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小話 望月と石田

部活帰り、玄関先で出合った俺と望月が家路に向かうときの出来事だった


「石田君さー、最近背中の人見なくなったよね」

「・・・は?」



こいつは一体何の話を言っているのだろうか。

去年ぐらいからかなーとなんでもないように話し続ける望月は、俺の怪訝な表情及び戸惑いには全く気付いてない。


「背中の人ってなんだよ。確かに俺は茨木さんの背中は守ってるけど、誰かに守られている覚えはないぞ」

「あちゃー。あ、そういえばこの間コンビニで食べたアイス凄く美味しかったんだ」

「話を移行するな、耐えろ。今大事なのは俺の背中の問題だ」


望月は面倒そうな話になるといつも適当な相槌をとり話ごと逸らしてくる。

俺はもっと茨木さんについて語りたいのにはーとかおーとかで流すのもよくある話しだ。

必死な様子が伝わったのが望月も流そうとした話を戻し、会話を続ける


「といっても大した話じゃないよ。ただ背後に美人な女の人がずっといたってだけの話しだし」

「美人に釣られずに背中、女、四六時中のワードだけ抜き取ってみろ」


ようやくなにか琴線に触れたようで、歩いていた動作をピタリと止め、あごに手を当て考え込み始めた。みるみる顔が青白くなっているあたりようやく気付いたようだ。思いつめたように望月は俺を見た


「ホラーだ」

それ俺に向けて言ってないよな?


しかし、そこは望月。自分には関係ないからいいかと考えを切り替えたようで、表情は明るくなる。


「まぁ最近は確認がてらふっと現われてチッて舌打ちしてすぐどっかいっちゃうし大丈夫だよ」

「なぁ望月、それちゃんと人間なのか?」

「人間だよ、メルアド知っているし」


はい、といわれて出された携帯の画面を覗いてみると確かに背中の人という名前で表示されているメール分。

本文には『マッチョ期は終わりましたか?』の一文のみ。

固まっている俺に気を使ったつもりなのか「まだ終わりませんって送っといたから」と、どや顔で話す望月。殴りたいこの笑顔


「ストーカーからアドレス聞くなよ」

「石田君がそれ言うんだ」

「俺はいいんだよ。茨木さんのすこやかな生活を見守っているんだからな」


茨木さんはいい。綺麗で清純でおしとやかさの中に見え隠れするお茶目なところも魅力を増やす要因のひとつになっている。健やかな生活を守ることがファンクラブの使命であり、存在意義である。

もちろんそれには俺も同意見だ。彼女は尊く気高い人物であり誰かが汚していい存在ではない。


不満げな望月は眉を寄せて悲しそうに口を開いた

「背中の人だって見守っていたよ。石田君が体鍛え始めたあたりから凄い不満そうで、そしてマッチョになった石田君を見て悲しそうに背中を向けて去っていってしまったの」

「俺もうこの先筋肉と一生友達でいようと決めた」


ありがとう筋肉、おまけでありがとう東野。

おまえのストーカーぶりは流石に引くところが多すぎるが、今ならお礼もかねて協力してやるから。正直望月は一度痛い目をみるべきだ。



********


続きの会話



「お前ファンクラブから実際に嫌がらせあったらどうするんだ?」


望月はキランと効果音がつきそうな表情で、よくぞ聞いてくれたとばかりに話始める。


「とりあえず学校に相談して、それでも駄目なら証拠写真とって訴えてから転校しようと思ってるんだ」


鞄から出される他の学校のパンフレット、既に準備済みというわけか。

おすすめの学校には赤ペンで丸が付けられていた。


「相手金持ちだからもみ消されたりするんじゃないか?」

「そんなことで権力を振りかざす程度のお家柄ってことだと思うけど、そしたら東野君とは2度と近づきませんって宣言して転校するかな」


「茨木さんはどうするんだよ」

「うーん、凄く自意識過剰かもしれないけどさ。茨木さんなら付いてきてくれそうな気がする」


いい笑顔で言い切った望月は、それじゃあ家こっちだからとスキップをしながら帰っていった。俺は携帯を取り出しある人物に連絡を取る。向こうも電話がくるのは予測していたようでワンコールしないうちに繋がった。


『俺まで死活問題じゃなーか!茨木さんまで転校したらどうしてくれる』

『そんな事はどうでもいい!俺に助けを求めてくれるだろうと思っていたら、縁切り宣言の上転校だと!?おい、対策を練るぞ、お前んとこの会長も呼んでこい』

『おう!』



事件は現場でおこっているんじゃない!そもそもおこっていないんだ!



どこかであってお話としてとらえてください。

望月と石田の家は方向が同じです。

そして東野ファンクラブについてはここで一区切りとさせて頂きます。



ちなみに背中の人が別の人にいった場合


東野→無理、こいつには勝てんわってなる(人の上を行く男、それが東野)

森口→そもそも全くタイプではない(マッスルとか論外)

峰→そのまま続行される(欲を言えばもうちょっと騒いでいる子が好き)

戸田君→彼女がいる子には手は出さない主義(曰く、自分なりにルールがあるらしい)

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