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茨木さんと待ち合わせ

私は猛烈に走っていた。


我が家は駅より標高が高いところにあるため駅に向かう際にはひたすら下りだ。

普段なら自転車で10分もかからずにスイーと下って行くところだが、本日はワンピース。もう一度言おう、ワンピースである!

パンツが見えてしまう、と自転車に乗りかかったところで気付いたのだ。

自転車で10分のところでも徒歩になると30分かかる道、余裕を持って出ようと思っていたため待ち合わせ時間まで後30分。


私は走った。


メロス!あなたもこんな気持ちだったのねと意味もなく感傷的になってしまう。

が、すぐ息切れし始めて酸素不足になったため考えは停止させられた。

運動不足な体にはこの長距離は下りでもきつい。



ひたすら走りに走って現在時刻は10時50分、10分短縮でき、なんとか間に合ったようだ。

まだ肌寒い季節で助かった、夏だったら私は一式服を買わなきゃいけないくらい汗をかいていたと思う。


駅前に近づくにつれ人ごみが多くなっていく。

息を整えながら駅前に続く階段を下りかけた所で私の足はピタリと止まった。

上から見える人ごみの中に駅前にクレーターがある。

クレーターの周りは異常な密集率にも関わらず、コンパスでも使ったんじゃないかというぐらい円の中には人がいない。

遠めからでしか確認できないが中央に立っているのは女性であることが分かる。


これは、つまり。

特攻しろということなのだろうか?


待ち合わせ時間も迫ってきているため覚悟を決める。

一段一段階段を下りるにつれやっぱりあれは茨木さんだったことが分かった。

さて、ここからどう近づけばいいんだろうかと思案していると茨木さんがこっちに気付いたようでパッと表情を明るくしこちらに近づいてくる。

そして歩く茨木さんに合わせてモーゼの海のように割れる人だかり。

茨木さんの威力というものを改めて感じる光景である。

総レースの白いブラウスに赤いショートパンツの格好で現れた茨木さん。

美人は何着ても美人で凄い。私が同じ服を着てもこうはならないだろう。

注目すべきはその白くてすべすべの生足である。いつもはソックスに隠されていて見えなかったふくらはぎ部分の適度に鍛えられた露出しているのだ。

あまりずっと見ていて通報されるのも困るので茨木さんに顔を向ける。


「おはよう望月さん」

「おはよう茨木さん、ごめんね待った?」

「ううん全然、今来たとこよ」

あのクレーターが一瞬で出来るものなのだろうか?

いや、無理だろうなとは思ったけれど、折角茨木さんが気を使ってくれたのを掘り返すのもよくないので後でお詫びとして何かおごろうと思う。

「それで、今日は映画でも見に行かない?特にこれといって見るものもないのだけれど…」

「いいよ、行こう映画!見るものは向こうで決めればいいよ。」

「そうね、行きましょう!ふふこれがデートというものなのね」

嬉しそうに笑っている茨木さん。

デートじゃなくてお出かけではとは思ったが茨木さんが幸せそうなのでなにも言わないでおこう。かばんの端からみえるデート攻略本もスルーしておこうと思った。



短くてすみません。

セリヌンティウスを出せなかったことが心残りです。

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