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Need of Your Heart's Blood 3  作者: 彩世 幻夜
第三章 The next move
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指針

 自分たちの始まりは、大精霊ローレルの力を凝縮した、種という形の“卵”。

 それは、主となる赤子が母親の胎から生まれ出たその瞬間に、始めてぼんやりと自我を持つ。

 子どもが物心つくまで育つと、改めて契約の儀式を行い、そこから先は主から力を受け、育つ。


 「私たちローレル様の仔は、人の主を直に持つため、主からの力と、ローレル様からの力の恩恵を受けて育つ。それ故、我らは他とは比べ物にならぬほど、短期間で多くの力を得、成長できる」

 普通、人と契約を交わすには、ある程度以上に成長し、力を得る必要がある。

 そして、そこまで育つことこそ難しいことであり、そこまで育つ以前に消滅していくものは少なくない。


 「このシステムは、少なくともここで生まれたローレル様の仔は、とても恵まれた環境下で育てるように作られている」


 主たちから意見を求められた精霊たちは、互いに口をそろえるようにそう言った。


 「我らは精霊で、人である主より長き時を存在する。先代らに仕えた精霊たちは今、ローレル様にお仕えしておられる――が……」

 「ローレル様は、大樹の精霊。依代であり本体でもあるこの大樹から遠く離れる事は叶わない」

 「しかし、人を主とし、それぞれ主の選んだ者を寄り代とし、力を蓄えた者の中には、自らの意思で、どこまででも行ける者もいた」

 「それができるものは外へ、それができないものはローレル様のお傍でお仕えする。そうして、ローレル様は間接的にながら、必要な力を効率的に得ていらした」


 しかし。


 「このところ、真にローレル様が望む域へ届く成長を伴った精霊がめっきり減っていた」

 「僕らにとってはまだ十二分過分な程の力でも、一歩、頭抜きん出た力を得る者は確かに減っていた。――現に、あの小僧にかなう者は誰も居なかった」


 その、理由は。


 「……その原因の一つは、確かに長一族の愚かな行いだろうが、それだけでは説明がつかない。あの小僧のあの強さの理由を知れば、我らが目指す先を知れるのではないか?」

 「そうだ。あの小僧の主の娘たちは、ローレル様にいたく気に入られていた。彼らこそが、答えそのものではないか」


 やはり、話し合いはそこへと戻ってくる。


 「しかし彼らは今、ローレル様と共にどこかへ……」

 「いや、もう一人……、ルナ様もローレル様のお気に入りだ」

 「だが彼女も、あの娘達が保護するとどこかへ連れて行ってしまったじゃないか」


 進むべき方向は、見えてきた。

 しかし、その指針を得ようにもその手段が手近に見当たらない。



 「……ふむ。――どうするね?」

 それを、異界から見守るローレルは、嬉しそうな微笑みを浮かべながら、視線を咲月たちに向けた。

 「それで、良い方向に向かうなら」

 「この混乱が収まるなら。咲月の憂いも一つ晴れる」


 その答えに、ローレルはさらに笑みを深め、最後に潮を見る。


 「オレは、この地で生まれました。おぼろげな記憶の中、常にそれを誇りに思っていた。でも、こいつとここを訪れた時、ルナ様の話に、誇りは失望と恥に変わりました。……でも、やっぱりそんなのは嫌だから。もう一度、誇りを取り戻せるなら。オレは、行きます」




 「では、行ってこい。話がまとまったなら、我が祠に祈りを捧げよ。そして、定まった答えを告げろ。その答えしだいで、私も先を決める」

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