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僕らの冒険2  作者: じっつぁま
終わりから始まりへ
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1話




佐藤潤一は、高校2年生である。


季節は夏真っ盛り、外では蝉の鳴く声が響いている。

今は夏休み中盤で学校は休みであるが、潤一は学校へ来ている。補習を受けているのだ。2年1学期後半の授業を受けることができなかった為、呼び出されたのだ。現在教師と1対1で数学の講義を聞いている。


「・・・ということになる。きちんと聞いてるかー?」


「はい、先生」


教師も潤一一人の為に講義を行う必要はないという者がいたが、校長の一言で施行することとなった。ちょっと、ありがた迷惑なところも感じる。

今日は補習最終日、今日が終われば後は多量の夏休みの宿題を片付けなければならないが、一応休みとなるのだ。頑張らなければ・・・



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



異世界から帰ってきたら夏休みに突入していた。親と一緒に学校長に謝罪をしに行き、留年は決定したもののリョウと同じクラスになった。まだクラスメイトとは顔合わせはしていないが、他の人などどうでもいい。親しいものが数人いれば、楽しく過ごせるはずだ。


異世界へは、あれから行ってない。

親からの説教や遅れた授業の補習、宿題に追われていたからだ。しかし、ようやく時間が作れる。明日から異世界へ行こうと思っているのだ。


異世界で培った能力は、この世界でも使うことができる。例えば念力では、物を動かしたり、宙に浮いたりすることもできないことはない。さっきもペン回しを失敗して、飛んで行きそうになった鉛筆を、こっそり念力スキルを使って手元に戻した。しかし、以前と異なることがある。大きなスキルは使えなくなったことだ。


この世界がパラレルワールドとなり、ソフィアとのリンクが切れ、左腕のカウンターがなくなったことにより、今までのステータスがなくなったのだ。つまりジュンイチ達は今レベル1となっており、体力不足の18歳のちからしかなくなってしまっているのだ。

その為、念力は少々、魔法は使えない状況なのである。因みに固有武器であるブレーサーは、異世界に置いてきているので氷の力も使えない。

又魔素をこちらの世界に持ち込まないため、こちらの世界での魔法使用は禁止と言われている。


まあ、使えないけどね。


取り敢えず、現状ステータスが下がった影響で体が重くて仕方がない。その為、異世界でレベ上げすることにしているのだ。以前の様にカンスト近くまでする気はない。取り敢えず身体の違和感が無くなればいいだろう。

現状を把握しつつ、補習が終わるのを、ペン回ししながら待つ潤一であった。



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



翌朝、さっそく潤一は異世界の門に向かった。

親には友人と一緒に宿題をすると言っている。

嘘ではない。レーコに全部教えて貰うつもりなのだ。


「行って来まーす」


「晩御飯には、帰るんだよー」


宿題一式をリュックに背負い、リョウの家に向かう。現在の異世界の門はリョウの家にあるのだ。


「お邪魔しまーす」


「あらあら、潤一君いらっしゃい。久しぶりね。異世界へ行くの?じゃあ、気を付けてね」


「はい、行って来ます」


リョウの家は母子家庭である。父親は幼くして亡くなったらしい。異世界のことは母親には話してある。

因みにリョウは、今いない。最近は異世界のことや魔王のことを知っている人の記憶を消すのに忙しいらしい。魔王の脅威が無くなったこの世界では、既に不必要な記憶なのだ。リョウもステータスが落ちている為、なかなか大変な様だ。


僕はレーコ作、異世界の門をくぐった。


「ひっひっひっ、いらっしゃい」


「こんにちは、おじゃまします」


門をくぐると、いつもの老婆がいた。変装した女王である。

こちら側の門は王城女王の隣部屋にあり、女王は今も門番をしている。因みに変装は趣味だ。

その部屋は勇者の部屋となっており、5人のロッカーがある。ジュンイチは中からブレーサーと、ポーチを取り出した。


ポーチはレーコ作で、空間魔法が付与してある。使用する本人のMPで収容力が増える設計となっているのだが、現在ジュンイチのMPは0なので数枚のジェニー金貨しか入っていない。ジュンイチは今まで背負っていたリュックにポーチを入れ、衣服を変え荷を背負うと、王女に挨拶して、部屋を出てゆくのであった。



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



「・・・ということで、現在はフィールドのモンスターは激減し、ダンジョンに湧くモンスターが優位になっているのよ。あっ、そこジュンイチ間違っているわよ!」


ジュンイチは早速レーコに異世界の現状を確認しつつ、夏休みの宿題を教えてもらっていた。できれば今日中に全ての宿題をやり終えて、明日からレベル上げをしたかったのだ。


以前あった左腕のカウンターは、ソフィア姫とのリンクを作り、疑似的なHPMPを作成していた。現在それは無くなってしまったが、存在している間に5人の勇者には疑似的なHPMPの”核”が出来たらしい。つまり、またモンスターを狩ればレベル上げができるということである。しかし現状で頑張ってモンスター狩りをしても、なかなかレベルは上がらないらしい。レーコやケーゴは試行錯誤しながらレベル上げをしたが、現在まだレベル3になったところという。


「私たちは、ヘンゼルの町の東側に新しくできた”ゴブリンの洞窟”でレベル上げをしたのよ。ケーゴは堅固のスキルがあるからレベル1でもさくさく倒せたけど、やっぱりなかなか上がらなかったのよねー。あ、そこの答えはNiね。そこで、ケーゴと一緒に作ったのがこれ、タラララッタラー、腕時計式カウンターよ」


化学の問題を解きながら、カウンターを見る。以前左腕に着けていたものとそっくりの腕輪であった。


「これは、現在の私たちのレベルを測定し、数値化するとともにモンスターを討伐した時に発生する経験値、”HPMP”吸収装置なのよ」


モンスターや人を倒した時に経験値が上がるのは、その生命体が亡くなる時放出されるHPMPを吸収するからだそうだ。一般的にはほとんど大気へと失われるのであるが、このカウンターがあれば以前と同様に吸収できるそうだ。


「ただ、今はあまり吸収量が少ないし改良の余地があるけど、ないよりましだからつけて置いたら?ちなみに1000万ジェニーでいいわよ」


「えーーー、もっとまけてよー」


「いや、作成するのにいろいろコネを使ったりしたけど、本当に高額の資金が必要だったのよ。今後改良品を作らなきゃならないし、その位ならジュンイチも払えるでしょ?」


報奨金を含めて1000万少々の蓄えがあったが、少々しかなくなったジュンイチであった。


「ちなみに”ゴブリンの洞窟”までは、テイムしたワイバーンを貸してあげるわよ?安くしとくわね?」


ことごとくレーコには勝てないジュンイチであった。

今日は、やっとの思いで宿題をやり終え、明日からレベル上げを行う事にしたジュンイチであった・・・




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