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僕らの冒険2  作者: じっつぁま
新たな世界へ
11/61

11話



「・・・という訳で、お世話になりました。町に行こうと思います」


このままでは身動きか取れない。レベルアップを図るにも、レベルアップ痛を治すことが出来なければ、動くことさえできなくなる。どういう理由か分からないが、この世界では割と簡単にレベルが上がる様だ。それは望ましいことではあるが、次の日以降動けなくなることにでもなれば、簡単にビースト狩りをすることもできない。

町に行き、この世界の情報を得ると同時にお金稼ぎをしなくてはならない。ジュンイチは1晩考えて、町に行くことにしたのであった。


「いやジュンイチ殿、まだもう少しおられてはいかがかな?まだお礼が済んでは居らんし」


「そうよ、お兄さん。私もお兄さんに助けてもらったお礼をもう少ししたいの」


「いやいや、割ともう充分お礼を頂きました。この地に迷い込んでから、ほぼ丸3日御厄介になりましたから、そろそろお暇をしなくてはいけない頃だと思います。町である程度お金稼ぎができましたら、もしかするともう一度御厄介になるかもしれませんし」


ジュンイチの気持ちは堅かった。というか、これ以上ここにいてもすることがないので暇なのである。

ジュリアの相手をしてもいいが、なんといってもメスゴブリンである。異種族なので恋愛感情を持つことも、家族愛にもなりにくいであろう。

そういう理由で、ジュンイチは町の情報を聞くこととした。


「わしが元いた町で、名はシュリの町という。ゴブリン族が最も多いが、そこの町長はヒューマンがやっている。以前の町長は種族差別がひどく、わしらゴブリン族を犯罪奴隷の様にこき使っていた。一度大きなデモとストライキが起こり、以前の町長はリコールされた。新しく来た町長は種族差別をしなかったが、今でも町の中では名残が残っておる。ジュンイチ殿はヒューマンであるから、町の衛兵とはぶつかることはないが、町の他の種族からは嫌がらせを受けるかも知れぬ。必要ないかもしれないが、わしの手紙を渡しておこう。ゴブリン族に目をつけられた時に見せれば、多少とも便宜を図ってくれるかもしれない」


こうして、ジュンイチは町に向かうことになったのである。

町への移動は馬車と護衛をつけてくれた。馬車は米を運ぶ時に使うものであり、ジーナスの紋様が描かれてあった。護衛には、なんと、カムリがついてくれた。筋肉痛になった罪滅ぼしだそうだ。カムリのせいではないと説明したのだが、道中の便を図ってくれるそうだ。ついでにジュリアも同行することとなった。途中の道沿いで食事を作ってくれるそうだ。流石にそれは断ったが、一度町に行ってみたかったそうだ。秋晴れの早朝、馬車が出発することとなった。


「それではジュンイチ殿、お達者で。できればまたこの村へ遊びに来て下され」


「大変お世話になりました。また機会があれば寄らせていただきます」


ジーナスと挨拶を終え、馬車は動き出した。町までの道のりは約3日間で、道中は特に危険なことはないそうだ。時折FランクのグレイハウンズやEランクのポイズンフロッギーを見かけることがある程度という説明を受けるが、どの程度の強さかは分からない。今は遭遇しない方がいいいなと思うジュンイチであった。


ステータスアップのお陰でMPが増えた。この世界でも一晩寝るとMP量は元に戻る様だ。おかげで水には困らない。食事の際にはふんだんな飲み水を作り出し、食後の皿洗いも積極的に手伝うジュンイチであった。ジュリアは普段から料理を作っているようで、村で食べたのと同様な味の食事をとることができた。夜間は衛兵とカムリが見張りをしてくれた。今はビーストと戦いたくないジュンイチにとってはありがたいことであった。


特に危険な目に合うこともなく、馬車はシュリの町にたどり着いた。

シュリの町は地球の町とさほど変わらぬ街並みをしていた。科学を魔法に置き換えただけで、ここが地球だと言われても違和感がない程であった。具体的に言えばイギリスの片田舎の街並みがこの様であろう。ジュンイチはイギリスの街並みなど知らないので、ヨーロッパの街並みみたいだなーという感想であった。赤い瓦の屋根、白い壁、街路樹があり、道路はレンガでできている様だ。あまり高い建物は見当たらないが、そう古い建物もないようだ。


門番はヒューマンがやっており、カムリが懐から証明書を提示すると町中へ入れる許可が得られた。このまま町役場に向かってくれるらしい。


「冒険者ギルドの様なものはないんですか?」


「・・・町で働くときは、町役場で職案内をしているんだ。ギルドとか冒険者という言葉は知らないが、ジュンイチも役場で聞くといいと思う」


この世界では冒険者はいない様だ。詳しくは役場で確認する事として、ジュンイチは2人に別れを告げた。


「いろいろとお世話になりました。又機会があればお会いしましょう」


「お兄さん、気を付けてね?また村に遊びに来てね?」


ゴブリンの表情はまだまだ判別できなかったが、悲しそうということは理解できた。2人の手を取り、この世界に握手という習慣があるかどうか知らないが、握手での挨拶をして2人が街中へ消えるのを見送ったジュンイチであった・・・



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