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僕らの冒険2  作者: じっつぁま
再会
14/61

14話



始まりはトイレの中で


ザーンの進言を受け、ジュンイチは職を変えることとした。

まあ、臭いのは変わらないのだが。

トイレ清掃は週単位の報酬となり、何故か下水道清掃より割がよかった。相変わらず汚れ職を選んだ理由は、やはり水魔法が使えることが大きかった。汚いものは水に流すべし、とでも言うようにどんどん流すことによって作業効率が上がる。水魔法を使っているため、コストも掛からず、制限もない。トイレ清掃位の水の量は現在のジュンイチのMPで充分賄えるのだ。


「ウォータージェット!」


ぷしゅーという水流で汚れをどんどん流してゆく。汚水はトイレの出口に向かわせず、排水に誘導する。問題は水カビであるが、そればかりは配当された魔法薬で対処する。水魔法のおかげで労せずどんどんトイレを綺麗にしてゆくジュンイチであった。


「ふう、今日の仕事はこれで終わりだな。清掃会社に報告に行って帰ろう」


今日でトイレ清掃3日目である。初日はあまりにも早い作業のせいで手抜きを疑われたが、会社員が確認しに行くとピカピカとなったトイレがそこには存在した。2日目も今度は作業を同行しに行ったが、ウォータージェットの魔法を確認し、なる程と頷かれたのであった。今日も確認されるのかと思ったが、他の作業員より綺麗にできるジュンイチは最早信頼を置いてくれている様で、ねぎらいの言葉だけもらって帰宅許可が下りた。


「少し時間が余ったな。そろそろ武器屋なんかを巡ってみよう」


下水道清掃で得たお金は3万G、今の宿代・食事代は1日4千G、後数日で10万G手に入る。武器の値段やポーションの値段を確認することとした。

しかし、やはり武器は高かった。ダガーが1本安いもので25万G、苦無は1本5万G、槍は30万G、バスターソードは50万Gもする。装備もそこそこのお値段であり、とぼとぼと店の外に出るジュンイチであった。


続いて薬屋に向かった。薬草は湿布型が1枚5千G、飲用が1本1万Gであった。HPポーションは1本5万Gで、MPポーションは10万Gであった。結構なお値段のポーションを横目に、とぼとぼと店の外に出るジュンイチであった。


最後に雑貨屋へ寄った。包丁1本1万Gであった。しかもよく研いである。ふむふむ、これなら武器代わりになるだろうな、などと考えつつ店の外にでるジュンイチであった。

取りあえずの考えをまとめる為に、定食屋で早めの晩御飯にすることとした。


「ランクアップ痛を解除する為にHPポーションはやはり必要だよな。少なくとも1本、予備を考えて2本は欲しいところだ。後は薬草茶を10個程度購入して、武器は包丁10本程度から始めようかな。そうすると、30万G位は貯めないとだめだな。もう2週間か、3週間位頑張れば目標金額になるかな?」


節約する為に定食屋で1番安い、黒パンと豆のスープと野菜サラダセットを食べながら、計算して行く。すると、他に席が空いているにも関わらず、相席をしてくるおっちゃんがいた。少しかっこいいおっちゃんだった。


「やあ、こんばんわ。僕のことを覚えているかい?」


「?こんばんわ。人違いじゃないですか?この町にヒューマンの知り合いはいないはずですけど」


「ふむ、分からないか。僕が君と出会ったのはこの世界じゃないところだよ、と言えば分かるかな?おーい、こっちにA定食をくれー」


「・・・えーと、どちら様ですか?僕はジュンイチと言うんですが?」


「ああ、君の名前は初めて聞くんだけど、僕の名前はあの時言ったから覚えていてくれれば思い出すかもね。あまり大きな声で言えないので、耳を貸してくれる?『サマルカンドだよ』」


「えーーー!」


「しーー!静かにしたまえ。あまり騒ぎになると困るんだ。とりあえずサマーと呼んでくれ」


「・・・すみません。サマ様、あまりの変わり様でびっくりしました」


「サマ様は変だな・・・よし、カンドって呼んでくれ。その方が呼びやすいだろう?」


サマルカンドを名乗る人物は、確かに魔王の面影を呈していた。しかし、サイズがヒューマンサイズとなり、身なりがきちんとした今の恰好は、違う人物と言われても分からないと思う姿であった。


「こちらに帰ってきてからすっかり魔素がなくなってしまって、ようやくこの姿まで戻れたんだ。今で約10%程度の力しかないんだよ。・・・おお、来た来た。それじゃあ、再開を祝して乾杯!」


「・・・乾杯・・・」


豪華なAセットを前に水の入ったコップで乾杯するジュンイチであった。ただ食事内容より、魔王と再会した驚きが強く、何も考えられないジュンイチであった。

がつがつ食べるサマルカンドを前にして、ちょびちょび黒パン、豆スープを咀嚼して行くジュンイチ。ようやくひとこごちが着いたようで、サマルカンドは話を続けた。


「実は人里に来たのはつい最近なんだ。それまで魔素の確保に忙しくてね。今までFランクやEランクのビースト狩りをしていて、森の中に住んでいたんだ。ところでジュンイチ君はどうしてここに居るのかい?」


「・・・誰かが向こうの、ガイアの世界とこの世界をつなげたみたいで、いわば巻き込まれた様な状況なんです。少し質問していいですか?この世界の事を全く知らなくて」


「ああ、分かる範囲なら答えてあげよう。ただ、もちろん最近の事は僕にもよく分からないんだけどね」


そうしてジュンイチは、サマルカンドにこの世界の事を深く教えてもらうこととなったのである・・・



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