の狭間…
きっとこれは夢なんだろう。
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僕は緋色の空を見ていた。
どうやら目覚めたみたいだ。
周りを見渡すと高い壁に挟まれている。
僕と同じ様に目覚める人々。
だと思った。
二回目だ。