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6話

10分後。

ここはどこ?

地図も見ずに走ったため、当たり前のように迷子になった。

地図を見ても、自分がどこにいるのか全くわからないから、意味がない。

本日2度目の迷子です…

どうしよう、さっきは先生が騒いでくれたおかげで探しに来てくれる人がいたけど、今は放課後だから先生も騒がないはず。

寮の門限まで、あと3時間。

早く帰らないと。

そもそも、なんでこんなに人通りが少ないの?

新入生も在校生も先生もいっぱいいたじゃん!

1人くらいすれ違えよ!!

仕方がないので、建物の方に向かって歩き出す。

「誰かいませんか?」

試しに声を出してみるも、返事がない。

それはそうだ。

逆に、返事がある方が怖いよ。

「…い。」

ん、今なんか聞こえたような。

「誰かいませんか?」

今度は大きな声で叫んでみる。

「はーい。」

かすかだけど、はっきりと聞こえた。

やっぱり、誰かが返事している!

「どこにいますか?」

再度大きな声で叫ぶ。

「はーい。って、また君か。」

後ろの方からシルクが走ってきた。

やっぱり、神様だよ!!

「シルク先輩!よかったぁ。このままでは、路頭に迷い骨を埋める覚悟でした。」

シルクはびっくりした後、大声で笑い始めた。

「え、君っておもしろいね。1日で2回迷子になるし、変なこと言うし。はは、おかしすぎる。」

こんなに爆笑しているシルク、初めて見たかも。

ゲームでもこんな顔を見せたことがない気がする。

「ていうか、なんで僕の名前知っているの?教えていないよね?」

一通り笑い、息を整えつつ不思議そうな顔でのぞき込んできた。

あー、かわいい。

こんなにかわいい顔をしているなんて羨ましいな、おい。

てか、自己紹介していなかったっけ。

「えっと、教室でシルク先輩の噂話をしておりまして。」

「噂話?」

「かっこいいうさぎの先輩がいるって、教室で騒いでいる生徒がいました。」

嘘は言っていない。

「かっこいいうさぎの先輩ねぇ。」

シルクは複雑そうな顔をしている。

「まぁ、いいでしょう。そういうことにしておくよ。」

とりあえず、納得してくれたみたいだ。

よかった!

「じゃあ、改めまして。『アニマル王国』のシルク・ラビリッツです。」

丁寧にお辞儀をしながら、自己紹介をしてくれた。

「『ミンフィーユ王国』のルナ・ピラフィルです。よろしくお願いします。」

見様見真似で、私もお辞儀をしながら自己紹介をする。

「それで、なんでまた迷子になったの?」

うぅ、やっぱりそれ聞きますよね。

「実は…」

私は、アルスに追いかけられたこと、テキトーに走っていたら迷子になったこと、地図が読めなかったことをふんわりと説明した。

シルクは終始、静かに聞いてくれた。

私が話し終わると、ゆっくりと口を開いた。

「なるほど、つまり地図の見方を教えればいいのかな。」

アルスについて何か言われると思っていたから、ちょっと拍子抜けする。

あと、真面目に解決策を考えてくれたのが嬉しい。

「そうです。ぜひ、お願いします!」

勢いよく頭を下げてお願いをすると、クスッと笑ってきた。

シルクって結構笑う子なんだ。

ゲームでは知ることのなかった一面だ。

まぁ、『アムネシアの旅人』のヒロインは常に誰かと一緒にいるから、迷子にならないんだけどね。

「でも、今日はもう遅いから、また明日ね。」

そう言いながら歩き出し、寮へ向かう。

寮の門限まで残り2時間もなかった。

もう気まずい雰囲気になることもなく、2人で笑い合いながら帰り道を歩く。

女子寮と男子寮の間くらいで別れるつもりだったが、「また迷子になられたら困る。」と女子寮の玄関まで送ってもらった。

「じゃあ、おやすみ。」

「おやすみなさい!」

「また明日ね。」

「はい!」

去り際まで、かわいいし優しい。

やっぱり、シルクは神様の生まれ変わりとかなのかな?

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