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5話

放課後。

地図を手に入れたため、中庭リベンジをしようと散策を始める。

しかし、どうやら中庭は『ホートラン学園』には存在しないようだった。

これでは、出会いのイベントはどうなるんだろ?

生徒手帳の委員会紹介を見る限り美化委員はあるようだし、どこかに花は植わっているはず。

とりあえず、水やりができればいいよね。

そんなことを考えながら歩いていると、急に強い風がふいて地図が飛ばされてしまった。

やばい。

シルクがくれた大事な地図が!

「よっ。」

急いで追いかけていると、たまたまいたアルスがジャンプして捕まえてくれた。

「これ、君のかな?」

「ありがとうございます。」

お礼を言って受け取ろうとすると、アルスは固まったまま動かなくなっていた。

そういえば、この人チョロかった。

え、もしかして好感度上がったの?

ここで、一目惚れした?

「返してもらっていいですか?」

とりあえず、早く返すよう急かしてみる。

「あー、すまない。それは地図か。じゃあ、新入生かな?学校には慣れた?もし良かったら今から学校案内しようか?」

おー、急に饒舌に話し始めたぞ。

危険な気がする。

「ごめんなさい。今から寮に行かないといけなくて、ありがたいお話ですが、お断りさせていただきます。」

よし、逃げよう。

歩きだそうとすると、腕を掴まれて呼び止められてしまった。

「なんて、丁寧なんだ。じゃあ、寮まで送っていくよ。」

なんでそうなる!

「いや、大丈夫です。知らない方ですし、そこまでしていただくわけにはいかないので、失礼します。」

腕を振りほどき、その場から逃げるように歩きだす。

早く行こ。

しかし、アルスは同じ速度で横に並び歩きだした。

「そうえば、名乗っていなかったね。僕は、アルス・フラージア。2年生だよ。君の名前も聞いて良いかな。」

え、なんで断っているのに話しかけてくるの?

ナンパか?

一国の王子がナンパして良いんですか?

無視して歩き続けても、アルスは気にせず話しかけてくる。

「まだ知らない人だから、怖いのかな?何が知りたいかな。えーっと、『フラージア王国』出身で、使える魔法は氷魔法で、得意な魔法は…」

今、魔法って言った?

びっくりして振り向き、目を合わせてしまった。

アルスは嬉しそうな顔をしていた。

「やっと、こっち見てくれた!もう怖くない?名前聞いても良いかな?」

「ルナ・ピルフィルです…」

2回目だし、さすがに断れない。

嫌々応えるが、アルスは相変わらず嬉しそうな顔をしている。

「ルナちゃんか。かわいい名前だね。どこの国の子?僕は、『フラージア王国』だよ。だから、魔法が使えるの。」

やっぱり、『フラージア王国』も実在していたか。

魔法が使える設定もそのままなのね。

アルスが登場する『花束の魔法』はタイトル通り、魔法を使って戦うRPG要素が含まれている乙女ゲームだ。

氷魔法の他に、炎、土、水があり、ヒロインだけは伝説の属性である光魔法を使えるというよくあるチート設定だ。

私も魔法が使えるのかな?

それとも、『フラージア王国』の人だけ?

この世界について知りたい。

後で、図書館に行って調べてみよ。

とりあえず、アルスから聞けることは聞いておこうかな。

「私は、『ミンフィーユ王国』です。魔法について、教えていただいてもよろしいでしょうか?」

「『ミンフィーユ王国』の子か。じゃあ、魔法は見たことないよね。いいよ、教えてあげる。じゃあ、僕の部屋にでも来る?」

なぜ、そうなる。

やっぱり、ナンパなのか。

何も聞かないで逃げた方がいい気がしてきた。

「えーっと、今日は時間がなさそうなので、また今度お願いします。では!」

それだけ言い残して、全力で走る。

怖い。

キモい。

無理!!!

魔法について知りたいけど、これ以上一緒にいたら苦手を通り越して嫌いになりそう。

アルスも走ってこられたら、絶対に追いつかれていただろうが、さすが追ってきてはいない。

このまま寮に向かって走るぞ!

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