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僕らの冒険2  作者: じっつぁま
終わりから始まりへ
5/61

5話



「最近の状況はどうだ?」


「経理的には問題ありません。ダンジョンからの魔石も順調に採取できていますし、植林した果物も今年の秋には期待した収益が望めると思います」


西大陸スカイオーク帝王アルフレッド・ルーン・スカイオークは宰相のアンデに近況の説明を求めた。アンデは現在アンデ・ルーズホーンと名乗っている。帝王より名前を下賜されたのだ。


「そうか、ご苦労だった。他に気になることはないか?」


「・・・あまり気にする程度ではないと思いますが、魔石の流通状況が偏ってきています。大陸西部の自治領は、現在魔道具開発に力を入れていると言われていますが、それにしても魔石買取量が徐々に増えています。我々としてはありがたいことですが」


「ふむ、一定量を上回るようであれば制限を掛けよ。我が国でも魔石は必要だからな」


「御意に」


帝国の経済状況は、少しずつではあるが改善してきている。これもひとえにアルフレッド他、以前謎の組織に属していた者たちの頑張り様なのだ。


「ところで、1号の足取りはつかめたか?」


「いえ、一向に」


「分かった、下がるがよい」


「はっ」


アルフレッドは一人となり、再び政務に勤しむのであった。



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



始まりは高校で


夏休みが終わり、今日は2学期初日である。いつもの様に朝の鍛錬を行った後、ジュンイチは高校へやってきた。クラスが変わり、初めてのクラスで、どきどきしながら登校したのだ。もちろん、見知らぬクラスメートと馴染めるかということもあるが、久しぶりに会うリョウの顔を見ることも、WKTKの原因でもあった。


「ジュンイチー、久しぶりー」


「あっ・・・ry、綾波さん、おはようございます・・・」


学校ではリョウと呼ぶことのできないジュンイチであった。


「えっ?ちゃんとリョウって呼んでよ?」


「いや、だって・・・」


周りの目線が痛い。すごくフレンドリーなリョウではあるが、言うまでもなく見た目はすこぶるかわいい。誰だこいつ?という目線に耐えられないジュンイチであった。


「お母さんに聞いていたよ。ジュンイチ頑張ってたんだってね?」


「ぅん。少し(レベルが)上がったよ」


「そうかぁ、私も行きたいなー」


リョウに話しかけられて、顔を真っ赤にしつつ、口元をにへらとするジュンイチであった・・・


その日はクラスメートとはリョウとしかしゃべらず、無事6時限の授業を終えた。昼休みは、弁当を食べながら、リョウと話しながら、午前中に出された宿題をさっさと終えた。リョウは他の人からも話しかけられていたが、基本はジュンイチとだべっていた。


放課後となり、リョウは「ジュンイチごめん、私フェンシング部に入ったの」と言って別れた。ジュンイチはこの後、少ない時間ながら異世界へ行くつもりだ。

玄関で靴を履き替え、校門を出ようとしたところで、後ろからどつかれた。


「おぉ、お前佐藤っていうんだってな。ちょっと顔を貸せや」


見ると、今どき流行らない茶髪リーゼントのDQNが3人いた。

そのまま肩を組まれて、近くの公園まで連れていかれたジュンイチであった。


「お前、綾波様のなんなのさ?このアヤナミグループリーダーのワタルに黙って、何勝手なことをしとるんじゃ!」


どうもアヤナミグループがあるらしい。創立はいつなのだろうか?


「綾波様と話すんなら、ワタル君に話を通してからにすりゃぁ!」


DQN2号が吼えた。


「そうじゃ、そうじゃ」


DQN3号はあいづちマンのようだ。


「あー、ごめん。綾波様とは幼馴染で、久しぶりに会ったんで話が盛り上がっちゃって」


「うん?幼馴染?嘘ついたらいけんよ?」


「いや、ほんとほんと。今度綾波様に聞いてみてくれ。多分きちんと答えてくれるから」


「嘘だったら、承知せんからな!」


そういうとDQNグループは去って行った。


「あぶない、あぶない。現実世界も危険がいっぱいだよなぁ」


あまり絡まれたことのない、小市民のジュンイチはDKDKしながらリョウの家に向かうのであった・・・




現在のジュンイチのレベルは4となり、まだゴブリンの洞窟でのレベルアップが好ましい状況であるが、時間制限がある。王都近くにも新ダンジョンが出来ており、その名はアンデッドの洞窟である。主なモンスターはスケルトンで、階層は20階、マップはまだ完成していないが、深部にはアンデッドが徘徊しているらしい。

現在のレベルではぎりぎりであるが、時間も限りあるためここでレベル上げをすることとしたジュンイチであった。


「異世界部の様なもんだよな」


リョウの家から王城に行き、ダンジョンまでトータル1時間程度。毎日1時間程度の部活をするような気分で、アンデッドの洞窟へ入る。この洞窟は明かりがない。その為光の魔道具をレーコから借り受け(またお金がかかったorz)、マップを見ながら索敵して行く。


1階はマップはきちんと完成しているので、罠の位置なども把握できている。しかし明かりの乏しい洞窟内部は、慣れないため緊張する。


「・・・まぁ、今日のDQN3人組に囲まれたよりかはましだけどね」


異世界より現実世界の方がWKTKするのは、やはりジュンイチがヘタレな為であろう。

しかし、慎重に索敵して行くジュンイチであった。


ふいに、奥で影が蠢く。

久しぶりにお会いするスケルトンらしい。


こちらは明かり付きであり、既に向こうからは気づかれている様だ。武器を抜き一直線にこちらへ向かって来る。ジュンイチはダガーを構えた。


スケルトンは横切りで向かって来た。

両手のダガーで弾きながら、後ろへ飛ぶ。

まずは相手の攻撃速度と、自分の敏捷度を測る。

スケルトンは今度は袈裟切りに攻撃する。

今度は右手のダガーだけで弾き、左方向へ飛ぶ。


スケルトンの攻撃をいなしながら、ジュンイチは自分の動きを確認していった。

相手はアンデッドであり、疲れを知らない。ちょうどいい練習相手である。

自分の疲労度を見極めながら、ある程度の余裕を持って、スケルトンの首を刎ねた。

第2頸椎を潰し、止めを刺した。


「ふぅー。まずまずの戦闘だったよな。この位なら数体は倒せそうだ。経験値もそこそこ入るし、しばらくはこのダンジョンでレベル上げだな」


スケルトンは小さな魔石を残していた。少しは小遣い稼ぎが出来そうだ。

もう1・2体倒そうと、更に洞窟の奥を目指すジュンイチであった・・・




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