49話
「すいません、闘技大会に参加したいんですが、間に合いますか?」
ジュンイチはサマルカンドの世界にやってきて、直ぐに王都に向かった。
ドラゴン族の村に異世界の門が存在するが、その横にいつの間にか魔法陣が敷いてあった。それは王都の貸家地下に繋がっており、管理はユーマの信頼するドラゴン族がしていた。そこからダッシュでハンター協会へとやってきたのである。現在ハンター協会で闘技大会参加者を募っているそうだ。大会当日でも参加できるとレーコメモには書いてあった。取り急ぎジュンイチは、ハンター協会職員に質問した。
「ああ、駆け込み参加者だね。ぎりぎりだけど参加できるよ。ライセンスの提示をしてくれ」
「あ、はい、お願いします」
まだ朝の内なので、ぎりぎり参加できるようだ。一般参加となるためバトルロワイヤル形式となるそうだが、午前中の開会式が終われば、直ぐに始まるそうだ。後1時間もない。参加証をもらい、文字通り闘技場へと飛んで行くジュンイチであった。
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ユーマが続いて部屋から出た。レーコの作った魔道具は男でも身に着けておかしくない様に、ボタン状となっていた。ユーマは礼服に着替えるとそれを左腕に着けた。すると見た目は初老間近の、立派なおじさんとなった。そのままブラウニー城へと赴いた。
「あー、ごほん、ステファン王子に謁見したいのであるが、取り次いでいただけませんかな?私はジューマと申します」
「王子殿下と約束でもしてあるのか?」
「はい」
「ちょっと待っていろ」
王城の衛兵にユーマは取り次ぎを頼んだ。暫く待っていると、
「貴様、何者だ!殿下はジューマなど知らないと言われたぞ!」
「あー、お名前をお伝えするのを失念していたらしい。では、こうお伝えして頂けますかな?おじさんの友達が来たと」
「・・・分かった、もう一度だけ取り次いでやる」
そして、ステファンがやって来た。
「あなたがユー、おじさんの友達なんですか?」
「そうです。彼に頼まれてやってきました」
「・・・分かりました、こちらへどうぞ」
ステファンは、自分が住んでいる離れに案内した。ユーマは歩きながら近づくと、小声で囁いた。
「ステファン王子、俺はユーマだよ。変身したんだ。後で証拠を見せるよ」
びっくり顔をするステファンに、朗らかな笑みを浮かべるユーマであった。
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ジュンイチ、ユーマが急いで出て行った後、リョウがケーゴに挨拶をして出て行った。ケーゴもレーコのメモを持って、最後に部屋を後にするのだった。ケーゴはそのまま転移の部屋に行った。爺様が以前、帝国と王国を繋いだものである。
帝国に着くとまずは爺様のところへ行った。彼の自動車を借りるのだ。爺様のところへ行くと、ケーゴの姿を見た爺様は一瞬ビクッと震えたが、今回は自分の番ではないと分かると快く車を貸してくれた。そして、ケーゴはスターのところへ向かうのであった。
スター・ライトセーバーは今や南方の領主である。帝国南方は度重なる魔物の襲撃で荒廃していたが、彼の魔法であるビーストテイマーにより従順となった魔物が周囲を治めることで、今や徐々に復興を遂げて来ている。最近となり漸く余裕が生まれてきたスターであった。
「俺は行かないんだぜ?今日からようやく休みが取れたんだ。ようやく好きなことができるんだぜ?行かないぜ?」
「・・・」
「行かないんだぜー!」
有無を言わせず、首根っこを持ちながら、スターを引きずって行くケーゴであった。
「いやなんだぜー・・・」
廊下にスターの悲しげな声が響き渡るのであった。
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「それで、俺の役割は何だ。このままお前達に任せて、全てを終わらせる気はない。そろそろ俺も行かせてくれ」
レーコが昼過ぎに起きるのを見計らい、サマルカンドがレーコに会いに来た。
「サマルカンド様は」
「呼び捨てで構わない」
「あなたの出番は、最後の方よ。まだ力を取り戻していないあなたをさらけ出す訳にはいかないわ。それに力を取り戻す時間も場所も無いんだから」
「しかし、こう漫然と頼っているばかりでは情けないし、奴を倒すのを人に譲る気もない」
「あなたの使い方は、囮よ。リオンに止めを刺す役目が回せればいいけど、難しいかも知れない。ただ、重要な役をしてもらおうと思っているわ」
「そうか、それならばいい。そろそろ体力も回復したので、この国の役に立つことをしておこう。出番が近づいたら教えてくれ」
そう言ってサマルカンドは、出て行くのであった。
「さて、物語はクライマックスね。主役は全て揃ったわ。後は私のさじ加減と、それぞれの主役の頑張りと、神の御心ね」
独り呟くレーコであった。
そして、
「お昼食べたばかりだし、みんなが頑張ってくれているから・・・私はもうひと眠りをしましょー」
今日は眠気に勝てない、レーコであった・・・




