#1-2 流サイド
「もぉ、遅いよ…」
「ごめん、ノギ!」
食堂に着くと、先に班の皆の分を用意してくれていたノギが、不機嫌そうな顔をして自席に座っていた。その隣には、今朝方、僕の炎によって髪の毛を数本燃やされた暁が。
「人の髪燃やしておいて…!」
「まあ起きなかったんだから、」
僕達の険悪なムードを察した夏居が、慌ててその場をフォロー。本当に、夏居が班に居てくれて良かった。もし居なかったらきっと、班の絆はボロボロだっただろう。
「はぁ…まあ、女性達が来たんだ。とりあえず早く朝食を食べよう。」
暁も、夏居に合わせてとりあえずの和平案を出す。僕達は、勿論と呟いたあと、各々席に着き、朝食をとるのだった。
そして朝食を終えた後、僕達は寮から徒歩十分ある学校へ向かう。
「寮が学校でも良いのになぁ。わざわざ外に出るのは面倒くさいよ…」
ノギはそう言いながら、はぁと溜息を吐く。確かに、寮には学校の全生徒が居る。別に、わざわざ校舎は必要ない。だが、やはり校舎がある方が、自分達は学生なんだってどことなく安心できる。
「まあまあ、学校行けば先生達もいるじゃん。」
「…確かにね。」
暁の言葉に、ノギは確かにと応じる。E.P.H.の教職員は、日本においても貴重な逸材ばかりらしい。なので、生徒達との上手い付き合い方・好かれ方を熟知しているので、周りからの信頼は厚い。しかし…
「フン…大人なんか信用したって意味ないのにねー」
「もう!また良はそう言うんだから…!」
良と夏居のやり取りを見て欲しい。このように、大人を毛嫌いする生徒も沢山居る。まあ、戦場に子供達を送り、人殺しをさせている時点で、綺麗な大人とは言えない。
「まあまあ、二人とも。ほら、そろそろ学校着くよ。」
僕はそうフォローを入れながら、校門をくぐるのだった。
僕達の教室…3-Bの扉を開けると、そこに待ち構えているのは、とても優しい担任、冬山羊先生。
「成川班の皆、おはよう。」
物腰柔らかな彼に、僕らは元気よく挨拶を返す(良は無言だったが)。
「今日も皆、元気そうだね。」
「いや、そうじゃないですよ!聞いて下さいよ、先生!流の奴、朝から物騒なんですよ!」
早速暁の愚痴が始まる。ハイハイと受け流しつつ、さすがにやり過ぎたな…と思ってしまう僕。
「…暁が起きなかったもので。」
言えるのはこれだけである。一方、冬山羊先生は、僕に対し優しく微笑んだ。
「きっと、遠山(暁の名字)さんも中々起きなかったとか非もあったんでしょう。まあ、成川さんもやり過ぎですがね。」
「まあ、今回は五分五分ということにしましょう。成川さんも恐らく手加減はしていたはずですし。」
さすが冬山羊先生。冷静な意見を述べられ、僕も暁もしばらく無言を貫いた。やがて…
「…やりすぎたよ、ごめん。」
冬山羊先生の言葉につられ、僕は暁に素直に謝った。すると、
「いいや、俺も早く起きなくてごめん。出来ればこれからは、火を起こすんじゃなくて、叩いて欲しい。」
暁側からも謝罪が。こうして、冬山羊先生のお陰で何とか暁との和解は出来るのだった。




