第6.5章:記録と囁き ―設定資料編・前半
この章では、これまでに登場した人物・用語・勢力を整理し、
読者の皆さまが物語をより深く楽しめるよう構成されています。
読後に「夢の中で再確認する」感覚で、お読みいただければ幸いです。
【登場人物】
◼️斎 真
大学2年生。民俗学を専攻。兄の失踪をきっかけに「封印区域」に接触し、“神”と夢を通して繋がり始める。
かつて陰陽師を輩出した家系に生まれたが、自身は信仰にもオカルトにも無関心だった。
だが今、夢と現実の境界で、“目覚めつつある者”として選ばれる。
◼️夢宮 蒼子
夢の中に現れる謎の少女。白い巫女服を纏い、「夢と記憶の間に立つ者」を自称する。
彼女の中にはもうひとつの意識、“ミコ”が共に存在しており、神の記憶を宿す「扉」としての役割を担う。
現実にも現れ、真に語りかけ、導こうとしている。
◼️鴉羽 柚月
黒いスーツの女性。表の顔は弁護士だが、裏では旧神に魅入られた一派の観測者。
かつて「真影録」を読んだことで、自身の影に異変が生じ、それ以降“神に近い存在”として変貌を始める。
その影はもはや彼女の一部ではない。
【用語】
◼️真影録
旧き神にまつわる記録が綴られた禁書。内容は不定で、読む者によって書かれているものが変わるとされる。
閲覧した者は高確率で発狂または変異を起こし、封印管理下に置かれている。
蒼子は夢の中で、その“写し”を再現することができる。
◼️封印区域
現実世界に点在する“神域”の痕跡。時間や空間が歪み、夢と現実の境界が曖昧になる。
一般には存在しない場所として扱われており、国立民俗遺産管理センターなどが極秘に管理している。
例:東練馬四丁目未成線跡
◼️ヨリシロ
神が宿る“依代”。一般的には神具や動物などに宿るとされるが、本作では“人間”が依代になる例が多い。
蒼子は“扉”として、真は“鍵”としてヨリシロの性質を持つ。
ヨリシロは神と人を繋ぐ媒介であると同時に、狂気と正気の狭間に立たされる存在。
【勢力/立場】
◼️真と蒼子
封印の維持と、神との接触に抗う立場。
共に“知らず選ばれた者”であり、巻き込まれる中で選ぶ力を得ていく。
彼らの行動は、世界の均衡に影響を与える。
◼️鴉羽 柚月と影
“神の目醒め”を願う勢力。人が神に進化する可能性を信じ、あえて封印を解こうとする。
柚月自身はすでに“人ではない何か”と融合しつつある。
彼女は真の覚醒を見届けるため、静かに動いている。
◼️記録館・政府側
封印の維持を目的とした秘密組織。真影録やヨリシロの存在を把握しており、
“夢に入る者”を観察・隔離しているが、詳細は未公開。
彼らの本当の目的は、今後明らかになっていく。
次節(第6.6章)では、これまでの時系列整理と、
“神”という存在についての考察・世界の構造の一端を紹介していきます。