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僕らの冒険2  作者: じっつぁま
再会
19/61

19話



「ハンター試験予備審査は、バトルロワイヤルです!」


予備審査会場に集合した受講者達の前で、審査員が試験方法に付いて説明を始めた。

今年の受講者は例年に比べ数がかなり多い為、数を絞る為に仕方がなかったそうだ。500人以上の人数を10グループに分け、1~2人程度が勝ち抜けとなる。時間制限も設け、2人以下にならなければそのグループは全員失格となるそうだ。


グループ分けの表を確認すると、ジュンイチはリョウと同じグループに決まっていた。


「どう戦う?」


「そうだね、みんな凍らせちゃおうか?」


リョウの攻撃では死人が出てしまう。ジュンイチの魔法で、無力化を狙うことにした。四肢欠損程度は回復魔法で何とかなるらしいが、殺人は失格となるらしい。

簡単な打ち合わせを行い、時間までまったりと過ごすジュンイチ達であった。


「それではGグループの人達は集まって下さーい!」


ジュンイチ達の順番が来たようだ。狭い待合室にGグループの集団が詰め込まれた。

周りを見渡すと様々な人々がいた。戦士系の人が多かったが、モンク系やアサシンタイプも散見された。みんな緊張しているようで、待合室は静まりかえっていた。


「それでは会場の準備が整いました。Gグループの人、進んで下さい」


会場への扉が開き、進んで行く人々に続いて、ジュンイチ達も会場に入った。周囲には4・5mの防壁が存在し、その直ぐ横には塹壕があった。戦う意思を無くした者が使用する場所らしい。後は平らな平地であった。


ジュンイチ達は、平地のど真ん中に位置していた。作戦を遂行するには丁度良い環境である。


「それでは、始めー」


開始の号令と共に、皆一斉に動き出す。

ジュンイチはリョウをおぶさり、宙に浮かんだ。


「ウォーター!」


容赦のないジュンイチの水魔法が、周囲を濡らして行く。


「アーンド、フリーズ!」


掛け声と共に、中央から水が凍って行く。


「アーンド、ブリザード!」


止めとばかり、冷気の固まりを降り注ぐジュンイチであった。


「ふう」


地面に降り立ち、一仕事を終えたとばかりに、リョウが額を拭う仕草をする。


「勝者、ジュンイチー、アーンドリョウ!」


会場一杯に、審査員の声が鳴り響いたのであった・・・



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



「お疲れ様でした、本試験は3日後です。そのまま番号札が本試験の受験票となりますので、再び無くさないよう持っていて下さい」


予備審査試験終了後は、おおよそ午後3時程度の時刻であった。小腹が空いたジュンイチ達は、カフェを探しに町へ繰り出した。


「ジュンイチ、流石だね。瞬殺だったよね?」


「いや、リョウがすればもっと早かったんじゃない?でも、死んじゃうけどね」


「そーだねー」


他愛もないことを話しながら、王都の町中を巡ってゆく。季節は秋真っ只中、ちょうどいい気候の中街並みを楽しむ2人であった。程よく歩いたところでおしゃれな店が見つかったので、そこに入ることにした。


「いらっしゃいませ。2名様ですか?こちらの席へどうぞ」


カフェテラスの席へ案内されて、そこへ座るジュンイチ達。周囲には噴水があり、子供たちのはしゃぎ声があふれていた。


「ご注文は?」


「お勧めの軽いデザートと、人気の飲み物を2つ下さい」


「カップル用のお勧めな飲み物がありますが、それにしますか?」


「いや、それはちょっと恥ずかしいので、普通のでいいです」


「かしこまりました」


ヘタレのジュンイチは、リョウといえど、カップルの飲み物は遠慮したいところであった。

ケーキの様なスイーツとぶどうジュースの様な飲み物が運ばれて、少しずつ食べながら世間話をしていく。


「ジュンイチはどうしていたの?」


「僕はねー・・・」


今までの事をかいつまんで話していく。ゴブリンの村でメスゴブリンを助けたことや、シュリの町で清掃作業をしたこと、サマルカンドに会ったこともしゃべった。


「魔王に会ったんだ?」


「魔王って感じじゃなかったけどね」


「ところで、私がドラゴン族の集落にいた時、私のレイピアがドラゴン族の英雄のものだって言ってたけど、ジュンイチのもそうだったのかな?」


「そうそう、シュリの町のゴブリンが僕のスキルの魔道具を、ゴブリンの英雄の遺骨だって言ってたよ。勇者って、この世界からやってきたのかな?」


「そうかもねー」


あまり深く考えない2人であった。

まったりとした時間が過ぎ、ケーキも食べ終えてそろそろ店から出ようとしていた時、ものものしい行列が道を通り過ぎるのが見えた。衛兵が前後にそれぞれ20人程度、規則正しい隊列で移動して行く。中央には馬に引かせた大きな箱があった。まるで、凶悪犯を護送するような隊列であった。


「なんだろう?」


「殺人犯の護送じゃない?」


「ふーん?」


箱には明り取りの窓もなく、何が入っているかも全く分からないようにされていた。行列が通り過ぎて、また子供のはしゃぎ声が聞こえてきた。ジュンイチ達は今度こそお金を払い、店の外へ出た。

隊列の反対方向へ向かって歩いてゆくと、少しボロボロの服を着た冒険者風のヒューマンとすれ違った。

ジュンイチはふとその人の顔を見ると・・・


バンダルにそっくりの顔つきであった・・・



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