7話
その日の夜。
私は今日起きた出来事を整理してみた。
今日出会った攻略対象は、ルイ、アルス、シルクの3人。
他にそれっぽい美少年はいなかったし、話もしなかった。
うーん、明日はこの3人以外の攻略対象にも会いたいな。
特に、ヤンデレたち!
とりあえず、それぞれの出会いのシーンを再現するために会いに行くか。
『甘いスイーツと共に』は、ルイの弟のルキ・ミンフィーユ。
『花束の魔法』は、城で宰相として働くラナ・コモス。
『アムネシアの旅人』は、城で剣士の見習いとして勉強しているシューニル・トット。
ん?
もしかして、みんな城に行かないと会えない系か?
えぇ、早く会いたかったのに。
仕方がないか。
そうしたら、他の攻略対象に会いに行くとするか!
あとは、学園にいれば会えそうな子ばっかりだから、問題はない。はず!
あとは、この世界について考えないといけない。
3つの乙女ゲームが一緒の世界に存在することなんて、あるのかな?
とりあえず、明日やることについて書き出してみる。
1.他の攻略対象を探す。
2.この世界の地図を手に入れる。
この2つくらいかな。
よし、明日も頑張るぞー!
翌朝。
女子生徒が外で騒ぐ声で目が覚める。
二度寝しようかとも思ったけど、できないくらいにうるさかった。
朝の支度をし、寮をでるとアルスがいた。
コイツのせいで、騒いでいたのか。
一体、誰を待っていたんだろう?
そう思いながら、通り過ぎようとすると、声をかけられた。
「ルナちゃん!おはよう。」
え、私?
無視して通り過ぎようとするが、駆けよってきた。
「もう、ルナちゃん!無視しないでよ。一緒に学園行こ?」
いや、徒歩5分もかからない同じ敷地内ですが?
わざわざ一緒に行くんですか?
「えっと、どうして私なんですか?」
アルスは不思議そうな顔をした後、照れ始めた。
「どうしてって。そんなの君のことがす…」
「ルナ、おはよう。」
アルスの言葉を遮るようにして、スティが寮から出てきた。
「あぁ、アルス様もおはようございます。ルナ、学園行こ!」
スティに引っ張られながらその場を後にする。
しばらく歩き続けて誰もいない広場のようなところで、スティが手を離してくれた。
「ルナ、大丈夫?何もされてない?」
「スティ、ありがとう!めちゃくちゃ助かった!!」
「よかったぁ。寮を出たら、ルナがなんか絡まれてたから心配で。」
やっぱり、絡まれてるように見えた?
「本当にありがとうね。ところで、アルス様とはお知り合いなの?」
スティは下を向いて黙りこむ。
「あ、全然言わなくても大丈夫だから。本当にありがとうね。」
誰にでも知られたくないことはあるはず。
私も転生者だなんて、あんまり知られたくない。
スティはゆっくり顔をあげた。
「ルナ、ちょっと長くなるんだけど聞いてくれる?」
真剣な顔のスティにつられて、私も真剣な顔をする。
「もちろん。最後まで聞くよ。」
スティは安心したように、少しずつ話し始めた。
「あのね、私アルス様の婚約者なの。」