表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/28

茨木さんと沈丁花

石田くん事件以来、私は何故か学園生活のほとんどを茨木さんと一緒に行動するようになった。

幸か不幸か私に親しい友人はいないので問題はない。

香穂ちゃんについても本当は彼氏とイチャイチャしたいのにも関わらず、私に気を使って一緒に行動してくれたと知った時には申し訳なさで授業中ずっと唸ってしまったほどだ。

具合が悪いと勘違いされて保健室に連れていかれてしまったのは記憶にあたらしい。



そもそも何故急に茨木さんは私から片時も離れなくなったのだろう。百合か!?百合なのか!?私にそんな気はないが迫られたら絶対に心揺らぐ気がする。

気になっても夜は眠れるが理由を聞いてみた。

「側にいなかったら望月さんを守れないでしょう。それとも、私と一緒にいるのは嫌かしら?」

私の胸をどきんと高鳴らせるセリフを吐いた後に、このあざといセリフである。

この高等テクニックはどこで培ってくるのだろうか。

普通の人なら茨木さんの美しさにコロッと騙されてしまうだろう。が、私は違う!美形耐性EXの私に隙などない!

「ううん、私も一緒にいられて嬉しいよ!!」



・・・・・・?



あれ、隙はなかった筈なのだけど?

どうやら私の中で天使と悪魔が相談することなく両方で騙される方にGOサインを出していたのが原因らしい。私の想像のくせにプラカード持って2人で仲良く肩を組んでいるんじゃない。

基本的に私の中にいる天使と悪魔は茨木さんについてだけは仲がよく、しかも茨木さんご都合主義である。

流石わたし、ある意味隙はなかった。



茨木さんと一緒に行動してわかったことがある。

彼女からすごくいい香りが常にするのだ。

香水を使っているのかを聞いてみると使っていないという。

知っている香りの筈なのになかなか出て来ない、このもどかしさに我慢できなくなった私は香水店にかけこみ、片っ端から匂いを嗅ぎ、鼻が機能しなくなった頃ようやく目当ての匂いを探し出した。

沈丁花だ。爽やかな春を連想させる白くて可愛らしい花。茨木さんにピッタリじゃないか!と、その時の私のテンションは高かった。この感動を誰かに伝えたいと石田君にメールを送った。


『石田君たいへん!茨木さんから沈丁花の香りがするよ!』

『知ってる。というか茨木杏3級検定に出てきたし』

『なにそれ?検定ってなに。誰が作ったの?』

『ファンクラブでやっているやつ。検定に合格するごとに幹部になれる。』

『犯罪組織か』

『ちなみに俺2級。準補佐\(^口^)/』

『なにそれ怖い』

ここで私と石田君のメールは終わった。実際にはこの後も延々と茨木さんの良さが書かれた長文メールが届いていたがサイレントモードの私には関係なく、気持ちのいい睡眠で朝を迎えた。


「あ、おはよう香穂ちゃん。彼氏さんどうしたの?」

「おはよう早紀ちゃん。今日は風邪で休みなんだ。」

朝方玄関先でたまたま一緒になった香穂ちゃんと教室に向かう。

ちなみに早紀は私の名前である。

「ってゆうことが昨日あってね、石田君には流石に引いたよ。」

「あーうん、正直早紀ちゃんはよく石田と友達になれたよね。顔はかっこいいと思うけど、正直変な人だし。」

「変な人だけどいい奴だよ。それに1年の頃は正統派の爽やかイケメンだったんだよ。最初はちょっと話すのもとまどったもん。」

「うそだぁ。じゃあなんでああいう風になったの?」

「わかんない。夏休みが終わって登校したらもうマッチョだった。」

「石田になにか心的な変化がおこったのかしら。」

「なのかな。ただうわ言のようにこれで茨木さんにって、ぶつぶつ言ってた気がする。」

「怖。石田怖い」

「そう、石田君は怖いんだよ」


力強くうなずく私。

結論、石田君怖いで私達の会話はなんの実りもなく終了した。

女子高生の会話なんて8割は意味の無い会話で成り立っているのだ。



ただ茨木さんの場合は違った。

お昼の時間、今日は彼氏さんがいないということで香穂ちゃんも一緒にお昼を食べようと誘ったが、顔を真っ赤にしながら全力で後退しながら断られてしまった。

結局茨木さんと2人でいつも通りご飯を食べることになった。


お昼も食べ終わり朝香穂ちゃんに話した内容をそっくりそのまま茨木さんに話してみた。

気持ち悪いの一言でしめくくられるだろうと思っていた私の予想は外れ、眉を顰めて考え込み始めてしまったのだ。しばらくして覚悟を決めたように私のほうを向いた茨木さん。

「望月さん、ちなみに夏休みの前、石田君となにかあった?」

「うーん、特に。数学を小テストの前とかに教えてあげたりして仲良くなり始めくらいだったから。」

「それだわ。石田君に言っておいて。私、別にマッチョは特別好きじゃないって。」

「?わかった。」


東野あいつ、と侮蔑のこもった瞳でいま教室にいない人物の名を呟く茨城さん。

目がMAJIと書いてマジである。

本当に幼馴染なんだよね?と問いかけたくなるくらい冷たい目をした茨木さん。

そんな空気の中、何もしないのも気まずいため、私はいわれた事を伝えるべく、石田君にメールを送った。ちなみに石田君は隣の教室2-Aでご飯を食べている。茨木ファンクラブは2-A東野ファンクラブは2-Cで原則待機しているらしい。何にたいして、何のために待機しているのかを教えてほしい。


その後すぐ、東野―!!!という怒声とともに石田君が廊下をかけぬけていくかと思いきや、女子の見事な連携プレーで折角のマッチョも空しく、2-Cにあっという間に連れ込まれていった。そのために待機してるんだと納得した。




無事に帰ってきてね、石田君。

なんだか私の知らない間にいろいろなことがおこっているなとしみじみ思ったお昼だった。

なぜこんな事になったのかは次回の小話にて判明させたいと思います。

ご閲覧ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ