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僕らの冒険2  作者: じっつぁま
救出作戦
35/61

35話



囚人護送当日の天気は曇りであった。


「それでは出発する!護衛兵諸君は気を抜かず、しっかり見張る様期待する!」


隊長の号令と共に、護送集団一行は王城の門をくぐり、町中へと闊歩して行くのだった。

あれからユーマは、大した情報を集めることが出来なかった。目的地へのコースが分からないため、現在護送集団へ紛れ込んでいるのである。護送の兵士はエリートを集めており、そう簡単に潜り込むことはできなかった。しかし、選ばれた者の中には自分の都合が悪いものがいたのだ。その者と交渉し、金を稼ぎたいという思惑をちらつかせ、交代したのである。


隊列は騎馬が戦闘を歩み、歩兵が護送車を取り囲むように前後を守っていた。その後ろの隊列には、恐らく数日分の兵糧と思われる馬車が数台連なり、ユーマは兵糧の護衛兵となっていた。

今現在でも、隊長にしか行き先が分かっていないそうだ。沈黙の中黙々と歩を進めるユーマであった。


その頃ジュンイチとレーコ達は、馬車の中であった。


「あー、この馬車質が悪いわねー。お尻が痛いわー」


自動車は爺様のポーチの中にある。持ってくることが出来なかったのだ。他に自分たちのポーチには食料や、救出のための道具が入っているため、馬車を購入して移動しているのであった。

もちろん御者は、ジュンイチである。


「文句言うなら御者しろよ。クッションに座っているくせに」


文句をいうレーコを、文字通り尻目に黙々と馬車を御するジュンイチであった。

馬車の中にはレーコ、ケーゴともちろんバンダルもいる。バンダルは流石に護送兵士に潜り込むことはできなかったのだ。もちろん留守番などするわけがない。


今回の救出作戦の肝は、なんといっても護送車と兵士の分断である。

恐らくジュンイチ、レーコ、ケーゴ、ユーマの4人ならば、死者の事さえ気にしなければどこでも襲撃をすることが出来るであろう。悪者も中にはいると思われるが、ほぼ善良な兵士を全滅させるのはいくら異世界でも許されることではないだろう。そこで周囲に一般市民がおらず、分断が可能な地域で行動を起こせるかどうかが問題なのである。


予想されるコースを目指しながら、ジュンイチ達の馬車は進むのであった。



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



「護送車は後5日位でたどり着くだろう。それまでに準備を進めるのだ!」


リオンは先行して北東の森に入り、ある準備を進めていた。

そこは旧ダークエルフの集落であり、現在は打ち捨てられ、もはや廃墟と化した建物が並ぶ中に木製の館を作成しているのだった。数人を護送車の中に、数人を周囲のビーストへの対処に使用しているため、建築の人数は限られていた。現在リオンが私用で使える人材はさほど多くない。いつかは儀式を行わなければならなかったのだが、まだ数年間の余裕を見ていたのだ。


しかし、サマルカンドがこの世界に帰ってきたことを知り、急遽儀式の日程を早めたのである。

サマルカンドを捕獲することは容易であった。ただ、いつまでも彼を安穏と囲っているわけにもいかない。いつ彼が、以前の様な力を取り戻すか分からないのだ。また、彼を殺すのはあまりにももったいなかった。彼1人で、恐らく数万、いや億単位の人命の代わりになるであろう。儀式の為の道具作成まで数日かかり、ようやく準備が整ったのだ。最早遅らす理由などなかった。


リオンは馬車に戻り、儀式のための道具を確認して行く。そこには、1000年前に使用した赤い石も存在していた。


「この身体とも、もうすぐお別れだな。今回は恐らく1000年以上は持つだろう」


口元に笑みを浮かべながら、儀式の道具を1つ1つ確認して行くリオンであった。



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



「ジュンイチー、そろそろ休憩よー。止まって氷を作ってー」


「やかましい!さっきも休憩したばかりだろうが。ただでさえ遅れているんだ。まだ休憩しないぞ!」


馬車の揺れはレーコの臀部を直撃するらしく、1時間おきに休憩を要請するレーコであった。その隣では、文字通り石となっているケーゴの姿と、気を使い過ぎて若干疲れ気味の顔色のバンダルがいた。

北東の方角には数か所の町しかない。魔族とダークエルフ族が絶滅してから、ヒューマンがそこまでの領地に町を作ったのであるが、ここら辺は作物が育ちにくく、まためぼしい資源も存在しないためはぐれビーストが時たま出現する。それをジュンイチがさくさく狩りながら、馬車を走らせているのであった。


『ぱらららっぱらー』


パーティーモードにしているレーコとケーゴのカウンターから、レベルアップ音が鳴る。


「レーコ、その音何とかしておかないと、うるさいよ」


「だぁってー、せっかく作ったんだもん、もう少し楽しませてよー」


「襲撃地点に近づいたら消しとけよ。それはそうと、ユーマのカウンターからは音を消したんだろうね?」


「・・・あっ」


「消してないんかい!」


ユーマがレベルアップしていないことを祈りながら、ジュンイチ達の馬車は走るのであった・・・



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