24話
その日はそれぞれ1匹ずつのトロールを狩って、町に戻った。レベルアップ痛が怖かったのだ。
リョウは3レベルアップ、ジュンイチは4レベルアップした。素材は頭部以外に傷がなかったことから合わせて12万Gももらえた。2匹を2時間以内で狩ってきたことにハンター職員は驚いていた。
予定通り雑貨屋でHPポーションを2本購入し、残り2万Gで町中を散策することにした。
夕食に選んだ食事処で、朝見かけたドワーフとヒューマンの2人連れがやってきた。
「おお、いたいた、坊主たち、けがはなかったか?」
「森の中から、ドーンっていった音がしたんで心配してたんだ。行ったところには小爆発の後だけがあったんだが、君たちでなくてよかったよ」
「えーと、あれはぁ」
「私の魔法なんですよー」
リョウの説明と共に2人の顔が、朝見たびっくりした顔と同じ顔になってしまった。
「坊主たち、強かったんだなぁ」
「2人ともハンターなのかい?」
「「そうでーす」」
そこで結局4人で夕食を取ることになった。ドワーフはオッズといい、ヒューマンはカリムと名乗った。2人ともハンターランクBだそうだ。レルネの町には3年前に来たそうだ。現在は2人して1日1匹か2匹のトロールを狩り、生活をしているといった。1日5~10万Gは稼げるので生活費は困らないし、家族への仕送りも十分できている様だ。後1・2年後には故郷に帰るそうだ。
「おじさん達には君たち位の子供がいてね、もうすぐ学院に通うことになるんだ。それで物入りなのさ」
「学院って何ですか?」
「おや、学院を知らないのかい?王都にある学校で、18歳から入れる4年間の学校さ。そこを卒業できれば割と色んな職業に就くことが出来るし、拍が着くから人種差別を受けることもなくなるんだ。ただ、入学はヒューマン以外は大変なんだけどね」
「わしのせがれもそこを受験することにしとるんだが、ドワーフなんで大金が必要なのさ」
「ヒューマン以外は、試験を受けるのにも多額のお金がいるからね」
この世界の人種差別はまだまだひどいようだった。以前と比べて迫害されることはなくなったが、職種に着けなかったり、同職ならば見下されることはまだまだ多い様だった。
「昔話にある1人の英雄と6匹の魔物なんか、未だにヒューマンの家庭には置いてあるからな」
「あの話のせいで、わしはいじめを受けたことがあるんじゃ」
「それはどういう話なんですか?」
カリムはあまり話したくないんだけどと前置きをして、絵本の内容を語り始めた。
この世には魔族という悪魔がいて、その部下にドラゴン、ダークエルフ、エルフ、ドワーフ、ゴブリンがついていた。その6匹の魔物はヒューマンを襲い、町を壊し、散々悪いことをしていたそうだ。そこにヒューマン族の英雄リオンが現れた。リオンは英知を絞り、6匹の魔物を退け、ヒューマン族を救ったという、勧善懲悪の物語だそうだ。
「俺は幼い時に親からその物語絵本をもらって読んだことがある。ただ、その時には既にエルフの友達がいたんだよな。つい、そいつに物語の話をしてしまって、けんか別れをしてしまったことがあるんだ」
「あの話だけはなかなか無くならん。今でも人種差別の元になっておるのは、あの話だと糾弾されておるにも関わらずじゃ」
その後しばらくこの町のことや森の中の事を教えてもらい、解散となった。
「いい人たちだね」
「そーだねー。また機会があれば一緒に食事がしたいよね」
ジュンイチ達は、その日は宿に戻り休むことにした。
翌日から数日間は同じような狩りを続けた。狩る数は日増しに増やしていったが、ポーチにはやはり1匹ずつしか入らなかったため、そこまで多量に狩ることはできなかった。2匹狩ったら町に戻り、また森に行くということを続けたからだ。しかし、数日間でジュンイチもリョウも30レベルまで上がることが出来た。また、ハンターレベルもBランクになったのであった。
オッズとカリムとはほとんど毎日夕食を共にした。子供の話、学院の話、今までのハンター生活など、話題には困らなかった。2人ともお人好しであり、ジュンイチとリョウは楽しいひと時を過ごすことが出来たのであった。
それはジュンイチ達がハンターランクBになった翌日の夜であった。
「ジュンイチー、レーコから連絡が来たよー」
「えっ、分かった。僕の部屋で聞こうか?」
「もしもーし、レーコー?聞こえるー?」
リョウはカウンターに向かってしゃべりかけた。
『もしもし、リョウ?ジュンイチもいる?』
「はい、こちらジュンイチです。門は完成した?」
『それが、作成する場所を決めかねているのよねー。決して飲み食いして遊んでたわけじゃないのよー。それで一度この世界の話や地図を交えて、ジュンイチ達と相談しようと思ってー』
絶対遊んでいたんだなっと思ったジュンイチであった。
「分かった。こっちも話したいことがあるから、そっちに行くよ。今どこにいるんだ?」
『いやー、私たちが行くわよー。決して追い出されるわけではないんだけど、久しぶりに旅行気分でそっちに行くから、待っていてー』
飲み食い遊びが過ぎて、今いるところを追い出されたんだなっとジュンイチは思うのであった。
「こちらの場所が分かるの?」
『カウンターに簡単な発信器をつけていたから、大体わかるわ。多分そっちには数日で着くから、待っててねー』
「はいよー」
こうして厄介な匂いをさせながら、レーコ達と合流することになった、ジュンイチ達であった・・・




