#2-1 冬山羊サイド
成川班の功績によって無事に連続幼女誘拐事件は幕を閉じた。あの後、藍沢さん達が連れてきた容疑者の男は、生徒会の方々によって聴取を受けたそうだ。
そして現在。私は、生徒相談室でとある生徒と面会をしている。
「忙しい中、わざわざ来てくれてありがとうございます。無事に聴取は終わりましたか?」
その生徒はニコリと微笑み、
「勿論ですよっ!…まあ、殆ど聴取は処理担当がやったんですけど…あの人、ああ見えて意外とやるときはやる人だから…」
と元気よく返事をしてくれた。
「ところで何故、私呼ばれたんですか?何か日常生活でヤバイことやらかしました…?」
早速向こうから本題に入ってきたところで、私は何故この方…生徒会の一人、調整担当を呼んだのか説明する。
「成川班の皆さんが、何故、犯人が水を要求してきたのかとっても気になっているようで…なので、出来ればで良いのですが、聴取の結果と、それをどう伝えれば良いか教えて欲しい。」
よろしいですか?と尋ねると、調整担当は勿論っ!と大きな声で頷いた。
「私も言おうかなって思ってたんです、冬山羊先生にも頭に入れておいて欲しい内容なので。それに、成川班含め、全ての生徒の疑念を払拭する…それが私の役割ですから。」
ニイッと満面な笑みを浮かべた後、調整担当は聴取で得た情報を次々に話し出した。
____________
「…なるほど。つまり、E.C.で“怪しい研究”が進んでいると?」
「そうなんですよねー」
調整担当は一回天を仰いだ後、私に具体的な内容を伝えてきた。
「実行犯も、目的はよく分かっていなかったようです。『上が研究のためとか言って水を要求してた。』それだけを永遠に喋っていましたよ。」
はぁ…と溜息を吐きながらそう呟く彼女。やがて、何かを思い出したように目を見開かせ、口を開いた。
「あ、言うの忘れてたっ!この件は、教職員の皆様と生徒会のみの機密事項ですので、出来れば成川班のメンバーや他の一般生徒には、E.C.の水不足による凶行だったってことにして置いて下さい。」
何となくそう言うだろうなと予測していたので、大して驚かずに、「勿論ですよ。」と返事をした。
「“研究”なんて怪しいことを言ったら、生徒の皆さんの不安が募っていくだけです。この選択が良いと思いますよ。」
「ご協力感謝します!」
調整担当はその言葉を聞いて純粋に喜んだのか、元気の良い声を出した。そしてしばらく雑談をした後、彼女は「では、さようなら!」と威勢良く部屋を去るのだった。
「ふぅ…」
恐らく、成川班は今回の事件に関してかなり疑念を募らせているだろう。何とか、それらを忘れさせなくてはならない。
「_イベント、やりますかぁ…」
さて、どんな行事にしようかと妄想を膨らませるのだった。




