#2-3 流サイド
「暁、大丈夫かな…?なんか、元気なかったっていうか…」
ノギは隣にいる僕に、不安そうに尋ねた。だが、僕もどう言えば分からない。
「…でも、なんで機械の話になった時に、急に機嫌が悪くなっちゃったんだろう?昔、何かあったのかな?」
ノギはそう独り言を呟いたあと、「じゃあ、またね」と自室に戻ろうとした。_そんな時。
「あれ、流君とノギ君じゃん!久し振り!」
後ろから突然声をかけられて振り返る。そこには、僕のように班長を務めている、桜宮 美玲だった。
「最近、成川班仕事だったんでしょ?お疲れ様~。」
常に明るい性格の美玲は、良い気配りが出来るからか、周りからとても慕われている。僕も同じ班をまとめる者として、見習いたいものだ。
「美玲、君の班員達は最近どう?」
取りあえず何も話さず別れるのも寂しいし、話題を振ってみる。すると、美玲はしばらく何を言おうかうーん…と考えた後、
「皆、相変わらず自由だよ~もう困っちゃうくらい!」
と元気に笑った。だが、そのすぐ後、何かを思い出したような顔をする。
「どうしたの?」
ノギがその様子が気になって尋ねると、美玲は「あのさ、もしかして…」と話を始める。
「…『クラス内班対抗合戦』について何も聞かされてない…?任務のせいで」
「「え…?」」
僕とノギは聞いたことの無い単語に、頭上で?を浮かべた。美玲は、やっぱりかぁ…と『クラス内班対抗合戦』について解説し始める。
「えっと、中3になってまだ1カ月ぐらい?だよね。でも、皆今まで任務ばっかで、クラス全員で集まったこと無かったから、久し振りに皆で集まって何かやりましょうって冬山羊先生が。」
「へぇ~」
内心、コレやる意味あるのか?と思ったのは、きっとノギも同じだろう。何せ、中1からクラスのメンバーは変わって居ないのだから。変わったのは精々、中2の何処かで転入生として夏居がやって来た時だけだ。僕達の学校…E.P.H.は、子供達が命を懸けて任務(テロリストの暗殺など)を行うという、一般人から見たらただの物騒な学校に見られる場所だ。なので、幾らE.C.によって孤児になってしまった子供を集めても、一学年で人数は2クラス17~18人程度となってしまう。そして、中1時点でのクラス内18人くらいから、班は決められていく。なので結果的に成川班と桜宮班、そしてもう一つの班の人達だけがこれまで中1からクラスメイトとして共に過ごしてきたのである。
「でもさ、今更やらなくても良くない?」
僕がそう質問すると、美玲はそう?と不思議そうな顔をした。
「面白いと思うけどなー。内容だって、凄いんだよ?三つの種目があって、各班1~2人がそれぞれ参加するんだけどね。」
「でも任務のスケジュールは?」
「冬山羊先生が何とかしてくれるって!」
まあ、楽しみにしとこーよ!と笑った美玲。
「…うん…まあ?」
取りあえず、今後の情報を得るまでは何も分からない。僕とノギは、しばらく見つめあったが、やがて、うん、と頷いた。
「分かった。また今度、冬山羊先生から詳しく聞いてみるとするよ。」
「うん!またね!」
僕の挨拶に、美玲は元気に応じた後、物凄い速さで女子のフロアに戻っていった。
「にしても、一体どういうイベントなのやら…」
「さぁ…?」
僕とノギはそう呟きながら、自室へと戻っていくのだった。




