38話
「・・・ここは、どこだ?」
彼は立派な部屋のベッドの上で目を覚ますと呟いた。
「ここは、ガイア王城です」
ベッドの脇に控えていた、バンダルが返答した。
「・・・そうか、俺は助け出されたのか」
「こちらに飲み物が用意してあります。少しずつ召し上がって下さい」
「すまない」
サマルカンドはゆっくりと身を起こすと、バンダルの方に向き合ったのであった。
サマルカンド救出後、ジュンイチはサマルカンドを背負い、異世界の門をくぐった。バンダルはユーマに背負われ、1日遅れでガイア城まで来たのであった。レーコとケーゴは馬車に乗り、その内こちらに帰って来るであろう。サマルカンドさえ、異世界から移動させておけば、狙われる可能性は低いと考えられる。
既にガイア城には連絡がしてあったようで、ジュンイチ達が門をくぐった後は、すぐとある部屋に案内された。サマルカンドは見るからにやつれていたが、鎖を解いた直後よりは顔色が戻っていた。後はガイア城のメイドとバンダルに任せ、ジュンイチは久しぶりに王城に泊まることとなった。
今日は救出後5日目、早ければ今日にでもレーコ達は帰って来ることだろう。
王城は食事もよければ、寝るベッドも良質であったが、暇だ。そろそろ何かしようかなーと思いつつ、ジュンイチはメイドが入れてくれたお茶を飲みほした。そこへ、
「ジュンイチー、久しぶりー」
ばたんと扉が開いて、飛び込んできたのはリョウであった。
「リョウー、久しぶり、元気だったー?」
「あのね、聞いて聞いて、私ね、ジュンイチの代わりに補習受けたんだよー」
「えー?」
聞けば、ジュンイチの出席日数がやばいことになっていたそうだ。代わりにリョウがジュンイチとなって(スキルを使用して、周りにジュンイチと思わせたそうだ)、足らない日数を補ったそうだ。
そろそろ日本に帰らなければやばいと、リョウの説明を聞きながら、リョウとの会話を楽しむジュンイチであった。
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「という訳で、一旦日本に戻ります。サマルカンド様は気が付かれたそうですね?」
「はい、お世話になりました。しばらくはガイアの世界で休息し、今後の身の振り方を考えるそうです」
「まあ、なんかありましたら連絡ください。王様、王妃様、ソフィア様もお世話になりました。また、少し時間ができましたら、この世界に遊びに来ます」
「ふむ、元気でジュンイチ。また、巻き込まれることのないようにの」
「ひっひっひ、ごほん。失礼。リョウも帰るのですか?」
「はい、ジュンイチと帰ります。私もその内また来ますので、その時はまたお願いします」
「お元気で、ジュンイチ、リョウ」
世話になったガイア王、王妃、ソフィアに別れの挨拶を行い、ジュンイチ達は日本に戻って行った。
遅れて、レーコとケーゴが門をくぐり、ガイアの世界に戻ってきた。
「あー、疲れた。ユーマ、ソフィア、ジュンイチ達は?」
「ああ、高校の出席日数が足らなくなりそうなんで、一旦日本に戻ったよ。そっちはどうなった?」
「馬車は途中で捨てて、早馬に乗り換えて帰って来たわ。追ってのうわさがあったから、最後にはエルフの長に門を破壊してもらったの。しばらくは向こうにいけないわ」
「しばらくと言うことは、また行くことができるということかい?」
「そうね。正確には向こうから来ることはできなくなったというべきかしら。今でもこの門を使えば、どこにつながるかは又分からなくなったけど、行くことは可能よ」
レーコ達がユーマに報告していた時、バンダルが門の部屋にやってきた。
「サマルカンド様が、皆様にお話ししたいそうです。聞いていただけますでしょうか?」
レーコ達は、そこで、1000年前の話を聞くことになったのであった・・・
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その頃ジュンイチは、
「もー、あんたって子は、ふらふらふらふらしてー。今日からは首に縄をつけてリョウちゃんに持っていてもらうからね!」
怒られていた。
「お母様、叱らないであげてください。今回ジュンイチは巻き込まれたんですから」
「リョウちゃんは優しいわねー。巻き込まれたにせよ、ふらふらしているのは以前からだから、この位叱っとかないと駄目なのよ」
リョウのお陰で、それから先はガールズトークに移行して行き、空気となったジュンイチであった。同じく以前から空気であった父親と、ふと目が合ったような気がした。男とはこんな時は静かにしているものだと、父の目が語っている様な気がしたのであった。
次の日からは、またまじめに学校に行くジュンイチであった。しばらく異世界にはいけないなと思いつつ、クラスにたどり着くと、
「おはよう、佐藤君。今日は遅刻せずに来たね」
「おー、おはよう潤一。補習は終わったかい?」
・・・なぜか周囲から話しかけられるようになっていた。
「あー、おはよー」
口元をひくつかせ、返事をする。
恐らくリョウが、この環境を作ってくれたんだろうなと推察した。しかし、どんな性格を演じてくれたのか分からず、右手を上げ、口元をゆがめながら、立ち尽くすジュンイチであった・・・




