601話
「ルナちゃん。」
魔王とのんびり話していると、シルクが恐る恐る近寄ってきた。
「シルク先輩…ごめんなさい。」
「謝らないで。説明してもらってもいいかな?」
あぁ、そうだよね…
「実は、魔王様の居場所がわかる前からここに来て、ずっと守ろうとしてたんです。」
「え…なんで?」
「実際に会ってみて、みんなが思うほど悪い人には思えなくて…」
「いや、それも聞きたいんだけど、なんで居場所がわかったの?」
「ツバサが見つけてくれたんです。」
「ツバサが…」
シルクは私に抱きついているツバサを見る。
「なんで教えてくれなかったの?」
そして、しゃがんでツバサに尋ねる。
「アカリとの約束…」
ツバサは少し震えながら答える。
「そっか。」
シルクは立ち上がって、私を支えている魔王に目をやる。
「あなたは、どうしたいですか?」
「我は…娘の成長を見守りたい。」
父親らしい回答だね。
「わかった。ありがとう。」
シルクはそう言って笑い、討伐メンバーの方へ駆け寄っていく。
「俺、逮捕されるのかな…」
なんで?
「されないでしょ。」
「でも、裏切った罪が…」
大丈夫だろ。
ツバサが逮捕されたら、ティートル王国の人たちが黙っていないと思う。
「ツバサがたいほ?されそうになったら、我が助けてやる。」
「クライス様、ありがとう。」
「うむ。」
魔王が味方だと、やっぱり心強いな。
「てか、早く外にでない?」
ユーリスが退屈そうにしている。
「我も一緒か?」
「当たり前です。アカリに会いに行きましょ。」
「まだ結婚は認めぬが、そなたのことは許そう。」
「ありがとうございます!」
ちょっとずつ仲良くなってるみたいで良かった。
魔王は私とツバサを纏めて抱き上げる。
「魔王様、降ろしてください。」
「クライス様、俺がルナを運ぶから大丈夫だよ。」
「我がこうしていたいのだ。」
じゃあ、お言葉に甘えて…




