23話
その町は、良くも悪くも田舎町であった。
治安は割と保たれているようで、不細工な防壁など存在していなかった。
ただ家々はしっかりとした岩壁で作られており、赤いレンガの屋根作りで、道行く人々は武装しているものが多かった。周囲には田畑は見受けられず、砂利道が一般道であるようだ。種族は入り混じっており、ヒューマンよりドラゴン族、エルフが圧倒的に多く、ドワーフやゴブリン族はほとんど見かけなかった。
ジュンイチ達はまず、ハンター協会を探すこととした。
「こんにちはー、ハンター協会ってどこですか?」
「おや、ハンターさんかい?若いのにすごいねー。協会ならこの道真直ぐ行って、雑貨屋を右に曲がったところだよ」
「ありがとうございます」
目についたドラゴン族の女性?に気軽に話しかけるジュンイチであった。その人は気さくに答えてくれた。
道行く人はあまり多くなかったが、鬱としている顔は少なく、(多種族の顔色はよく分からないが)皆颯爽とどこかに散っていた。教えられた通り、割と大き目な雑貨屋を曲がると、ひときわ目立つハンター協会が存在した。元の世界の教会の様なたたずまいで、白い壁、とんがり帽子の屋根、開き扉であり、十字架の代わりにハンター協会の旗がたなびいていることだけが違いであった。
ジュンイチ達は扉をくぐり中に入る。協会内部は冒険者ギルドと同じような構造をしていた。右側には受付カウンターがあり、左側は軽食喫茶の様であった。2人して、受付嬢の元に行き尋ねることにした。
「こんにちは、初めてこの町に来たのですが、ハンターへの依頼なんか教えてもらえますか?」
「こんにちは、レルネの町へようこそ。私は受付嬢のモーリンといいます、よろしくお願いします」
「こちらこそ、宜しくお願いします」
「早速ですが、ハンターでしたらライセンスの提示をお願いします」
ジュンイチ達はモーリンにハンターライセンスを手渡した。
「はい、確認致しました。お2人ともCランクですね?この支部ではハンターランクB以上ではないとクエスト報酬がでませんが、クエストを確認されますか?」
「はい、お願いします」
「それでは提示致します」
モーリンが説明するパンフレットには、Bランク以上のハンタークエストが並んでいた。この地方では、やはりトロールのクエストが多く、1匹に付き5万Gの報奨が着く様だ。その他トロールのランク次第では10万、50万、100万までのクエストが提示されていた。
「僕らが討伐しても、大丈夫ですか?」
「はい、報奨は出ませんが、ハンターランクアップの経験にはなります。ハンターランクBまでトロール討伐経験がありますと、10匹位でランクアップできます」
「素材は買い取っていただけるのですか?」
「もちろんトロールの素材は買い取らせていただきます。買い取りの値段はハンターランクは関係ありません」
その他、レルネの町の情報なども仕入れたジュンイチ達は、雑貨屋を回った後宿屋に向かったのである。
翌日からさっそくトロール狩りに出かけた2人であった。昨日ハンター協会で近隣の地図を購入していたので大体の場所は把握できていたが、まだ土地勘がないため武装した人々が行く方向へ着いていくこととした。
前方には屈強な体格をしたドワーフと魔術師の恰好をしたヒューマンが歩いていた。進む方角が一緒の様なので、つかず離れずの距離で着いていくと、ふと2人は立ち止まりこちらに向き直った。
「こら、坊主ども、なんでわしらをつけてくる?」
「あ、おはようございます。つけているわけではなくて、トロールの森に向かっているんです」
「お前らが森に行くって?冗談はやめて置け。危ないぞ」
「いえいえ、お気にせず、大丈夫ですから」
それでも2人はやいのやいの言って来る。面倒くさくなったジュンイチはリョウと相談した。
「どうする?」
「私のスキルでも使う?」
「でも、悪意はないようだし、ここはスルーしようか?」
横を通り抜けるにはがたいがでかすぎたので、リョウを背負い飛んで行くことにした。
「ごめんなさい。お先に失礼しますね」
とうっという掛け声とともに飛び上がるジュンイチ達。はるか下には先ほどまで口やかましくしてきたドワーフたちが、あっけにとられた様な顔で見つめていたのであった。
「ほっほほーい」
「よっほほーい」
空中から索敵する。
そんなに数はいない様で直ぐにはトロールは見つからなかったが、1時間弱のところで1匹目を発見した。
「トロール発見!どうする?」
「じゃあ、先に私が攻撃するね?」
「分かった。できれば素材を傷つけないように、小さなファイアーボールで頭をぶち抜いてね」
「分かったー、えーい」
どーん
リョウの手から放たれた、こぶし大のファイアーボールがトロールの頭を吹き飛ばす。
「やったー」
「いえーい」
『ちゃっちゃっちゃーちゃちゃちゃ、ちゃっちゃっちゃー・・・』
リョウのカウンターから合計3回のランクアップ音がした。
トロールをリョウのポーチに収納した後ジュンイチのSP回復までしばらく休み、再び空へ舞い上がった。
「もう1匹トロール発見。今度は僕が倒すね」
「頑張ってねジュンイチ」
「アイスアロー!」
凍った苦無であったが、名前を付けてみたジュンイチであった。両手からそれぞれ2本づつの苦無を投擲し、首、両目、眉間に向けて射出する。
こちらを向いたトロールに4本とも全て突き刺さる。そして、静かにトロールは前方に倒れるのであった・・・




