#1-5 流サイド
その後、僕らは三日ほど準備を整え、行政機関などと協力しながら、無事にD市の市民の一員になった。一応、設定ではD市のそこそこ広いマンションの一室を借りている五人という感じである。
「いやぁ~。広いねぇ…」
「だね!」
借り部屋に入ったあと、暁とノギは早速、家中の探索に駆り出す。まあ、行政も中々良い施設を用意してくれたものだ。一人一部屋というわけにはいかないが、男性と女性で分かれて寝泊まりできるほどの部屋数である。
「マッちゃん!ベランダからの景色も良いよ~。街が賑わってるっていうか…」
良の愛称を叫びながら、夏居は窓の外に広がる風景を眺める。良もその様子に微笑みながら、
「そだね~。」
なんて気怠げに相槌を打つ。僕も皆の様子を愉快だなと思いながら、しばらく楽しそうに眺めるのだった。
さて、家も無事にゲット出来たところで、今回の作戦内容を説明しよう。まず、この家。優しい大家さんから借りた、そこそこお高い値段のマンションの一室である。これは流石に、手配してくれた行政機関や大家さんに感謝の意を示したい。
また、作戦内容としては以下の通り。
・成川班はD市の市民として暫く生活。朝や夕方、夜は交代制でパトロールに出掛ける事。
・教職員や行政機関の職員は、D市の監視カメラの確認を交代制で行う事。何か異常があった場合、成川班に連絡をし、至急対処に当たって貰う事。
_である。
取りあえず、今日の所は監視カメラに異常があった場合のみ動く事になっているが、明日からは子供達の通学時間に合わせて、外に出る事になっている。
「よし、皆、ちょっとリビング来て!」
皆の興奮が収まり、ある程度の荷物整理が出来た頃。僕は、リビングに皆を収集した。ちなみに、この部屋は普通のマンションのリビングルームだと思ってくれて構わない。大体、そんな間取りだ。
「今回の作戦の計画の確認をしたいんだけど…」
テーブルを囲うように、皆を椅子に座らせた後、僕はテーブルにおけるお誕生日席に座り、皆の顔を順々に見た。
「とりあえず、前決まった作戦内容をもう一度_」
僕は、前述した作戦内容を皆にもう一度伝え直し、パトロールの交代についてを考えようと提案した。
「そうだね。出来れば一日やったら次は休みっていう感じが良いなぁ。」
引っ越しの影響で早起きしたノギは欠伸をしながらそう言った。それに対し、ノギの向かい側に座っている良も共感する。
「そうそう。どうせ、面倒事やるんなら、一日頑張った後に、次の日ガーガー寝たい。」
「だよね。」
ノギと良は、どうやらその意見が良いらしい。確かに、僕も時間とかで割り振るより、一日頑張った後にぐっすり寝たい。
「僕もその意見には賛成だよ。暁と夏居はどう?」
「うん、私は賛成だよ。」
「俺も賛成。けど、出来れば毎日行きたかったなー…」
暁の残念そうな顔の理由が分からず、僕はどうして?と尋ねた。すると、返ってきたのはこの言葉。
「だって、毎日だったら女性の生活を毎日守ることが出来るだろ?だから_」
「あー、ごめん。なんかこの先聞くと、君がロリコンとかになっちゃいそうだから、それ以上はいいや。」
内容的に少し暁の狂気が見えそうだったので、僕は慌ててその話題をストップさせた。
「話せって言ったのお前じゃんっ!」
「まあまあ…」
不満を持った暁に、隣に座っているノギは仕方なくフォローする。
「まあ、実際にこれより先に行くと、僕は君のことをただの変態だと思ってたかもしれないし…」
「グサッと来た…ノギ、今のはグサッて来るわ…つーか、最近ロクな言われようしてないんだけど俺!」
遂に真面目者のノギに、“変態”呼ばわりされて、心にグサッてきた暁。良と夏居は、そんな暁の様子に対し、クスクス笑ったり、笑うのを精一杯我慢している。
「まあ、暁は置いといて_」
「なんでだよ!」
横からのツッコミを気にせず、僕は皆と明日からの事について話し合うのだった。




