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僕らの冒険2  作者: じっつぁま
新たな世界へ
13/61

13話



「もー、ジュンイチ、どこにいるのー?」


リョウはガイア城から異世界の門をくぐり、ジュンイチと同じ異世界へ降り立った。背中には大きなリュックを背負っている。中にはジュンイチのブレーサーやたくさんのポーション等が入っていた。

装備は冒険していた頃の皮装備で、左腕にはカウンターと魔道具を装着している。もちろん炎竜の宿ったレイピアも持参している。


降り立ったところは、ジュンイチの居場所とかなり離れているようだった。リョウは炎竜に語り掛けた。


「炎ちゃん、ジュンイチの居場所分かる?」


『ジュンイチ殿は、かなり南にいるようだ』


「えー、どーしよー?」


文句を言いながら、南の方角へ歩いて行くリョウであった。



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



「スプリット」


ジュンイチはあれから数日間、下水道の清掃作業を続けていた。下水の水を割ることによって、作業効率は格段と上がった。もっと効率アップができる秘策はあるのだが、その方法はザーンと相談してから行うこととした。


「それでは小休止ー!作業止めー!」


ザーンの号令と共に皆一斉に休憩に入る。ジュンイチは疑問に思ったことをザーンに質問することとした。


「ザーンさん、お疲れ様です。ちょっと聞いてもいいですか?」


「ああ、ジュンイチもご苦労さん。聞きたい事とは何だ?」


「どうしてヘドロを掻き出すのですか?」


「それは洗い流した方が早いと言う意味か?」


「そうです」


「・・・まあ、ジュンイチならいいか。この町の下水道は家庭や工場の汚水以外に雨水も入って来る、いわば合流式というものだ。このやり方だと流れ難い土砂なんかも入り交じる。それで底にヘドロが溜まるんだ」


「はい、分かります」


「それを掻き出す為、我々の様な汚れ屋が雇われていたんだが、最近もう少し効率を良くする為雨水を別に流す下水道が作られつつある」


「・・・ということは?」


「それが完成すれば、俺らの仕事が無くなるということだ」


「そうなんですか」


「おそらく数人は処理場で雇って貰えるだろうが、処理場ではヒューマンの魔法使いが魔道具を使いながら作業している為、ほとんどが職無しになるだろう。他の仕事に転職した者も多いが、まだ職が見つかってない奴も多い。だから効率的にしてないのさ」


ジュンイチはもう1つの秘策をしなくて良かったと思った。水魔法でヘドロを流してしまえば、あっという間に作業が済んでしまうと思ったのだ。


「お前さんもぼちぼち他の仕事に就いた方がいいぞ。お前さんなら直ぐ他の仕事に就けるだろうが?」


「そうですね、小金も貯まって来ましたので、最初の目的は達成したんですが・・・」


思った以上に住み心地が良く、(臭いは強烈だが)ずるずると仕事を続けてしまったジュンイチであった。


「それはそうと、お前さん、手に魔道具を着けとりゃせんか?」


「えっ!分かるんですか?」


「うっすらとだが、何となく感じるのだ。もしかするとゴブリン由来の魔道具じゃないか?」


「いえ、僕には分かりませんが、そうなんですか?」


その後ザーンは、ゴブリンの伝説に付いて語り出した。

最早神話の時代であり、正確な出来事かどうかも分からない位昔のことである。そこにはゴブリンの英雄がかつて存在した。ゴブリンとは力も知力も魔力も持たない種族であり、繁殖力のみで他の種族に抵抗していたが、徐々にその数を減らしていた。最早絶滅寸前となった時、英雄は現れたそうだ。彼は特に投擲に優れ、空も飛べたそうだ。ゴブリン狩りを積極的に行っていたのはヒューマン族であったのだが、時には奇襲で、時には空中から、ヒューマン族を追い返し、ゴブリン族を救ったそうだ。


「彼の遺骨は魔道具となり、彼の子孫のみその存在を感じることができると言われているのだ」


「それじゃああなたが・・・」


「俺がその子孫だというのだ」


「じゃあ、この魔道具は、ザーンさんの物じゃないですか。お返ししなくては・・・」


「いや、最初に神話と言っただろう。俺もそんな話は信じちゃおらん。それはお前さんの物だ。ただ、ふと今思い出してな。まあよたばなしとして覚えて置いてくれ」


「・・・分かりました。ちなみにその英雄は、その後どうなったんですか?」


「一巻のおしまいって、続きはないぞ。さあー!休憩終了ー!作業再かーい!」


ザーンと話していて、休憩時間が終了したようだ。しかしゴブリンの英雄の伝説は、ジュンイチの心の隅に引っ掛かったのであった。



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



「ほっほっほっほ、レーコ殿久しぶりですな」


「爺様、よく来てくれたわね。さっそく見てくれる?」


ガイア城勇者の間では、異世界の門の解析が始まろうとしていた。ジー・クリストファー・サマーが要請に応じてたった今参上したところである。レーコはジュンイチ達がくぐった門をジーに指さしながら、一緒に解析を促した。


「ふーむ、この魔石は割と純度が高いようだが、合成されているようですな」


「そうなの。おそらくあなたたちの帝国で作成されたものと思うわ」


「しかも、配列が不規則で、接着が甘いですな。このままでは数日と持たないでしょうな」


「だから急いで解析して、しばらく使用に値する状態までしないといけないの」


爺様とレーコ、2人の検討が、今始まったのであった・・・



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