はじまりの昼-2
誰も…いない…?
通路を見回してみても、人の姿はない。
ドアの反対側に隠れてたり…しないか。
じゃぁ…これ?
わたしはドアの前に落ちている物体を凝視した。
これは一体なんだ?
見たところ大きな卵だ。恐竜の卵ぐらいおおきい。
もちろん、恐竜の卵なんて見たことないのだけれど。
でも、イメージ的にこういう大きな卵って恐竜っぽいじゃん。ジュラシックパーク的な。
だけどこの卵、手足があるよ。
……
…
「うりゃっ」
得体の知れない卵と思しきその楕円型の球体をつま先でつま先で小突いてみると
げしげしっ
「ぎゃっ!」
「きゃっ!」
声がしたぞ!この得体の知れぬ卵が悲鳴ともよがり声とも取れるような声を発したことにより、わたしも思わず声を上げた。そして思わずついでに更に思い切り卵を蹴飛ばしてしまう。
ばりんっ!
卵は壁に激突し、更に亀裂を深く刻んだ。床にゆっくりと透明な液体が流れ出て、広がっていく。
「げっ…」
わたしは悟った。これはまずい状況だと。
なので、ひとまず逃げる事にした。この際格好は気にしないことにする。
どうせここは不思議の国とかそんな世界なんだから、何を気にする必要があるだろう。
と、わたしはいつの間にか意味のわからない思考回路にやられてしまっていたらしい。状況が状況だけにね。
急ぎ足で長い廊下を進んでいく。
左右には等間隔で扉が配置されており、どれも形や模様が違っていた。普通の四角い扉だったり、丸かったり三角だったり、色も多種多彩。とても扉とは思えないものまであった。
しかし、その扉のどれにも入ろうとはせず、ただひたすら廊下を進んでいく。
本当に長い廊下だった。どのくらい進んだかわからない。このまま延々と続くのかもしれないと思うと、やっぱりどこかしらの扉に入っておくべきだろうかと迷い始めるのだけれど、やっぱりそれはやらない。自分の直感を信じてみよう。
やがて通路は突き当たりに差し掛かり、方向を90度右方向へと変えた。
その角を曲がるとすぐ目の前に扉が現れた。