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僕らの冒険2  作者: じっつぁま
終わりから始まりへ
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2話

ちょっとだけ更新



始まりは、自宅のベッドの上で


まだ日も登らないうちから目覚めるジュンイチは、朝型である。寝起きは良いが、ぼーっとした目を覚ますために冷たい水で顔を洗い、歯を磨く。少しでも筋力アップできればと30分程度のランニングを行う。帰宅し、シャワーを浴びると母親が朝食の支度を終えている。


「朝ご飯は目玉焼きでよかったわねー」


「・・・うん、ありがとう」


「さっさと食べて、宿題しちゃいなさいよ。もう1週間もないんだから」


「・・・はーい」


実は昨日の内に全て終わらせてしまっているのだが、今日からレベ上げをするつもりなので、宿題が残っていることとしているのだ。


「じゃあ、また友達のところで宿題してくるから」


「遅くならないようにね」


「分かったー」


終わった宿題が入ったリュックを背負い、母親と挨拶し、駅へ向かう。リョウの家で、リョウの母親に挨拶を済ませ、異世界の門をくぐる。女王とも朝の挨拶をして、装備と荷物を異世界バージョンに変更する。そしてワイバーンの元へ向かった。


ワイバーンはスター・ライトセイバーがテイムし、王家が購入したものである。テイムしたモンスターは、家畜の様に他人に譲渡することもできるようになるのだ。ただし、馬などと同じように気性は個々によって異なる。ジュンイチはテイムしたワイバーン数体の中から、一番気の合うものを選んだ。


「それでは気を付けて行って下さい。ダンジョンに行ったら、この札と共に衛兵へお渡しください」


ワイバーン管理係の兵士に注意事項を聞き、さっそく乗り込むジュンイチであった。現在ジュンイチは空を飛ぶSPが足りないのだ。ヘンゼルまで行くのに以前のジュンイチであれば2・3時間あれば行けたのであるが、ワイバーンでは5時間くらいかかる様だ。現在時刻は朝の7時30分、向こうに着けば昼過ぎである。1時間位狩りをしたとしても14時過ぎには発たないといけない計算だ。ジュンイチのSPが増えれば徐々に移動速度は上がるだろうが、今日の狩りは1時間が目安となる。


「それでは行って来ます」


「お気をつけて」


そうしてジュンイチはワイバーンにまたがるのであった。

時間がないので、昼食はワイバーンの背中で持ってきたカロリーメイトを食べる。ゴブリンの洞窟の少々離れた場所で、ワイバーンを地面に降ろした。


「止まってください!身分証を提示してください」


向こうから衛兵がやってきて身分証明を求めてきた。以前レーコ達も同じようにここでレベル上げをしていた為、特に驚いた様子はないが、ジュンイチを見るのは初めてだったので少し警戒気味である。


「どうどう、ありがとうな。あー初めまして、冒険者のジュンイチと言います。これが王城で渡された札で、こちらが冒険者プレートになります」


ジュンイチはワイバーンから降り、渡された札とプレートを提示する。そして、ワイバーンを預けることにした。


ゴブリンの洞窟は、現在初期冒険者の修練場所となっている。その為その周囲はちょっとした町の様になっているのだ。ゴブリンを討伐しても特に報酬はない。ダンジョンで倒したゴブリンはダンジョンに吸収されるのだ。他のダンジョンでは魔石を残すのだが、ゴブリンの魔石は本当に小さいため採取しても使用に能わず、放置しておけばまた洞窟に吸収されるのであった。


現在スライムは保護法が制定され、初期冒険者の育成はこのダンジョンに指定されてしまった。その為、ゴブリンの洞窟は初期冒険者の育成のためなくてはならないダンジョンとなったのである。ダンジョンの周囲は、簡易ながら宿屋、雑貨屋、ギルド、衛兵詰め所が立ち並んでいた。現在初期研修施設として、学校の様な建物が建築中である。


「さて、それでは初討伐としゃれこみましょうか」


こうしてジュンイチはゴブリンの洞窟へ入って行くのであった。



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



「まずは1体ずつだな」


リュックの中から武器を出す。昔使用していたダガーと苦無である。苦無を上着とベルトに差し込み、ダガーをベルトにセットする。しびれ薬はお金が寂しいので購入していない。投擲のスキルは残っているはずだが、以前と同じようにはいかないだろう。とにかく、まずは1体ずつ確かめなくては。


ダンジョン内一階は、ゴブリンが動きやすい為か薄明るかった。その為、明かりの魔法がないジュンイチでも、割りと遠くまで索敵が可能だ。しかし、慎重に歩くことにした。


ダンジョンは10階まであり、最下層までマップができている。1階は単純であり、罠もない。隠れるところも少ないので、発見すれば敵にも見つかる。ゴブリンは群れないが、やかましい。見つかれば、大きな声で騒ぐだろう。できれば初手で声を潰したいところである。


右手に苦無を持ち、ゆっくりと進んで行くジュンイチであった。

瞬間、静寂を破る声がする。


「ぐっ、ぐっ、ぐぎゃー」


正面曲がり角の直ぐ側に、ゴブリンがいるらしい。

音を忍ばせ、ジュンイチは走る。姿が見つかれば直ぐ倒せる距離まで行くのだ。

途中でゴブリンが姿を現す。


「しゅっ」


喉を狙い、苦無を投げつける。


「ぷしゅっ」


うまく喉に刺さった様だ。

両手にダガーを持ち、接敵する。


「ひゅっ」


右手のダガーで、多少大振りに打ちかかる。

喉をやられている為、ゴブリンは叫べなかったが、持っている槍で防ごうとする。

右手をフェイントに使い、左手で頸動脈を狙う。

ゴブリンは僅かに身体をよじり、攻撃を交わす。


「そりゃ!」


避けられたと思った瞬間、左前蹴りでゴブリンの体勢を崩す。そのまま更に近寄り左のフェイントを交え、右手で止めを刺した。心臓を貫いたのである。


「ざしゅっ!」


直ぐ後ろに下がり、残心する。ゴブリンは崩れ落ちた。数回ぴくぴくと動いた後、黒煙となってゴブリンは消滅したのであった・・・




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