67話
ツバサは結局、チャイムギリギリで走っていった。
私も見送ってから席に着いたため、結構ギリギリだった。
ツバサ、間に合ったかな…
「では、授業を始めます。今日は、アニマル王国の歴史についてです。」
1限目は歴史だった。
テスト前の授業でちょうどフラージア王国が終わったため、今日からアニマル王国に入る。
アニマル王国は、あんまり勉強したことないから、ちょっと楽しみ。
ツバサの国でもあるし!
「アニマル王国は、今では住んでる人の9割が獣人です。しかし、昔は人間と獣人は半々くらいの割合でした。」
へぇ、そうなんだ。
将来住む可能性もあるし、人間がもう少し増えたら嬉しいな。
なんで減ったんだろう?
「建国されて200年は獣人と人間が結婚していました。しかし、とある代から獣人同士の結婚が増えていきました。しばらくは、人間と獣人、獣人同士が交互に結婚していましたが、次第に獣人同士の結婚が目立つようになりました。そのため、人間が住みづらい国になっていき、減っていきました。」
そうなんだ。
今の国王様と王妃様も獣人同士だもんな。
「この中で、獣人は人間と、人間は獣人とお付き合い、もしくは婚約している方はいらっしゃいますか?」
私は手をあげた。
「あら、ルナさん」
他に誰もあげていなかった。
「どなたか聞いてもいいかしら?」
私は立ち上がる。
「2年生のツバサ・ティートルさんです。」
私が名前を言うと、教室がざわめきだした。
「ティートル公爵家だって…」
「結局、あそこを選んだか。」
「てっきり、シルク様かと思ってた。」
「みなさん、静かにしてください。」
先生も驚いていたが、すぐに教室の騒がしさを静めた。
「ルナさん、ありがとう。ティートル公爵家なら、またアニマル王国に住む人間の割合を増やせそうよ。頑張ってね。」
増やす…?
別にそんな目的はないけど、本当に結婚して住むことになったら、多い方が嬉しいかな。
「はい。頑張ります。」
まぁ、結婚する気はないんですが。
当たり前でしょ?
私はルキと結婚する夢、諦めたわけじゃないから。
ツバサと婚約したけど、ルキに会えたら駆け落ちするつもり。
それくらいの覚悟はあるよ。
でも、ツバサが本当にどこまでもついてきそうだから、ちょっと怖い…
けど、頑張るよー!
 




