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僕らの冒険2  作者: じっつぁま
闘技大会
54/61

54話



「ジュンイチ殿、久し振りですね?カムリです」


第2試合が終わり、勝った相手と昼食をとるジュンイチであった。相手はなんと、サイト村の隊長カムリであった。


「お久し振りです、カムリさん。どうしてこの大会に?」


「エルフの長から言い出したんですが、ヒューマン族に不穏の動きがあると言われ、しばらく前から準備していたんです」


ヒューマン族以外の種族には、前々からネットワークがあり、ヒューマン族の動きを見張っていたそうだ。最近のゴブリン族襲撃事件もあり、こんな時期にヒューマン族主催の闘技大会など怪しさ満載であった。そこで、それぞれの1番の強者が出場し、闘技大会中に宰相を襲うことにしたのだそうだ。


「どうするつもりだったんですか?」


「毎回準決勝には、最前列にリオンが観戦にやってくるのです。4人全てが揃う準決勝の挨拶の時に、リオンを襲撃することにしたのです」


多少穴がある計画であったが、4人共命は惜しくない戦士であった。話を聞いた後、ジュンイチは自分達の計画をカムリに告げるのであった。


『ジュンイチ、客席が満員になったから、午後は動きがありそうよ。準備はいい?』


「こっちは問題ない。他種族の人達が来てるんだけど」


『私はエルフ族と話したわ。ドラゴン族はリョウが、ドワーフ族はケーゴが話したはずよ。話しは伝わっているから、協力してくれるはずよ』


「分かった。じゃあ、スタートの合図は任せた」


『OK』


こうして、午後の試合に臨むこととなったのである。



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



「闘技場に集まってくれた諸君、勝ち抜いてきた精鋭達よ、本日はまことに有意義な1日である。今日は諸君らの健闘をご覧になるべく国王陛下及び女王陛下がお越しになられた。一言お話になられるので、清聴する様に!」


リオンが隅に引き込むと、国王陛下が拵えた高台に立ち、語りかけてきた。


『国民の諸君、そして戦士達よ、今日は余が君達を身近に感じるため城からやって来た。今年の戦士達は・・・』


国王の話はなんだか他の所から聴こえてくる様に感じられた。確かに国王の口は動いているのだが、まるでアテレコみたいに現実味が乏しかった。しかし、観衆は絶好調であった。久しぶりの国王自らのお話である。皆嬉々とした表情を浮かべていた。


国王の話が最高潮となり、観衆が雄叫びを上げ始めた頃、リオンの姿が消えた。国王は観衆の声に負けじと声を張り上げ、それに引き連れて観衆の声は更に大きくなった。まるでサバトの様な異様な雰囲気が漂って来た。


ジュンイチはある1点を見つめていた。自分が受け持つ場所である。そこに何がある訳でもない、不自然な空間をただ見つめていた。すると壁から少しずつ黒い箱がせり上がって来た。


その瞬間をじっと待つ。

黒い箱が開きそうになった瞬間、ジュンイチは動いた。


「しゅっ!」


最高速で箱に近づく、観衆は熱狂して気づかない、

しかし、国王の護衛の1人がジュンイチに向かって来た。


「かきーんっ!」


その護衛に向かって、観客席から移動してきた男が護衛の剣を受け止める。予定通りだ。そのままジュンイチは箱に近づいた。既に箱は半分以上開き、中から赤い輝きが覗いていた。ジュンイチは自分のポーチからレーコの魔道具を取り出した。それは虫取網の様な入口を持ち、網の部分は奇妙に動く物質で出来ていた。


ジュンイチが動き出して、赤い石に魔道具を被せるのに3秒と掛からなかっただろう、そして、


「やったぞレーコ、こっちは捕獲した!」


「まずいわジュンイチ、2個残っている!」


見渡すと、ユーマが担当する2ヵ所の赤い石が手付かずとなっていた。もうすぐ箱が全開し、赤い石が光を灯そうとしていた。


「くそっ!」


ジュンイチは踵を返すと、左側の石に向かって飛んだ。途中衛士の様な姿が見えたが、誰かが遮ってくれたらしく、邪魔はなかった。もう1つの石も確保できたが、後1個は間に合わない。どうなる!と凝視すると、カウンターから声がした。


「すまない、遅れた」


見ると最後の石を封じたユーマが確認できた。


「みんな、撤収!」


カウンターからレーコの声が響く。

全員が、ドワーフ達も含め、ユーマの元へ急ぐ。追いかけてくる衛士にそれぞれが足止め魔法を使う。


「フリーズ!」「ブラインド!」「ピットフォール!」「ウインド!」「炎ちゃん!」


約1名変な声がした気がするが、ユーマがやって来た穴に飛び込む。闘技場の外へ出た。そこには自動車が置いてあった。レーコとケーゴが乗り込み、ユーマは闇に消えた。ジュンイチはリョウを片手に空へ向かった。ドワーフ達は、自分達の馬車へ向かっていったのだった。


「何をしてる!追えー!追うんじゃー!何としても取り戻すんじゃ!さっさとせんかー!」


リオンの怒声が響く。しかし未だ興奮した観衆が邪魔をし、中々指示が行き渡らない。ようやく衛士達だけが闘技場の外へ飛び出した時には、既にジュンイチ達の影はなかった。


「絶対取り戻すのじゃ!それまで帰ってくるな!あれがないとわしは・・・」


叫び疲れたのか、興奮しすぎたのか、リオンはその場にうずくまるのであった・・・



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