プロローグ
大変申し訳ありませんが、本作はマイナビ文庫さんの楽ノベ文庫から電子書籍として出版されたことに伴い、本編は削除されております。
電子書籍版には未掲載のプロローグ、人物紹介、ならびに番外編のみをお楽しみいただけると幸いです。
今年もまた、春がやってきた。
この季節が近づくにつれ、私は思い出す。
私の人生を劇的に変えることとなる、大きな決断をしたあの日のことを。
そして、決断をするにあたって体験してきた数々の出来事を。
あの頃の私は、他人に決められた人生が嫌で、反発して、でもやりたいことがあるわけでもなくて…不満と不安に押しつぶされそうだった。
まるで、先の見えない真っ暗闇の迷路のなかを手探りで歩いているかのようだった。
光の指すところを探し求めて…でも、なにも見えなくて。
今思い出すと、あの頃の私はたぶん幼なかったのだと思う。
思い返してみても、ほんとうに些細なことで一喜一憂していた。
今となっては、自分の行動を思い出して恥ずかしいばかりだ。
だけど、過ごした日々は…ステンドグラスのようにキラキラと輝いていて、今でも眩しいほどの輝きを放っている。
その輝きの中心に居たのは、間違いなく「彼女」だった。
私の決断に、もっとも大きな影響を与えた存在。
彼女と、私を導くこととなる不思議な「鍵」。この二つとの出会いと、私が下した大きな決断について、これから語ろうと思う。
あれは、今と同じ、もうすぐ春になる季節の事だった。
そう、すべての始まりは、私がもうすぐ十五歳になる、そのことがきっかけだったと思う…