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70話

2限と3限の休み時間もツバサが素早く来て、ギリギリまでいた。

3限チャイム1分前。

先生がやってきて、ツバサが帰る時間。

「じゃあ、ルナまたね。」

そう言って、去って行く。

よし、今だ!

私は急いでピラナさんに近づく。

「ちょっといいかな?」

「もう授業が始まりますので、お断りさせていただきますわ。」

ピラナさんは前を向いたまま答える。

「うん、知ってる。でも、今じゃないとダメだから来てもらうね。」

私はピラナさんの腕を掴んで引っ張って行く。

「ちょ、ちょっと!」

ピラナさんは大きな抵抗はせず、そのままついてくる。

近くの空き教室に2人で入る。

「ちょっとなんですの!?」

「ごめんね。でも、こうしないと話せないからさ。」

「はぁ、ツバサ様のことね…」

ピラナさんは観念したようだった。

「ありがとう。何か知っていることあったら、教えて欲しいんだ。」

「あなた、私たちのことを知らないんですの?」

ピラナさんはびっくりしている。

私たちのこと…?

「ツバサ様の婚約者よ。」

え、婚約者いたの?

誰だろ…

てか、今大丈夫なのかな?

「私ですわ!私がツバサ様の婚約者よ。」

私がキョトンとしていると、ピラナさんは怒りながら教えてくれた。

「ま、じ…?」

「えぇ、本当ですわ。急に破棄されたときは驚きましたが、ツバサ様のご様子を見て納得しましたわ。」

ツバサ、そんなこと一言も言ってなかったよ!?

それに、再会した日の夜にもう婚約が決まったんだよ?

ちゃんと手段ふんだのかな…

「えっと、いつから?」

「8歳のときからよ。」

歴長っ!

「ほとんど形だけの婚約だから、未練は全くないわ。」

そうなんだ…

「じゃあ、シルク先輩のことはいつから好きなの?」

ピラナさんは顔を赤くした。

「いつからって…ずっとですわ。」

ほぉ、こっちの方が歴は長そうだ。

「ピラナさんなら、シルク先輩と婚約できるんじゃないかな?家柄的にも。」

「絶対に無理ですわ。」

なんでそんなこと言い切れるの?

「私の家系は、代々ラビリッツ家の侍女長として仕えているんですの。だから、私も侍女長になるべく育てられました。」

あらぁ…

主と侍女の恋、いいじゃん!

「私、応援するよ!」

「応援って…あなたにされても意味がないと思いますが…」

たしかに。

「じゃあ、ツバサに応援してもらお!」

「ツバサ様に…って応援してくれるかしら?」

たしかに。

「じゃあ、私がツバサにピラナさんを応援するようにお願いしておくよ。」

「それならまぁ…でも、応援していただいてもシルク様の気持ちがなければ嬉しくないわ。」

たしかに。

「じゃあ、シルク先輩にピラナさんの良いところをいっぱい吹き込んでおくよ。」

「例えば?」

えーっと…

私、ピラナさんのこと何も知らないや。

「応援していただけるのは嬉しいですが、無理なさらないで。」

力不足でごめんよ…

「それより、ツバサ様について聞きたいことがあるんではないですの?」

あぁ、そうだった。

でも、ピラナさんとの関係くらいしか聞きたいことなかったんだよな…

どうしよう。

あ、そういえば…

「ツバサの幼少期について聞いてもいいかな?」

「それ、今思いつきましたわね。」

ぎく…

「まぁいいですわ。もうサボってしまったものは仕方がないので、3限目は諦めます。4限目からは出席しますからね!」

はーい。

「あ、でも4限目ってたしか先生同じだったよね?」

ホートラン学園に務めている先生は全部で12人。

1年担当が6人、2年担当が6人で、各国から4人ずつって感じかな。

だから、受け持つ教科が複数ある先生もいる。

今回は、たまたま3限目と4限目の先生が一緒だったのだ。

本当にたまたまだよ。

「戻りづらい時間帯に呼び出しましたわね…」

ごめんって。

私だってツバサ以外の人とも話したかったし、結構時間がかかるかと思ったんだもん。

殴り合いも覚悟してたくらいだよ。

「はぁ、わかりましたわ。お昼休みまでここでお話しましょう。」

やったぁ。

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