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僕らの冒険2  作者: じっつぁま
闘技大会
47/61

47話



「ジュンイチ、ジュンイチ、先生が呼んでいるよ?」


「あー、佐藤潤一、おらんのかー?」


「あっ、はい、います」


「あー、佐藤君。君の期末試験の成績だがー、ぎりぎりだったぞー」


「あっ、はい」


「どうだ、居眠りもしているし、補習受けとくかー?」


「いえいえ、とんでもございません。家で勉強しますので、こらえてやって下さいまし」


異世界に行ってほぼ2日間半徹夜していた為、大きな船を漕いでしまったらしい。補習は避けたいジュンイチは90度お辞儀を行い、下手の対応を行った。ふざけている訳ではないが、他のクラスメートからくすくすと失笑が漏れていた。


「んー、どうするかなー?」


「先生、佐藤君は冬休み私と勉強会を開く予定ですので、補習は困ります」


「ほー、綾波君がそういうなら、君に任せよー」


リョウの機転のお陰で救われたジュンイチであった。

その後はばっちりと赤い目を開きながら、ホームルームの時間を過ごした。


「いや、リョウ、助かったよ」


「2日間徹夜だったんでしょ?そりゃ眠たいよね」


「うん、ということで、もう少し寝ます。お休み・・・」


「分かったー。じゃあ、今度こそ私が先生をごまかしとくねー」


と言うことで、その日は朝から放課後まで机で寝ていた。起こされた時には頭に敷いていた両手がじんじんと痺れ、おでこには真っ赤な跡がついていたジュンイチであった。


今日補習を受けるものは発表があるのだが、ジュンイチはぎりぎり免れた様だ。明日から冬休みが2週間ある。今日のところは疲れ切った体を休め、明日に備えたいジュンイチであった。



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



『という訳で、今晩集合ねー、ジュンイチ』


「・・・今日無理」


『若いから大丈夫よ、王城に全員集合ー!』


「・・・勘弁してくれ・・・」


家に帰り、晩ごはんを食べ、速攻でベッドにダイブしたジュンイチであったが、1時間もたたない内にレーコからの連絡が入った。うつらうつらしながら対応していたが、連絡が終わった後はさすがに眠りに負け、再び眠り込んだジュンイチであった。


「それではジュンイチ君をお借りします。夜分すみません」


「思う存分使っちゃっていいからねー」


「おばさん、すいません」


「いいのよ、リョウちゃんだったら、いつなんどき来てもいいわよー」


それはジュンイチが、深い眠りに落ちた後だった。連絡が繋がらなくなったジュンイチをリョウとケーゴが迎えに来たのだった。ケーゴの肩に担がれたジュンイチは、深い眠りについているようだ。その寝顔を見ながらにっこりとして、リョウはジュンイチの母親に別れを告げた。


「しばらくはお借り致します。冬休みが終わるまでには帰ってきますから」


「ああ、宿題を持って行かせてやらせといてね?」


「分かりました」


こうして、ジュンイチは連れ去られたのであった。



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



「こわい、こわい、こわい、こわい・・・」


サマルカンドの世界の王城、大きな寝室のベッドの上で、8歳位の子供が呟く様に独り言を言っていた。


「いつかは僕の番になるんだろうか?。あんな風には成りたくないよぅ」


彼はこの国の第1王子、ステファン・オリオン・ブラウニーである。ブラウニー王国で現存する唯一の後継者だ。しかし彼の側には使えるべき側使えは見当たらない。彼は1人ぼっちであった。


2年前までは平和であった。優しい父母に囲まれて、のびのびと育てられた。召し使いは初老の執事と数人のメイドだけであったが、身の回りのことも困ったことはなかった。


父の教えで幼い頃から町へ庶民の格好で遊びに行った。若い内から国民の生活を知っておくことが大切だと言われたのだ。その為今でも町に行けば数人の友達がいる。先日その友人から、何故剣術を学ばないのか聞かれた。彼は疑問に思った事を素直に口にしただけであったが、ステファンはその通りだと納得した。そろそろ剣術を学ぶ時期だと思ったのだ。そこで久し振りに父に面会を求めたのであった。


2年前祖父王が逝去されてから、ステファンの生活は変わった。父は戴冠し現国王となると、ステファンは父母から引き離されたのであった。今では2・3人の側使えが交代で身の回りの世話をしに来るだけとなった。父への面会も中々取り次いで貰えなくなったのだ。


剣術も周囲にまだ早いと言われ、今回も同様の返答であった。そこで、ここ数ヵ月振りに父王に面会を求め、剣術の勉強の許しを得ようとしたのである。しかし、父王は変貌していた。あれほど立派だった体格は見る影もなく弛み、朗らかな笑みは嫌らしく歪んだ笑いに変わり、理知的な瞳は落ち窪んだ黄色の目付きに変わっていた。


最初父と分からなかったステファンは、父と気付くと恐ろしさの余り震える身体を押さえるのに必死で、何を言ったか分からぬまま退出してきた。夕飯もそこそこに昨晩はベッドへ逃げ込んだのであった。


昨夜は少し微睡んだだけで、悪夢で目が覚めてしまい余り眠れていない。早く日が登るのを待ちわびるステファンであった。日が登り、朝食もそこそこに彼は町へと繰り出した。友人を探し、父王の状況を説明した。すると彼は、ちょうど今頼りになる人物が側にいることを告げた。その人物のところに行って、ステファンは開口一番こう言うのであった。


「おじさん、助けてください。お願いします、おじさん!」


ステファンの前に座っていたのは、口元をひくつかせるユーマであった・・・



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