20話
「今の人・・・」
「知り合い?」
「いや、バンダルに似てたんだ」
「ふーん」
道のわきに立ち止まり、バンダルに似た人を見送る。彼はわき目も振らず、隊列が過ぎ去った道を歩いて行った。
「まあ、いいか」
「ジュンイチ、雑貨屋巡りしよー」
「そうだね」
特に気にせず、そのまま又町の散策に行くジュンイチ達であった。
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「それでは今年度2回目のハンター試験を始めまーす。参加者は番号札を持って、整列して下さーい」
あれから特にバンダルに似た人物とは会わなかった。ジュンイチ達は王都の町を充分楽しみながら、ハンター試験日まで過ごしたのであった。
今日はハンター試験当日である。開始時刻に合わせ続々と集まる人々、姿恰好は予備審査より綺麗な甲冑の兵士や戦士が多かった。中にはボロボロの恰好をした人もいたが、目つきはとても鋭かった。見渡す限りジュンイチと同世代の年齢は見当たらなかった。種族はヒューマンが多いが、ドラゴン、エルフ、ドワーフも散見された。
「それでは、会長から一言頂きまーす。静粛に拝聴して下さーい」
「・・・あーあー、マイクテステス。ごほん、あー、私が会長のシュバルツである。本日は皆集まってもらい、大儀であった。今日から1週間のハンター試験を無事乗り越えれば、ハンターライセンスを渡すことになる。皆頑張ってくれたまえ」
Hunter○Hunterの会長とは異なり、金の刺繍がなされた軍服を着こなし、金髪の中年親父が会長であった。学校の校長先生の訓示の様に、長々としゃべった後、ようやく試験が開始となった。
本日の試験監督が前に出て、第一次試験内容を話し出した。
「今日は体力テストです。これから私とともに、2次試験会場まで行ってもらいます。途中脱落者は後続から馬車が追いかけて来ますので、その場で待っていてください。それではスタートします」
「最初はランニングか」
「飛んで行ってもいいんじゃない?」
「そうかもね♪」
ステータスの上がったジュンイチとリョウには、特にきつい試験内容でもない。無駄話をしながら、先頭グループに着いていくのだった・・・
ハンターライセンス試験内容は、ごくありふれたものであった。
ランニングによる体力テストから始まり、一般教養筆記試験、各々の得意分野の披露から、戦闘試験、ハプニングへの対処と至り、最終諮問となる。
もともと大多数の受講者はどこかからの紹介になる為、資格試験の意味合いが強く、合格率はそれ程低くないのだ。しかし200人以上いた受講者は、日に日に数を減らしていった。最終日には100人を切る人数となっていた。
ジュンイチ達は、ほぼ楽々試験をクリアーしていった。1番問題だったのは筆記試験であったのだが、別室で試験問題を読んでもらい、それに口頭で答え代筆して貰うことで、ジュンイチはぎりぎり、リョウは楽勝でクリアーできた。受け持ちは、ジュンイチに綺麗なエルフのお姉さんが就くことになり、リョウの頬が膨らんだが、リョウにはカッコいい金髪のお兄さんが就き、ジュンイチも焼きもちを妬くことになった。
得意分野の試験では、ジュンイチもリョウも最高点を貰った。ジュンイチは、予備審査の時見せた様に空中からの氷魔法を披露した。余りに寒かったのか、途中でストップがかかったほどだ。リョウは、レイピアから炎竜を呼び出したところで、驚いた試験官が悲鳴をあげながら、何度もストップを言い渡された。
ハプニングへの対処はお決まりのダンジョン攻略であり、グループを作ってもいいことからジュンイチはリョウと2人で踏破した。終了後、2人で帰っていると、ジュンイチはふと気付いた。
「あそこ、バンダルに似た人だ」
以前見かけた人物も、この試験を受けていたらしい。
すると、向こうもこちらに気付いたらしい、ジュンイチ達の方に近づいて来た。
「お久しぶりですジュンイチ様、リョウ様」
「もしかして、バンダル?」
「そうです」
本人だった様だ。
「後でお話しさせて頂いてもいいですか?」
ジュンイチ達は、バンダルから驚くべき話を聞くこととなった。
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「まずは、謝罪します」
晩御飯を一緒に取ることとなった飯屋で、いきなりバンダルは頭を下げた。
「あー、取り敢えず、何に謝罪しているのか教えてくれる?」
見かねて、ジュンイチは頭を上げるよう促した。
「この世界に来ているということは、私が繋げた門をくぐったということでしょう。巻き込んだ件について、まずは謝罪します」
「それはもういいよ。帰る算段もついた事だし。ところで今さらだけど、名前はバンダルでいいの?」
「はい、私の生まれはスカイオーク帝国であり、この名前はアルフレッド様に頂いたものですから、偽名を使う意味はありません」
その後バンダルは、ここに来るまでの経緯を語り出した。
もともと魔王の核から生み出されたバンダルは、魔王復活の為に動いていた。魔王がサマルカンドの異世界に帰ってからは、何とかこの世界に来ようとしていたらしい。レーコが新しい門を作成した噂を聞き、その門に魔石を取り付ければこの世界に来れることが感覚として分かったそうだ。
「私はまず、大陸西部の自治国の1つに取り入りました。そこで魔石を用いた魔道具を作成して見せることで、魔石の重要性を説明し、多量に集める様誘導したのです」
ある程度の魔石が確保できると、それを持ち出し、隙を見てレーコ作異世界の門に取り付け、こちらへ渡って来たそうだ。
「後は、サマルカンド様にお会いするだけでした。私が降り立ったのは、ここより東の地方、以前魔族が存在していたところでした。その後色々ありましたが、運よくサマルカンド様とお会いできたのですが・・・」
サマルカンドは捕まってしまったのであった・・・




