表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/14

ep.10 実践演習I

 メルレスと魔法の話に花を咲かせていると、教室の扉が開いた。

 入ってきたのは、八十代くらいの杖をついた老人だ。

 老人が部屋に入ってくると同時に、賑やかだった教室は静まり返り、全員が憧れの眼差しで老人の方へ視線をやっていた。

 皆の眼差しは、揺るぎなく真っ直ぐ老人を見つめており、その目は魔物の氾濫を収め帰ってきた"色彩の魔女(しきさいのまじょ)"へ向けるものと似ていた。

 ユフィーアが疑問に思っていると、教壇に立った老人が口を開いた。


「儂の名はキャルゼイス・リベルトじゃ、元魔法騎士兵の第二部隊隊長をしておった。今は教師として魔法科の元素魔法、火属性と風属性を担当しておる。」


 キャルゼイス・リベルト ── ユフィーアはこの名前に聞き覚えがあった。

 キャルゼイスと言えば二十年前の魔物の氾濫の際に最前線で魔物達を押さえ込み、恐怖の象徴として知られている悪魔を二度も討伐した英雄だ。

 その事を思い出し、キャルゼイスへの視線には納得し頷いていると、周りの視線が気になった。

 何故か凄く見られている気がする。

 恐らく、この視線はユフィーアへ向けられたものではない。

 メルレスへのものだろう。

 魔法が得意でない者でも、メルレスの揺れのない洗練された魔力が感じ取れたのだろう。

 ユフィーアは、魔力を抑え波動を生み出し揺らしているおかげでそこまで注目されていないがメルレスはそうじゃない。

 揺れがなく限りなく透明に近い魔力。

 これ程の魔力を持つ学生が、一体どんな魔法を使うのか気になって仕方ない。

 そんな視線だ。

 もちろん、ユフィーアも気になって仕方ない。

 早く実践演習をやらないかなとワクワクしている。

 そんな事を思っていると早速、


「これから火属性の実践演習をする。まずは演習場の森へ移動じゃ。」


 そう言い杖で床を一突きすると、大きな魔法陣の光が全員を包んだ。

 眩しさで瞑っていた目を開くと、目の前には多くの緑が広がっていた。

 多くの生徒が辺りを見渡し、口をあんぐりと開いていると、


「ほっほっほ、ビックリしたじゃろ。これはな、転移魔法と言う一般魔法じゃ。」


 キャルゼイスがそう言うと一人の生徒が声を上げた。


「キャルゼイス先生、転移魔法魔法とはなんですか?転送魔法なら習ったんですが⋯⋯」


 その生徒の言葉を肯定する様に周りもキャルゼイスの説明を待っていた。


「あぁ、説明しておらんかったな、これはな色彩"白銀の魔女(はくぎんのまじょ)"が開発した新しい魔法、転移魔法じゃ。

 転送魔法との違いは、発動者以外も同時転移させられることじゃ。

 転送魔法は強化魔法、あるいは結界を張らないと移動させられない上、発動者でないと移動出来ない。

 しかし、この魔法は強化魔法や結界を張らなくても一度に多くの者を移動させられる。

 これが、一般魔法の上級に新しく登録された転移魔法じゃ。いつか教える日が来るかもしれんから頭の隅にでも入れておくといい。」


 話が終わると全員の興味が転移魔法へ移った。

 それぞれが転移魔法についての考察を始めようとしたが、キャルゼイスが口を開いた。


「これから実践演習を始める。魔法への探究心は良い事じゃが、今は目の前の課題を乗り越える事に集中するのじゃ。」


 そう言い実践演習の説明を始めた。

 簡単にまとめるとこうだ。


 実践演習を行う森には多くの魔物が住んでいる。

 その魔物をベルがなるまで、火属性の魔法で倒し続ける。

 倒した魔物の魔法石は回収、魔法石すら残らないほどの状態であれば評価基準外とする。

 途中で森に張られた結界から抜ける事も可能だが、その場合は失格。

 透過魔法を使った教師が森の中にいるため最悪の場合教師が手助けをするが、その場合も失格とみなす。


 とりあえずはベルがなるまで、森の中で魔物を倒し続ければいいらしい。


「それでは、実践演習開始!」


 キャルゼイスが突然宣言したかと思えば、再び眩い光に包まれ森の中に転送された。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ